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938話 脳筋O・DE・MU・KA・E大作戦




 この期に及んで、「自分は上級神だし味方でもあるから、格下のメグミはゴマを擦りたくて忖度するはず」などという、淡い期待を抱いていた上級神達は……


 <恵のダンジョン>の入り口付近で偉そうに突っ立っていたところ、モンティートによるO・MO・TE・NA・SHIを受けて愕然とした。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


申し訳ございません。


闇神が攻めてくると分かってから突貫工事で創ったので、ダンジョンの綿密な設計図を用意できておらず、自分でも「どこをイジったら崩壊するか」が分からないのです。


私としても、上級神の皆様のご要望にお応えしたいという気持ちはあるのですが、抜け道を増築するレベルの改造を加えるとなると……


ダンジョンごと崩落して、闇神諸共、現場でご苦労なさっている中級神の皆様を糞尿に溺れさせてしまう、という可能性もございまして。


つきましては、微力ではございますが俊敏性が上がる装備を贈らせていただきますので、それと気合いアップで乗り切っていただくようお願い申しあげます。


装備不足であれば追加の品も用意できますので、遠慮なくお申し付けください。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 一応「メグミが書いた返事」という形になっているが……さすがは長年魔王界のトップに君臨し続けた、老獪な魔王<モンティート>。


 バカを演じつつ、これ以上理不尽な要求をされぬよう、お客様(と言う名の疫病神)を上手くあしらった。



 「俊敏性が上がる装備」などと銘打っているが、同封された装備(笑)は、結局のところ全て「<働神の加護>が練り込まれた特級呪物」であり……


 装着したら最後、上級神達がもっとも嫌がる「労働者階級への転落」に繋がるかもしれない、鬼畜なブツばかりというのも、一貫性があってポイントが高い。






「クソッ! 別に、中級神共が生き埋めになろうと構わぬが……そのように危ない構造なら、我等が中へ入って活動する間も……」


「常に崩落のリスクがある……と考えるべきだな。そもそもの話、"創造主が正確な設計図を持っていない"なんて……なんの冗談だ!」



「下等生物の世界では、よくある話なのかもしれません。ダンジョン創造は、規模こそ小さいものの"世界の創造"に似ている面がある。バカには荷が重いかと」


「ふむ。知能不足で扱いきれず、何となくでやってみて偶然上手くいった者が生き残る。そんな状況なのかもしれんな」



 「部下の尊厳などどうでもよい」と切り捨てるのは相変わらずだが、その危機が自分達にも降り注ぐかもしれない。


 ……と、モンティートがさり気なく盛り込んだ"匂わせ"に、上級神達は気がつき慄いた。


 いくら「部下=使い捨ての駒。配慮など不要」と本心から思っている上級神でも、自分達が同じ目に遭うのは嫌だからである。



 彼等は、魑魅魍魎の地獄世界で出世レースを勝ち抜き、上級神にまで上り詰めた"勝ち組"なのだ。


 自分の身に及ぶかもしれない危機には、誰よりも敏感に反応する。



「これは……正規ルートで進むしかないな。危険なニオイしかせぬゆえ、本音を言えば入りたくないところだが……いつまでも此処で立っている訳にもいかぬ」


「あぁ。突貫工事とはいえ、闇神と中級神が暴れても崩壊しなかったのだ。更なる増築をおこないガラパゴス化しなければ、危険性は限定的と見ていいだろう」






 生き埋めリスクに曝されるくらいなら、まだスカベンジャースライムの中で縮こまっていた方がマシ。


 そう判断した上級神達は、大きなため息をついて全身に結界を張り、鼻栓をつけて<恵のダンジョン>へ乗りこんだ。



 実際のところ……<恵のダンジョン>は突貫工事で創られたものの、若手エリート魔王のメグミとベテラン勢が、複数人体制でチェックしたため……


 設計不備で崩落する事などないし、当然「詳細な設計図」も残っている。



 だが自分達のことを格下認定してくる尊大野郎には、徹底的に「こいつはバカだ」と思わせて、「知的レベルが合わず話が通じない」と錯覚させた方がいい。


 目先の見栄より実利をとった、モンティートによる「脳筋O・DE・MU・KA・E作戦」炸裂だ!



 なお……上級神達を糞尿から護るべく配車されたスカベンジャースライムは、ちょっと前まで中級神達が乗っていた個体。


 つまり中にあるオ○ニールームが数多の<ピー>によって汚れており、なんだか妙に生臭い。



「うっ! おぃスカベンジャースライム。自分の肉体くらい掃除しろ! 貴様は、糞でも食べるスライムだろうが!!」


「…………?」



 主人であるメグミや彼の配下とは意思疎通できるものの、知的生物とは言えないお頭のスカベンジャースライムは、怒鳴られたところで理解できない。


 ただプルプルと身体を振るわせ、「主人が"乗せろ"って言ったの。早く乗ってよ!」と催促するばかりである。



「ハァ〜。こんなスクラップではなく、我々の手で"マトモな乗り物"を喚ぶか?」


「ダメだ。ここは地獄世界とは次元違いの空間。我々のチカラを以ってすれば召喚くらい可能だが、コストが高すぎて割に合わない」



 生臭い「使い回しのスカベンジャースライム」に乗るか、貴重なリソースをムダ遣いするか……早速、究極の二択イベントが発生した!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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