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936話 役者が揃った




 若干荒れているメグミの心情はさておき、キャッキャウフフと楽しみつつ精力的に働く、<農民><小鬼>同盟のメンバーとは対照的に……


 自ら働く気など全くなく、隙あらば他者から搾取したりライバルを蹴落とそうと企む討伐軍の上級神達は、ドヨーンとした空気のなか移動を続けていた。



「「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」」


 潰れるまで前線でコキ使って捨てる気だった、格下の部下である中級神達が、よりにもよって元下民のメグミに与しようした挙句……


 瞳にハートマークを浮かべて、働神カラオケを歌いながら激辛料理を踊り食いしているのだ。



 それにも関わらず、<恵のダンジョン>内で殺処分するとリソースをメグミに奪われてしまうため、勅命で闇神のもとへ特攻させることもできない。


 結果として、自ら出向いて闇神にトドメを刺し……中級神達を引きずって帰らざるを得なくなった、彼等は……


 刻一刻と迫りくる「不潔な環境下での肉体労働」を避けられなくなり、言葉を交わす余裕もなくしてしまった。



 だがそんな状況下でも、神力を使った闇神と部下達の監視は続けている。


 彼等がどんな動きをしたか把握していないと、戦況が掴めない……という側面もあるが、何方かと言えば"怖いから"。



 もしかしたら、さらにメグミに心酔して"裏切り"を行動に移すかもしれない。


 また中級神達が動かずとも、彼等の軽口を間に受けたメグミが「亡命受け入れ宣言」をして、より事態を悪化させてしまうかも……。



 そういう不安がつきまとい、部下達の動向を舐めるように確認せざるを得なくなったのだ。


 確認したところで、直接手出し出来ない以上"ただの時間の無駄"なのだが……頭では理解していても、いざ危機に直面すると誰だってそうなる。






「なぁ、あとどれくらいで転移ポイントに着く?」


「もうすぐだ。鼻栓を外してみろ。徐々に辺りが臭くなり始めた。<恵のダンジョン>から漏れた、汚物臭だ」


「オエッ! 誰が外すかっ!」



 だが……心の中が不安で満ちていようとも、修羅場を潜り抜け上級神にまで成り上がった神々は、心と体を切り離し自ら動くことができる。


 ゆえに誰一人としてスピードを緩めることなく、<恵のダンジョン>の近くまでたどり着き、そのまま目的地へ向けラストスパートに入った。



「(本音を言えば、"自販機の森"から抜けられれば充分だったときは、タイミングを見て他の連中に押し付けようと、思っていたが……無理だな)」


「(こればかりは、自分の手でカタをつけるしかない! 現場の連中に任せるのも、援軍として新たな中級神を送りこむのも、リスキー過ぎる!)」



 さすがの彼等も、理解したのだ。


 このまま現場の部下に任せていたら、造反者が生まれて闇神有利になるうえ……最悪の場合、全てメグミに喰われて彼の成長を助けるだけだという事を。



「(働神がこれ以上力をつけたら、変な方向にトチ狂って我々に加護札の受け入れを強制するかもしれない! そうなったら、我々は本当に終わってしまう!)」


「(働き者になって栄達できる……とか、そういう話じゃないんだ! 身体を酷使して何千年・何万年も働き、それで栄華を極めたとて……なんの旨みもない)」



 彼等は目先の損益だけでなく、長い目で物事を考え適切に搾取できるからこそ、上級神まで到達した"プロ"。


 長期的な不利益を回避して、今後も甘い汁を吸うためなら、一時的に<恵のダンジョン>で不快な思いをするのも、仕方ない……と割り切ることができる。






 そして「損して得取れ」という判断は、<恵のダンジョン>に近づくにつれて目に見えて不潔になる環境を打破し、転移ポイントまで上級神達を誘った。


 この期に及んで、ライバルだけ<恵のダンジョン>へ放りこみ自分は逃げよう、などという……クソ野郎はいない。



 「諦めてダンジョンに潜り、自らの手でトドメを刺すべき」と考える上級神が、多数派を占めたこの状況で、もし逃亡など企てたら……


 その場は良くても後々この一件を責められ、寄ってたかって"報復"名目で搾取されるのが目に見えている。


 だからこそ、「不幸なのは自分だけじゃない」と自らを慰めつつ、糞ダンジョンに足を踏み入れる覚悟を決めたのだ!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


上級神の皆様、ようこそ<恵のダンジョン>へ!


遠路はるばるご足労いただき、恐縮至極でございます!


至らない事ばかりで申し訳ないのですが、<働神>としての力を存分にふるい皆様をおもてなしできるよう、精魂尽き果てるまで頑張る所存でございます!


ごゆるりと、楽しい時間をお過ごしくださいm(_ _)m


お帰りの際は"お土産"も用意してございますので、お手数ですが一言お申し付けくださると幸いでございます。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 ゆえに、目の前に「煽りにしか見えない看板」が立っていても怒る者はいない。


 ただ黙って看板をへし折り、記された文字が読めなくなるまでメタメタに踏み潰すだけである。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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