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932話 もうどうにも止まらない




 これまでも汚物まみれの空間を突破してきたのに、今さら「下痢している"チン出し爺"を殺しに行くのが嫌」はおかしいって?


 何事にも程度というものがあり、すでに発酵したブツより出したてホヤホヤが嫌なのは、当然だ。



 また討伐軍は一応味方扱いなので、闇神ほど汚物攻撃の危機に晒されておらず、多少なりとも「そういうモノに対する抵抗感」は残っていた。


 すでに耐性スキルはMax値まで引き上げられたが、スカベンジャースライムに包まれた養殖行軍では、メンタル修行にも限界があったのである。



 何よりヤバイのが……距離が近すぎて、その気になると「相手の状況やおおよその言動」を読み取れてしまうこと。


 討伐軍が来る前に流された鬼畜クッキング動画について、察する事こそないものの、聞きたくもないのに隣の部屋から下痢の音が聞こえてくる。



「(長すぎるだろう。滝じゃねぇかよ)」


 普通精々30秒といったところだが、闇神のミッションルームからは5分以上「ブリブリブリブリッ」という音が流れ、不快感を撒き散らしていた。



 これは単に、香辛料を直でブチ込んだ結果……闇神の腸がクーデターを起こして、ブツを出し終えた後もヒリヒリ感が消えなかったからである。


 仕方なしに闇神は、アイテムボックスから乳飲料を取り出して無限飲みし、消化管を"大掃除"することで腸の機嫌をとっているのだ。



『(クソッ! 冷静に考えれば、香辛料をブチ込むなんて暴挙……回復魔法でも癒しきれない。該当部分を摘出して取り替えてもいいが……いや、ダメだな)』


 切除からの自己再生による復活は、それなりにリソースを持っていかれるうえ、敵地でやると地名的な隙が生じる。



 未だライバルである「討伐軍の上級神達」は姿を見せないが、中級神達がすぐ隣にいるうえ自販機軍団まで鎮座している状況で、ソレをするほど……


 闇神の肝は据わっていなかった。






 だが当然、ケツ丸出しでトイレの呪縛霊となっている闇神を、メグミ達が放っておいてくれるわけもなく……


 巨大モニターには「煽るような歌詞のカラオケ動画」が映り、同じ爺であるモンティートが嬉々として"煽り芸"を披露。



<−−− ズンチャカズンチャカ〜♪ もうどうにも止まらない〜♪ −−−>


『うっせぇわ!!!!』



 リズム感こそあるが絶妙に下手な歌声と、嫌がらせのようにズボンの上からオムツを履いて、腰を振り踊る姿。


 最後には「僕も歳でオムツ愛用勢になっちゃったし、君も元気だしなよ〜」という、ケンカを売っているとしか思えないメッセージが。



<−−− ブリブリブリブリブリッ! −−−>


 未だ止まらないため、便器から腰を上げてモニターを殴りに行くことこそできないものの、キレた闇神は魔法弾を放とうとして……


 一時的に呼び戻されピンポイントで狙っていたアスタリアによって、その魔法からまたリソースを泥棒された。



『うがあぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!』


 キレてもケツ丸出しでブリッている状況には代わりないため、格好がつかない。


 ただ乳飲料を飲みすぎてダダ流しになった下痢便が、より勢いよく排泄され、便器が汚れるだけである。






『フゥーッ、フゥーッ、フゥーッ、フゥーッ……ダメだ、冷静になれ。一旦落ち着いて、この状況を利用する手を考えよう』


 どうやって「トイレの呪縛霊」と化した、ただ汚く恥ずかしいだけの状況を利用するのか?


 もしマトモな側近が残っていたら、ツッコミを入れてくれたかもしれないが……残念ながら、この場にいるのは「狂った自販機軍団」だけだ。



『う〜ん』


<−−− ブリブリブリブリブリッ! −−−>



『う〜ん』


<−−− ブリブリブリブリブリッ! −−−>



『そうだ!』


 リアル"ウン"をしながら考えること2分……根っからの搾取主義者である闇神は、案の定な作戦を思いついた。



『捨て駒としてこんな肥溜めの中で使い潰されている以上、隣にいる中級神共も限界が近いはず……。前回は失敗したが、今度こそ"寝返り"を呼ぶチャンスだ』


 冷静になって考えろ!



 たしかに討伐軍の上級神は搾取体質のクズばかりであり、ようやく<恵のダンジョン>に合流しそうな状況とはいえ、現場の中級神達を使い潰した。


 だがそれでも、トイレでブリッている「よりクズかつ落ち目の上級神」を上司にするよりはマシだろう。



 それ以上に、この状況下で闇神勢力へ寝返りなんかしたら……イっちゃっている魔王<メグミ>に、どんな嫌がらせをされるか分からない。


 <働神の呪い>をかけられ壊される程度ならまだマシで、下手をすると闇神のように「無限ウンコ製造マシーン」につくり変えられてしまう可能性も。



 いくら神格に差があるとはいえ、部下となる中級神側にも「ボスを選ぶ権利」はあるのだ。


 誰が好きこのんで、良いところ皆無かつ落ち目で糞垂らしな敵神へ寝返り、得られる可能性が極端に低い「栄達の可能性」にかけて働くだろうか。


 闇神は、乳飲料の前に一般常識を身体に叩きこむべきだろう。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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