931話 似ているようで違う
自爆でケツが大惨事になり、便座に座ってシクシク泣いている闇神と、その様子を見て笑いながらコントを繰り広げる、メグミ達は置いておいて……
今回の仕掛けは、あくまでも<恵のダンジョン>の施設を利用したものなので、遅れてたどり着いた討伐軍の中級神達にも似たような試練は降り注ぐ。
ただ一つ違うのは、モニターに流れる映像が「食欲減衰用の不潔クッキング動画」ではなく、「働神の働神による労働教信者のための説法」だということ。
ツッコミたい気持ちは分かる。
これは見方によっては、不潔クッキング動画と大差ないレベルの嫌がらせだ。
しかし不潔クッキング動画を流した時とは違い、働神<メグミ>に悪意は一切なく、ただ「これを見てモチベーションを高めてほしい」と考えただけ。
実際のところ……こんなモノを流されたら、モチベーションアップどころかやる気がますます失せて、ボイコットしたくなるのがオチである。
だが価値観狂いまくりのメグミに、今さらそんな説明をしても理解できないし、素直な心が失われると加護の威力も下がってしまうので……
メグミの側にいて全てを理解しているモンティート達は、「見ざる・聞かざる・言わざる」の精神で、彼のありがた迷惑な布教活動を野放しにした。
その結果……ミッションルームに入った中級神達は、2つの映像を見せられることとなる。
一つ目は、聞くだけで眠くなるような「坊主の説法」方式で、クドクドと労働の良さについて説くメグミの、カルト宗教映像。
もう一つは、自ら衣服を脱いで"モロ出し"状態になり、ケツから山盛りの激辛料理を食って自爆した、闇神の黒歴史映像だ。
<−−− ポクポクポクポク…… −−−>
『働く際に大事なことは、仕事を与えてくださる全ての方に感謝し、神に尽くすがごとく誠心誠意努力すること! ただ無意味に頑張るのは礼を失する行為であり〜』
まず、メグミの戯言……ゴホンゴホン!
働神の働神による労働教信者のための説法は、イっちゃってるので聞く価値などなく、ただただ「加護札を貼り付けられて壊された自分」を想起させ……
中級神達を怯えさせるだけである。
とはいえ所詮は動画でしかなく、リアルで自販機が迫ってきたり加護札が飛んでくるのに比べれば、嫌がらせとしては弱いため……
これまでのアレコレで免疫がついた中級神達は、備付けの自販機でノイズキャンセリングイヤフォンを買って、ほぼノーダメージで受け流した。
しかし、もう一つの方……自ら衣服を脱いで"モロ出し"状態になり、ケツから山盛りの激辛料理を食って自爆した、闇神の黒歴史映像を見せられて……
無傷でスルーできた者はいない。
ターゲットである闇神の情報を、ノイズキャンセリングイヤホンなんかつけて遮断した日には、上司神から「加護札の洗礼」を命じられてしまうので……
「見ざる・聞かざる」で受け流すこともできず、最初から最後までキッチリ視聴してしまったから。
「オエェェェ〜〜〜〜! キモッ、キモ過ぎるっ!」
ショックを受けすぎてストレス耐性が大幅強化された中級神達でも、モロ出しで「超臭そうな垢に埋もれた<ピー>」を見せられた衝撃は堪えきれなかった。
なんせ、画面越しでもムワ〜ンと臭うのだ。
部下の下級神や宮仕えの悪魔に制裁を加える際、裸にひん剥き腑分けするため、裸体慣れている中級神達でも、不潔極まりない<ピー>には嫌悪感を抱く。
そして吐き気がおさまる間もなく、自らケツを突き出して激辛料理をブチ込む闇神。
なぜかカメラもズームして、その様子を舐め回すように撮っているため、キモい事この上ない。
『ア゛ア゛ァァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!?』
狂ったとしか思えない行動をとった闇神は……案の定、香辛料爆撃に完敗して気絶し、1分経たずに目覚めてトイレの住民となる。
この一連のキモ映像を、生々しい音付きで見せつけられて、闇神が食べたのと同じ料理である「目の前に置かれたモノ」を、食いたいと思えるだろうか?
マトモな神経を持ち合わせている者は、躊躇するに決まっているし……泣きながら下痢便音を奏でる闇神と同じ運命など辿りたくないと、考えて当然だ。
「この料理、そんなにヤバイのか? いや、たしかに辛そうだが……。そもそもの話、なぜ闇神はコレをケツから流し込んだんだよ?」
闇神と違い不潔クッキング映像は見せられていないため、中級神達の目には「眼前に置かれたモノ=ただの激辛料理」にしか見えていない。
もちろん普通に食うと辛味成分に苦しめられる事になるが、だからといってケツから食うよりは100万倍マシだろう。
というか、大皿山盛りの激辛料理を突っ込むなんてどうかしている!
「最近ずっと一人で戦っていて寝ていないからな。闇神もそろそろ限界か? イジメ抜かれて、狂っちまったのかもしれねぇ」
前提となる情報が欠落したことによって、中級神達の脳内では「闇神限界説」が浮かび、「意地悪され続けた闇神が精神崩壊した」……と錯覚した。
だが自ら闇神にトドメを刺しに行こうとする者は誰もおらず、嫌々ではあるものの、一神また一神と激辛料理に箸をつけ食べ始める。
彼等だって、目の前にある「なんかヤバそうな料理」を食べるのは嫌なのだ!
しかしそれ以上に、臭い<ピー>モロ出しで便器に座り下痢便音を奏でている闇神の部屋へ、襲撃をかけになど行きたくないのである。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)