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923/932

923話 認知がズレている




 「閃いたら即行動!」ということで、執事オートマタから"口裂け女"の要望を聞いたメグミは、さっそく闇神を煽るインタビュー映像を集めた。


 何もかも失って絶望のドン底にいる、元下級神から素材を集めるのは簡単。


 近くにいる<農民><小鬼>同盟のモンスターを、彼等のダンジョンへ派遣し……彼等に僅かな食べ物を与える代わりに、呪詛を吐かせればいいだけだ。



 彼等は、自分達から搾取した魔王であるメグミ達のことも嫌っているが、それ以上に元凶の闇神を恨んでおり……


 対価ナシでも、依頼すれば喜んで応じるだろう。



 しかし特定のワードを混ぜたり、呪詛の方向性を誘導して、より闇神にダメージを与えられる"作品"に仕上げるためには……


 多少の"演出"も必要なので、渋られず話を進めるために多少の対価は必要となる。



 闇神とてバカではないため、ムカつく煽りを受けたとき、「言わされている面もある」事には勘付くだろうが……そんなの関係ない!


 格下で地の底まで叩き落した元部下に、「お前も近いうちにコッチに来るんだ」と呪詛を吐かれて、ノーダメージでいられる者などいないからだ。



「ちょっと盛る感じにはなるけど、"口裂け女"さんへの協力表明をさせるのもいいかもね〜。彼女は文字どおり、"闇神への恨みで化けた存在"だし」


 "口裂け女"が何の力も持たない元下級神をどう思うかは分からないが、「闇神への嫌がらせに繋がる」ことは、実体験から理解できるわけで……


 内心がどうあれ、表向きは「敵の敵は味方」理論で協力する姿勢を示し、闇神へ圧をかけるだろう。



「知恵がまわれば、"彼等を取りこんでより強烈な復讐を……"みたいなホラを吹いて、闇神をビビらせてくれるかもしれない」


 吹っ切れて一線を超えた女は、本当に怖いのである。






 そして……女でなくても、<働神の加護札>強制付与によって一線を越えてしまい、哀れな過労ゾンビと成り果てた中級神<エース>がいるので……


 亡命済みの神々から「煽りインタビュー映像」をゲットするのも、難しくはない。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


闇神を貶めるために、亡命者にインタビューをおこない「相応しい映像」を集めればいいのだな。


任せておけ!


これまでの頑張りが認められたのか、上司からも大きな裁量を与えられたし、その程度なら私の独断でも処理できる!



byエース


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 なお……承諾メールにある「上司からも大きな裁量を与えられた」の現実は、過労ゾンビ化してキモくなった中級神<エース>と関わるのが嫌になり……


 どうせ放っておいても働くので、「致命傷になる部分以外は裁量を与えて接触頻度を減らした」という、"哀れな差別"ゆえである。



 中級神<エース>が、拒否したにもかかわらず過労ゾンビ化させられたのは、彼の上司である上級神の命令で加護札を貼り付けられたからなのだが……


 不可逆的な事故が起きても責任など一切とらず、逃げるように距離をおくことで被害を減らすのは、上級神達の十八番。



 壊れてしまった中級神<エース>は、特攻要員にされて闇神に殺されることはなくても、戦争が終わり次第"バイバイ"され……


 数年後には「最初からいなかった奴」として、神々の記憶からも消え去るのである。



 悲惨極まりないが、敗者が淘汰されるのは自然の摂理であり、魔王のメグミも似たような価値観の世界に身を置いているため、特に同情はしていない。


 ただ「なんか干されたっぽいけど、仕事は手早くやってくれるしOK」という評価で、短期的な仕事をゴリ回しするだけだ。






「干されちゃった相手と長期で組むのは危険だし、彼は元々信頼できる取引相手でもないから、短期目線でビジネスライクな関係を〜」


 加護札を生み出したことで、間接的とはいえ「中級神<エース>の没落劇」に関わったメグミも、一応加害者側なのだが……本人にその自覚はない。



 メグミにとって労働は「社会や仲間に貢献できる素晴らしい行動」であり、それを促進する加護札の乱発も、「味方に"恵の輪"を広げる善行」だと……


 心底思っているからだ。


 この建前を本気で信じてしまった系……ありがた迷惑な価値観を、メグミが持っている限り、犠牲者の悲哀は続くだろう。



 また一番腹黒いのは、根本から狂っているメグミではなく、マトモな価値観を持っているのに、利用できるからとメグミを好きにさせている……


 モンティートやマサルといった、清濁併せ吞めるタイプのメンタル強者達。



 彼等は今日も、メグミの突き抜けて狂った社畜パワーを利用して状況を有利に運ぶために、「うわぁ〜。可愛そうwww」と犠牲者に同情しつつも……


 メグミにリソースを集中させて凶化し続け、その被害を拡大させるのである。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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