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921話 理由を知っていると




 上司軍団、来たる。


 この情報は、<恵のダンジョン>内で闇神と戦う……


 という建前のもと、働神<メグミ>のありがた迷惑な影響を受けぬよう足掻いていた中級神達に、魂が吹き飛ぶほどの衝撃を与えた。



「終わった……俺の神生、もうここでお終いだ。あぁ……せめて、衛生的な空間で死なせて欲しかったぜ…………」


「直接殴られるか、特攻命令を出されて闇神に殺されるか、<メグミ>の呪いを受けて神格崩壊かの、3択だろう? それ、生きている意味あるのかな?」



「もう残された時間は短い。せめて最後に、あの大人ルームでもう一発<ピー>して、スッキリしよう。うん、それがいい」


「ちょっと待て! あの部屋は一つしかないんだから、常識的に考えて序列上位の俺が使うべきだ! お前は、スカベンジャースライムにでも突っ込め!」



「なにをぉ〜!」


「ぁん、テメェやる気かよ?」



 自らの破滅を確信して最期にやる事が、「ソロでの性欲解消」という時点で、哀愁を誘う話だが……


 モンティートが定めさせたエロ課税は未だ健在であり、中級神達が己の欲を満たすとリソースが徴収され、より一層"養分化"することに変わりはない。






「それにしても、なんで今更あの神様達……来るんだろう? これまで何かにつけて俺たちに負担を押し付け、後ろで楽してきたのに……」


「知らねぇけど、そろそろ本格的に闇神がヤバイんじゃねぇの? ここに入った時点で、もう随分くたびれていただろう」



 手持ちのリソースが目減りし続け、周りを「悪魔の自販機」に囲まれて、闇神が泣いているのは事実だが……


 残念ながら、上司軍団は本心から「トドメを刺して戦争を終わらせに来た」訳ではなく、すぐ側にあった"自販機の森"から逃げただけ。



 しかし部下に対して自らの恥部を正直に告白するような、誠実な上級神など一神もいないため……


 現場の中級神達が事実を知ることはなく、「自分達が不甲斐ないから、後ろで楽をしようとしていた上司軍団が、呆れて出張ってきた」と勘違いしたまま。



 ゆえに自分達に待ち受けているのは、粛正・左遷・神格破壊etc.の罰であり、「もうチャンスは残されていない」と絶望しているのだ。


 彼等の上司は、メグミ達を可愛がる<農民>同盟のような「優しい爺婆」と違って、「部下の生き血をすするサイコパス」ばかりだから。






 そんな感じで絶望一色に染まり、追い詰められて化けの皮が剥がれ、スカベンジャースライムの中でケンカし始めた、討伐軍の中級神達と違って……


 自販機の監視カメラ越しに、「上級神達がなぜコチラへ来ようとしているのか」確認した<農民><小鬼>同盟は、そのあまりの酷さにズッコケていた。



「ハァ〜。僕……メグミ先輩の後輩ポジションでも、ブラックだと思っていたけど……格違いにヤバイ上司っているんですね。コッチ所属でよかったです」


「おぃカルマ。ショックがデカ過ぎて、取り繕うのを忘れているぞ! メグミ先輩に聞かれて、"働神の仕置き"とかくらったら人生終了だ!!」



 中でも大きなリアクションをとったのは、<農民><小鬼>同盟の下っ端ポジションにいるカルマ&スティーブ。


 彼等は「容赦なくコキ使われる」という共通点があるからこそ、こんな上役に振り回されて絶望している、中級神達に同情し……


 それと同時に、「自分達があの立場にいなくてよかった」と心底安堵していた。



 恐怖のどん底で泣いている中級神相手に、容赦ない徴税攻撃を仕掛けてリソースを奪い取っている、彼等の上役<モンティート>も大概だが……


 モンティートは「欲がなく味方にも優しい爺」なので、クズ道を極めた上級神達と比べると、「極めてマトモなリーダー」に思えてくる。






 そして、スティーブ達と同じ映像を見たメグミはというと……


「ハァ〜。せっかく頑張って設置したのに、逃げ出さなくても。もっと課金して欲しかったなぁ〜」



 上級神達がクズな事などとっくに織り込み済みであり、彼等の逃亡によって"見込み顧客"不在になってしまった、闇神領・中心部に設置済みの自販機を……


 これからどう運用するか、真剣に考えを巡らせていた。



「カモが皆いなくなった以上、自販機も引きあげて僕自身にリソースを戻すか? だけど一度引くと、再設置が必要になったとき苦労する」


 たっぷりとリソースを注がれ神になったことで、自販機を乱造できるようにはなったが、創るたびにキャパを削られるのは変わらない。



 それゆえ顧客不在にも関わらずキャパを食っている、闇神領・中級神の"自販機の森"をどうにかして、運用効率を上げることは急務であり……


 "成果"をこよなく愛する働神として、「最優先で取り組むべき課題」ができたため、「上級神がどれだけクズか談義」に花を咲かせる暇などなかったのだ。



 もちろん働神として、スペックのムダ遣いをしている上級神達に加護札を貼り付け、「清く・正しく」労働させたい欲はある。


 だが……彼等用の加護札はすでに送付済みなので、メグミなりに「もっと効果の高いアイテムじゃないと、役不足で使ってもらえないんだな」と弁えていた。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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