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914話 「カッコイイ」の対極にある昇格




 闇神が「敵の腹の中にいること」に気付き、不可解な搾取スキームを訝しんでいる頃……


 <農民><小鬼>同盟の軍事拠点と化しているカルマのダンジョンでは、神達から搾取に搾取を重ねて得たリソースが、メグミに注入されていた。



「おぉ〜。目覚めたときには当たり前のようにブッ壊れていた腰が、回復していく! いくら回復魔法をかけてもダメだったのに……リソースって凄い!」


「そりゃあお前の腰は、物理的にブッ壊れたんじゃなくて酷使し過ぎて筋疲労を起こしただけだし、当然だろう」


「萎びた原因の"精力切れ"も、外傷じゃなく自然現象だから回復魔法の適用外だしね。回復系には絶倫になるタイプの魔法もあるから、一概には言えないけど」



「ちょっと二人共、冷静に突っ込まないでくださいよ! マサルもモンティート先輩も、僕をイジるのが趣味になっていませんか?」


「「ツッコミ要素しかない方が悪い!」」


「酷っ!!」



 病人用ベッドに横になりつつ、プンスカ文句を垂れていたメグミだったが、神々から徴税したリソースを注がれるにつれ、どんどん元気になり……


 ベッドから起き上がって、元気にリアクションをとりながら不服を表明するまでに、回復した。



 当然、それを見たマサルとモンティートは……


「モンティート先輩。もう少しリソース注入を後回しにして、寝かせておいた方がよかったですかね〜? ギャンギャン騒がれて鬱陶しいんスけど」



「仕方ないよ。この辺りで回復させておかないと、もう一発過労ブーストをキメて、<恵のダンジョン>の礎になってもらえないでしょ? デメリットは諦めて」


「了解です。上級神すら嫌がるレベルの狂神を飼っている訳ですし、多少の騒音は呑むしかないっスね」



 「元気になって公害度も増した」と言わんばかりに、揃って鬼発言をキメ、さらにメグミのやかましさを増幅させる。


 メグミの腰を動かなくした張本人であるサーシャにとっては、公開パワハラ甚だしいが……


 彼女も、「親しい男友達と先輩相手に噛みつくメグミ」を眺めるのが好きなので、メグミの不満は全員から華麗にスルーされた。






 そして……


「グスン! そんなに意地悪されると、僕拗ねて泣いちゃう……あれ?」


 地団駄を踏んでもスルーされたメグミが、構ってちゃんムーブをかまして嘘泣きしたところ、僅かに出た涙がおかしなことに。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜働神の雫〜


働神<メグミ>が、感情を暴走させて流した涙。


この雫を栄養がある土壌に植え、聖水をかけて育てると、全経営者の夢である「<清く・正しく・健やかに>無限労働する奴隷」に対象者をつくり変えられる、<搾取の実>が実る。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「お前、ついに涙までアイテム化されたな。スティーブの上位互換じゃん! お前が生み出すのは特級呪物限定だから、関わりたくはねぇけど」


「酷っ!?」



 マサルがドン引きするようなアイテムを、涙を流すだけで生み出すほど、リソースを注がれたメグミの神格は上がり……


 神としての実務経験すらロクに積んでいないにも関わらず、中級神に昇格したのだ!



 なお……影の力持ちとしてブラック労働を続けてきたのに、長所の「アイテム生産能力」すらアッサリ凌駕されてしまった、スティーブはというと……


「生産能力も威力も、明らかにメグミ先輩の方が高い! という事は、僕はあの"生産地獄の日々"とは二度と無縁の人生を生きられる!?」


 心身共に崩壊しかけた「水属性アイテム大量生産の日々」が二度と再来せず、健やかな人生を歩める可能性に目を輝かせていた。



 長所すらアッサリ追い抜かれたショックなど、これっぽっちも無い。


 スティーブにとってメグミは、元々「規格外の怪物」であり、「どんな場面でも自分が下」と潜在意識に刷り込まれていたから。






「(<働神>が側にいて、後輩の立場でのんびりできるわけないでしょう。まぁ今現実を突き付けるのは可哀想だから、闇神との戦いが終わるまで待つけど)」


 ダンジョンポイントランキング1位とはいえ、実力では「中級神になったメグミ」に完全に逆転されてしまったモンティートにも、悲壮感は見られない。


 彼はもう老人ゆえ、身体能力では以前からメグミやマサルに負けていたし、常に「いつ逆転されても受け入れる」覚悟をしてきた。



「(まさか、こんなおもしろ展開で序列逆転されるとは思わなかったけどね〜。体液が全て"労働へ導くアイテム"に変わる神様とか、面白すぎるでしょう!)」


 今はまだモンティート以外誰も気付いていないが、「ありがた迷惑なアイテム」に変わるのは涙だけじゃなく、唾・汗・アレな液体……全てである。


 <ピー>の度にその加護を強制付与されるハメになった、サーシャがどう「労働の道」を極めるかは不明だが、無事では済まされないだろう。



 もし"彼女の激務"の向く先が「メグミの再起動」だった場合、メグミは自分で加護を与えて、その加護によってより激しく搾り取られ枯れ果てるという……


 滑稽な営みになるのだが、そこを深く突っ込むとセクハラになってしまうので、「見ざる・聞かざる・言わざる」するのが"いい先輩"の処世術だ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
あれ?聖水かけなかったら意味ないわけじゃないんだ。
滑稽な営みになるのだが、そこを深く突っ込むとセクハラになってしまうので、「見ざる・聞かざる・言わざる」するのが"いい先輩"の処世術だ ただ面白がっているだけでは?
もうメグミは最愛のサーシャを相手に、まともな肉体関係を楽しめない体質になってしまったというのか? 何て恐ろしい展開だ・・・!
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