912話 コチラも気付いた!
神々による追いかけっこが行われている場所が、<サルトー区・ポルカト界>ではなく<恵のダンジョン>だという事実は……
鑑定で気付いた闇神が激昂した事によって、その様子を監視していた討伐軍の上級神達にも伝わった。
糞尿&虫のみならず、闇神の<ピー>映像が流れる地獄絵図が続き、あまりにも絵面が汚かったため、モニターはOFFにしていたが……
音声だけは(特定の虫の音を除いて)聞こえるよう調整し、コソコソ覗いていたのだ。
ちなみに……闇神が<サルトー区・ポルカト界>に潜っている間に、闇神領所属の世界を乗っ取ろうと企んだ、討伐軍の上級神達は……
闇神の華麗なる「負債の盾」によって、闇神領まで来たものの企み潰え、<サルトー区・ポルカト界>への移界地点まで行こうかどうか迷っている。
「自分達も乗り込む」「出てくる闇神を待ち伏せ」「諦める」の3択なのだから、潔く決めればいいのに……
<サルトー区・ポルカト界>と思い込んでいた<恵のダンジョン>付近に出没する、ガサゴソと蠢く不潔な虫がキモすぎて、未だ決断できずにいた。
当たり前のように、衛生的な環境で暮らしてきた彼らにとって、メグミプロデュースのO・MO・TE・NA・SHIは、触れただけで心折れるものだったのだ。
『なにっ、彼処が<恵のダンジョン>だと!? ちょっと待て。だとすると送られてきたこの加護札も、あんな不潔な場所で製造……うわあぁぁ〜〜〜っ!?』
『消毒っ! 消毒ぅ〜〜〜っ!!』
<恵のダンジョン>と言われて、つい一番印象深い「ありがた迷惑な加護札」を思い浮かべ、それと"汚物漬け"を組み合わせてしまった彼等は……
慌てて加護札が封印された箱を放り投げ、札に触れてしまった手を消毒し始めたが、彼等は耐性の化け物である上級神。
多少の不潔攻撃ではビクともしない、頑丈な肉体を持っているはずである。
だが物理的に耐えられようと、精神面は別……キモイもんはキモイのだ!
放り投げられた哀れな加護札は、上からエタノールと次亜塩素酸水をたっぷりかけられ、一回り大きな箱に再封印されることとなった。
「それで、この呪いの箱は誰が持つ? 抗議すると、謝罪名目でまたこの呪符を送りつけられかねないし、捨てるわけにもいかんぞ」
「これだけ封印したんだから、異空間に放り込んでおけば無害だろう。誰の異空間を使うかは……ジャンケンで」
「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」
自治領<サルトー区・ポルカト界>が、一介のダンジョンでしかない<恵のダンジョン>と入れ替わっていると知った、ファーストリアクションが……
加護札(笑)の押し付け合いなんて、緊張感のない話だが、彼等にとっては(ウンコを懐に仕舞う罰ゲームと同等ゆえ)重要なことなのだ。
そして……
『あぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!?』
哀れな犠牲者(笑)が決まり、他の神々が"懐の安全"を確保したところで、ようやく「なぜ世界が入れ替わったのか?」の確認が始まる。
『それにしても、どうして<サルトー区・ポルカト界>が<恵のダンジョン>と入れ替わった?』
『ダンジョンマスターのメグミは、下界暮らしとはいえ加護札を乱発できる程の力量を持つ下級神。となれば<恵のダンジョン>は、神が治める世界となる』
『なるほど。理論上可能な入れ替えなのか』
そこで神々は、闇神の襲来を知ったメグミが討伐軍の協力要請を断ったとき、不穏な文言を添えていたことを思い出す。
『『『『『『『『『『もしかして……』』』』』』』』』』
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上級神様達の提案、ありがたく読ませてもらいました。
僕等みたいな木っ端魔王に情けをかけてくれて、本当に嬉しかったし、頑張って協力して良かったと改めて思った次第です。
ただ残念ながら、上級神様達と僕等じゃ価値観が違いすぎて、払える費用や立ち回りの規模もズレちゃうし、それをすり合わせる時間的余裕もないので……
申し訳ないですけど、いただいた提案はお断りさせていただきます。
勝てる見込みは限りなくゼロに近いですが、僕等なりに精一杯頑張って闇神の襲撃に抗い、死ぬ前に一矢報いられたら。
そう考えて、ザコなりに知恵を巡らせ迎撃準備を進めているところです。
もし闇神を追って<サルトー区・ポルカト界>に来られる場合、討伐軍の皆様がその迎撃の余波を受けてしまうかもしれないので……
ムダな遺恨を残さぬためにも、事前にご一報いただけると助かります。
byメグミ
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この「ザコなりに知恵を巡らせ〜」の結果が、<サルトー区・ポルカト界>と<恵のダンジョン>の入れ替えだったのだ。
すでに気付いても時遅しで、討伐軍の中級神達はガッツリ<恵のダンジョン>の中に入り、糞尿と虫のコンボに卒倒したうえ……
スカベンジャースライムの中で男の欲望を発散し、「ダンジョンに生命エネルギーを搾取される餌」と化している。
そして上級神達自身も、とんでもないモノを見せられて何度も吐いており、挙げ句の果てには加護札(笑)が物理的にもダメージを付与。
心身共ボロボロになってしまったため、取り返しがつかない状況なのだが。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






