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898話 文句を言うにも気力がいる




 さて……中級神達が汚物空間に入って卒倒し、涙目で"追い課金"を迫られた場面は、討伐軍の上級神達もリアルタイムで監視していた。


 彼等にとっても「闇神vsメグミ達」の動向は気がかりであり、神権<天見鏡>にリソースを注ぐことによって、解像度を上げていたわけだが……



 その結果、<農民><小鬼>同盟の動向や中級神の働きだけでなく、ブクブクと泡を生み出す発酵した糞尿。


 そして<働神の加護>で脅してもなお、バイオハザード攻撃の前に撃沈してしまった、部下達の情けない姿までクッキリ見えてしまったのは、皮肉な話だ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜天見鏡〜


リソースの注入量を調節することで、「自分の管轄する世界〜敵対する相手の支配領域」まで、大部分の様子を映し出し、その映像データを保管できる特殊な魔鏡。


一定レベル以上の防視結界etc.を張られていた場合でも、それを突破するために必要なリソースさえ支払えば、監視を強行できるが……


追加料金があまりに膨大すぎるため、そうなると実質「監視不可能」となり、別の手段に切り替えざるをえない。


だが基本料金は<天見鏡>が一番安いので、上級神の多くはこの監視方法を採用している。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






「オエェェェェェ……ッ! これが秘策……か。だからメグミは、我々が防衛協力を申し出たとき、あんな事を言っていたんだな……」


 こうなる少し前のこと……有償の防衛協力を持ちかけられた際、今後長々と搾取されることを恐れて、金欠を理由に断ったメグミは……


 闇神に対する具体的な防衛策こそ教えなかったものの、一応味方という事で、同時に「入ってくるときは教えてね」と軽い警告を発していた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜メグミの手紙(該当部分抜粋)〜



勝てる見込みは限りなくゼロに近いですが、僕等なりに精一杯頑張って闇神の襲撃に抗い、死ぬ前に一矢報いられたら。


そう考えて、ザコなりに知恵を巡らせ迎撃準備を進めているところです。


もし闇神を追って<サルトー区・ポルカト界>に来られる場合、討伐軍の皆様がその迎撃の余波を受けてしまうかもしれないので……


ムダな遺恨を残さぬためにも、事前にご一報いただけると助かります。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 しかし上級神にとってメグミ達は「格下の存在」であり、彼等の足掻きに巻き込まれて、討伐軍がダメージを受けるなんて思っていなかったため……


 わざわざ一報入れたりせず、当たり前のように闇神を追って<サルトー区・ポルカト界>……と思われる空間に、部下と監視の目を入れてしまったのだ。



 よく考えると……これまで"直接的なダメージ"こそ受けていないものの、<農民><小鬼>同盟の悪辣な嫌がらせは、闇神すら逃げ出す一級品なので……


 念のために一報入れておくべきなのだが、所詮「何かあっても自分が被害を受けることはない」とタカを括っていた上級神は、見事に目を穢された。



 後悔しても、もう遅い!


 彼等の優れた記憶力は、すでに「発酵ウンコ&這い回る虫」の映像を脳に刻みこんでしまったため、未来永劫この件のフラッシュバックに苦しむハメになる。






「どうする? 今からでも一報入れておくか?」


「その方が良さそうだな。現場で地獄を見るのは中級神共だから、まぁいいとして……これ以上バイオハザードで手駒を潰されるのはキツイ」



「恐れ慄いて逃げ出した無能には、当然<働神の加護>札を下賜するんだよな?」


「勿論だとも! 札を貼って理性を壊滅させ、スカベンジャースライムに入らずともあの肥溜めを爆走できる、"本物の社畜"につくり替えてやるわい」



 直前まで食べていた高級食材をゲロってしまい、苛立ってはいるものの、「下等生物が暮らす肥溜めのような環境(笑)」にビビってしまった現在では……


 モンティートやメグミに脅しをかける気力もわかず、<農民><小鬼>同盟への対応は穏便に済ませた、討伐軍の上級神達。



 しかしその傲慢さは健在であり、「自分達に逆らえず価値観が近い」現場の中級神には、相変わらず威圧的に出て……


 泣きながら<サルトー区・ポルカト界>(の場所にある<恵のダンジョン>)を脱出した部下に、職務怠慢の罰として<働神の加護>札を貼るよう命じた。



 それと同時に彼等は、自発的に<天見鏡>の解像度を3段階下げ、這い回る蛆虫やゴキブリが見えぬよう自主規制。


 結果として<恵のダンジョン>は、たいした防視対策が施されている訳でもないのに、「ボヤッとしか監視されない特殊空間」となる。



 なお闇神は討伐軍の上級神達と違って、<サルトー区・ポルカト界>(の場所にある<恵のダンジョン>)に侵入する前から、嫌な予感をおぼえていたため……


 自衛のために、透視の解像度を落としていた。


 結果として、その地獄を物理的にくらうハメになってしまい……本末転倒もいいところだが。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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