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896話 闇神さん、いらっしゃい!




 嫌な予感で足がすくむものの、すぐ後ろには討伐軍と"口裂け女"が迫っており、移界しなきゃこれまでの努力が水の泡……という状況の闇神。


 そんな彼は、生焼けのまま死んでひっくり返ったゴキブリを、八つ当たりのように踏み付けながら歩みを進め、移界ポイントにたどり着いた。



「本来なら、ここに私だけが通れる"移界の扉"を創り、後ろにいる敵共を置き去りにするのがセオリー。だが、おそらくこの中は地獄」


 <サルトー区・ポルカト界>の詳細や、そこで自分を待ち受けているものについて、正しく把握しているわけではないものの……



 ゴキブリの出没から、この先が「想像以上に汚いゴミ箱」である事を見抜いた闇神は、自分一人で抜け駆けする案を却下。


 あえて「誰でも通れる"移界の扉"」を創り、後続の連中もまとめてゴミ箱内へ引きこむことによって、地獄へ道連れにしようと企んだのだ。



「ターゲットを殺して地獄世界へ舞い戻ったら、すぐに"移界の扉"を閉じて、討伐軍の連中と"口裂け女"を<サルトー区・ポルカト界>へ閉じこめる!」


 闇神としては、「これで敵をまとめてゴミ箱へ放りこみ、本命である討伐軍の上級神達と直接戦う状況に持ちこめる」と考えているが……



 生憎と、地獄世界と繋がっているのは<サルトー区・ポルカト界>ではなく<恵のダンジョン>。


 もし仮に、丁度いいタイミングで"移界の扉"を消して彼等を閉じこめたところで、カルマの<コマンダー>によっていつでも帰還されてしまう。



 だが……その事実を知っているのは<農民><小鬼>同盟だけであり、討伐軍の上級神ですら、「どうやって闇神を撃退するつもりか」知らないため……


 現時点で闇神が読み間違えて、「敵の移動の手間を減らす」墓穴を掘るのも、無理ないことだ。






「ふむ。特殊なパスコードはないな。普通に接続されている。多少、接続が粗い気がするが……管理していたのが邪神だからな。適当にやっていたのだろう」


 格下のアスタリアが<恵のダンジョン>と付け替えたため、どうしても接続処理が粗くなってしまい、微妙な不自然さが生じていたのだが……


 闇神は「邪神の仕事が雑だったせい」と決めつけ、詳しい確認を経ないまま"移界の扉"を生み出した。



<−−− ガチャッ! カサカサカサカサカサ…… −−−>


 そして間近に迫った討伐軍&"口裂け女"に見せつけるように、そそくさと扉を潜って移界を済ませ、意図的に後を追うよう仕向ける。



 扉を開いて世界を繋いだことに伴い、再び<恵のダンジョン>から数多のゴキブリが侵入して、地獄世界を"本物の地獄"に変えたが……


 この程度でビビっているようでは中になど入れないし、闇神はすでに「ゴミ箱対策」の結界を身に纏っていたため、(精神面以外)ノーダメージ。



 「あまりにゴミ箱の中が汚すぎて虫が湧いたのだ」と、見下した価値観で決めつけつつ、完全に追いつかれる前に<サルトー区・ポルカト界>……


 の座標に付け替えられた<恵のダンジョン>に移り、メグミが丹精込めて創りあげたO・MO・TE・NA・SHIをくらい、嫌悪感のあまり絶叫した。



「何だよ、この肥溜めはっ! 邪神の野郎、なんて雑な管理をしていやがった!! 今すぐ出てこい。殺して、この糞プールに叩き込んでやる!!」


 いくら闇神が最強といっても、それはスペック面での話であって……汚物耐性まで優れているわけではない。



 長年傅かれて衛生的な環境で暮らしてきた彼にとって、この「ゴミ箱なんかより遥かにヤバイ環境」は、完全に想像を超えており……


 気持ち悪すぎて、耐えられるものではなかったのだ。






<<<<<<<<<<−−− ガサガサガサガサガサ……! −−−>>>>>>>>>>


<<<<<<<<<<−−− ウネウネウネ……ネチョネチョ……! −−−>>>>>>>>>>


<<<<<<<<<<−−− ヴ〜〜〜〜ンッ! ヴンヴンヴ〜〜ンッ! −−−>>>>>>>>>>



 躾けられた"教え"を忠実に守り、躊躇わず闇神に飛びつきパンツの中に潜り込もうとする、発酵ウンコ濡れのゴキ達。


 そして……その後を追うように、足元から忍びこんでゴール(=パンツの中)を目指そうとする、ウジ虫と……


 至る所に卵を産んで、汚染された環境での暮らしを満喫している無数のハエ。



 これまでの闇神なら、火魔法で全て燃やし尽くしていただろうが、今回ばかりはそうもいかない。


 なぜなら此処で高火力の魔法をブッ放すと、その衝撃で周囲を埋め尽くす大量の糞尿が空高く舞いあがり、数秒で落下に転じて闇神の頭に降り注ぐから。



 もしそんな事になってしまえば、すぐ後を追ってきた討伐軍と"口裂け女"に情けない姿を見られて、闇神の尊厳はへし折られてしまう。


 あまりにも汚すぎて、嫌悪感から脳が全ての思考を拒否するなかでも、それを悟った闇神は、涙を呑んで歩みを進め……メグミ達を探し始めた。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
思考誘導凄いな。 「糞尿が空高く舞いあがり」だけ警戒してるってことは、「範囲内に自販機があってカウンター食らう」可能性が思考から消えてる
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