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892話 漏れちゃった


〜闇神side〜




 不愉快な草花が生い茂り、呪われた自販機に囲まれてしまった、私の直轄領を避けて、新たな環境で仕切り直そうと考えた結果……


 たどり着いた、<サルトー区・ポルカト界>への移動。



 しかし私の方も忙しく、下級神の邪神が残した不採算世界……それも、誰からも後任を嫌がられるようなクソ世界など、どうでも良かったため……


 正式な支配者切り替え登録と、座標移動を済ませておらず、この切羽詰まった状況下でわざわざ「邪神が管轄していた地区」まで出向くハメになった。



「(とはいえ、中心部に移していたら草花と自販機の追撃をくらったかもしれない。結果オーライだろう。だが何だろう? この嫌な予感は……)」


 現在の私はというと、中心部を離れたことで草花の脅威からは逃れられたものの、自販機は不定期で出現しており、口裂け女と討伐軍の連中も健在。



 これまで散々苦しめられたコソ泥は、なぜか攻撃の手を緩めて何もしてこなくなったが、いつまた攻撃の瞬間を狙われるかと思うと……


 攻撃の向きや火力を狂わされるリスクが大きすぎて、本来なら敵を仕留められたタイミングでも手を出すことができず、間接的な影響は残っている状態だ。






「(ぅん? 何故だろう? 闇神領内とはいえ、今いる場所はほぼ何もない虚無空間のはずなのに、不快なニオイがする気が……。魔王共の獣臭か?)」


 この戦いには、討伐軍の関係者だけでなくメグミやマサルといった「<サルトー区・ポルカト界>で暮らす下等生物」も参戦している。



 直接戦うわけではなく、遠方からのサポートや嫌がらせに徹していたが、たしか<サルトー区・ポルカト界>に近い、この辺りを拠点に活動していたはず。


 つまり……この汚臭は下等生物である奴等の残渣であり、ニオイはあれど気配なしという事は……すでに全員、<サルトー区・ポルカト界>へ逃げ帰った。


 もしくは討伐軍の支配領域に亡命済みであり、奴等を仕留めるためにはこの魔王領から動かなければならない……と。



「(ふむ。その仮説を踏まえると、タイミング的にコソ泥は魔王<アスタリア>かもしれんな。結界からのリソース泥棒だけでは飽き足らず、今度はコソ泥か)」


 なんとも浅ましいババァだが、一応股はついている筈だし生意気な女を屈服させるのもまた一興。


 この「ゾンビ臭に匹敵する汚臭」を放っているかと思うと、ヤる気も失せるが、もし巡り合ったとき近くにシャワーがあったら、"一時の春"を楽しむとしよう。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




 勿論だが、闇神<スティグマ>が<サルトー区・ポルカト界>の設置座標に近付くにつれて感じた汚臭は、アスタリアやマサルが残した屁じゃない。


 <サルトー区・ポルカト界>と地獄世界の接続を切り、<恵のダンジョン>を繋ぎ合わせる過程で、漏れてしまった……


 <恵のダンジョン>玄関口にある、発酵した糞尿臭だ。



「うっ、クサァ! (気持ち悪い! 何だよ、この汚物臭は!!)」


 本来なら次元の扉をくぐるため、ニオイが漏れ出ることなどないのだが、繋ぎ合わせるタイミングだけは、一瞬"筒抜け"になってしまうため……


 それと、メグミが丹精込めて創りあげた汚物プールがかけ合わさって、事故を起こしたのである。



 だが闇神にとって、管理下にある世界を地獄空間と繋ぐのは、神である自分達の領分であり、下等生物の魔王如きがそんな事をするなんて発想自体ない。


 よって露骨にウンコ臭が漂っていても、「下等生物である魔王とその手下が跋扈していたから」としか考えられず……


 アスタリア達が企てた「世界切り替え作戦」は、バレずに済んだ。






 もちろん<恵のダンジョン>から漏れ出た汚物臭を嗅ぎとったのは、闇神だけではなく、中級神で鋭い嗅覚をほこる討伐軍の神々も同じ。


 だが彼等は、「ちゃんと働かないと、<働神の加護>を押し付けられて尊厳破壊される」危機感で、頭がいっぱいであり……


 ウンコに構えるほど暇じゃないうえ、近くをゾンビの"口裂け女"が併走しているため、スメルハラスメント対策で自ら嗅覚を一部封じて鈍くしていた。



 そのため闇神ほどダイレクトに、「<恵のダンジョン>の洗礼」を浴びることなく、「ここ……鬼臭くね?」程度のダメージで済み……


 自販機のラインナップに、「激臭香水」という"嫌がらせ特化商品"がある事も相まって、「誰かがソレを買って振り撒いたのだろう」と勘違い。



 其奴に成果を独り占めされて、定期判定で「<働神の加護>を授かるに相応しいサボり魔」判定を受け、神生を破壊されぬよう……


 「後に続け!」と皆でその激臭香水を買って、闇神へ向かってブン投げ、"追撃"をかましたのである。



 なお……その激臭香水は、ウンコ系の悪臭ではなく、「洗濯をサボって履き潰した激臭ソックス」を再現したモノだったので……


 <恵のダンジョン>から漏れ出たニオイと混ざる事なく、別の角度から闇神を急襲。


 不意打ちで嗅覚に大ダメージを与え、ゲロを吐かせることに成功した。



 これが<働神の加護>付与判定会議で、「ちゃんと働いた結果」としてカウントされるかは……謎である。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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