890話 汚い日常
〜アスタリアside〜
帰還するなり小汚いトリッパー3人からハグを受け、多少驚いたけど、ある意味"日常感"あふれていて「ようやく帰ってこられた」と実感した。
闇神領で式神を使役しながら、タイミングを見て闇神のエネルギーをコソ泥したり、協力してくださる皆様に感謝の言葉を伝え続けた日々は……
決して無駄ではなかったと思うし、出稼ぎの甲斐あってメチャクチャ儲かり、モンティート先輩達も喜んでくれたので満足している。
ただやはり、いつ殺されるか分からない環境に身を置いて命を危険にさらし、寝る事さえ叶わない時間が続いたので、疲れているのも事実だ。
「(それに……可能であれば、メグミ君じゃなくてモンティート先輩を強化してTUEEEしてもらいたかった)」
闇神を迎え撃つのに、先輩が治める<欲望のダンジョン>は長閑すぎて不適だし、もし奴等に荒らされたらダンジョンに住む精霊達も死んでしまう。
その点、メグミ君が治める<恵のダンジョン>であれば……尊厳破壊とバイオハザード攻撃を基本としているので、"嫌がらせ"にはピッタリ。
また過労が限界突破して<働神>となったメグミ君に、リソースを集中させる方が効率的なのは、誰が見ても明らかだ。
「(だからこそ、"サーシャには<恵のダンジョン>を盾とする案"を伝えたし、メグミ君の強化のために限界ギリギリまで働いたけど……)」
メグミ君だけでなく、ウチの大将であるモンティートにも神様昇格してもらい、そのTUEEEプレーを眺めたいと思ったりもする。
「(まぁその夢も、闇神を<恵のダンジョン>で小突き回してリソース泥棒を続ければ、いずれ叶うでしょう。私の仕事は、諦めず搾取を続けることよ!)」
それに……モンティートの昇格を望んではいても、こうやって彼女の前で婆に抱きつく、頭クルクルパーなメグミ君が嫌いなわけじゃないので……
彼の強化も素直に喜べるし、後ろで苦笑いしているサーシャの事が多少気がかりなだけで、あとは概ね満足なんだけど。
「サーシャ。そろそろ、このトリッパー彼氏を引っぺがしてくれない? 買ったばかりのブラジャーに、彼の鼻水が染み込んできたの」
「あっ、ゴメンナサイ! 回収させていただきます! ゴーレム君、やっちゃって!」
残念ながら既に狂ってしまったメグミ君は、セクハラとかモラルの概念を有していないため、サーシャはゴーレムに「未処理の書類」を持たせて……
それでメグミ君を釣り、書類に釘付けになった彼を仕事机まで走らせた。
同じように引っ付いていたスティーブ君&カルマ君も、マサル君によって引っぺがされ、「仕事万歳!」と三度詠唱させられた後、現場復帰。
すでに闇神がコチラに向かっている状況ゆえ、そこまでノルマが積まれているわけじゃないが、半端になっていた日常業務の処理もあるため……
完全休憩できる状況になる日は、当分来ないだろう。
「あと、はいコレ。帰還前に一発キメた闇神のエネルギー! 最後だし、身バレ覚悟で盛大に奪ってやったわ!」
「ありがとう。メグミ君は……サーシャちゃんの調教と近々の仕事で忙しそうだし、もう少し消耗して死にかけたら注入するよ」
「うん。しっかり使い切って、少しでもいい状態で闇神を迎え撃たないとね」
私は地獄世界にいてコチラの状況を詳しく知らないので、<サルトー区・ポルカト界>の代わりに繋がれた<恵のダンジョン>がどうなっているかも……
ザックリとしか把握できておらず、これからコッチでメグミ君をサポートするには知識不足な状況。
ゆえに手土産として持ち帰った「強奪の成果」をモンティート先輩に預けたあと、サーシャの許可を得たうえで、<恵のダンジョン>を散策させてもらう事に。
「(ふむ。基本的に"はい"か"Yes"しか返さないサーシャが、"止めた方がいいですよ"と言うだけあるわね。本体が入ったら詰むところだったわ)」
まだ工事途中らしいが、<恵のダンジョン>の上層階は既に仕上がっていて、感染症を引き起こす病原菌まみれの糞尿が其処彼処に存在。
どこかに「無事な空間」があると、上級神でチートスペックの闇神は、その空間を利用してアッサリ進んでしまうので……
フロア内の何処にいても、「臭く・汚く・穢らわしい」ウンコ感を堪能できる仕様となっており、上からは「糞尿の雨」が降り注いでいる。
また取り込まれて栄養源にされる恐れもあるので、上層階に強いモンスターはおらず、病原菌持ちのダニ・ゴキブリ・ネズミが這い回っている状況だ。
たまに、おっちょこちょいなゴキブリが脚を滑らせてしまい天井から落ちてくるが……その全てが、メグミ君のペット。
知的生物ではないものの、常日頃オートマタから「獲物に遭遇したら、服に忍びこんでパンツの中を目指しなさい」と仕込まれているため、タチが悪い。
変態プレイとか、そういうキモさもあるけど……それだけでなく、粘膜経由で「治らない病気」をもらってしまうリスクがあるのよ。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






