886話 インパクトのあるお出迎え
生殺与奪の権を握っている討伐軍の上級神達から、「戦ってカッコ良く散るか、過労マシーンになって恥ずかしい最期をむかえるか選べ」と暗に言われ……
ストレスMaxの状態のなか、オオカミ糞爺の闇神から「速攻で嘘と分かる条件の勧誘」をチラつかされた現場の神々は、ヘイトで頭が沸騰しかけた。
そして、現在のところ闇神はまだ闇神領におり……その足元には<巣食う花>が僅かながら生息しているため、「闇神へのヘイト」は栄養源であり……
あっと言う間に草花が「負のエネルギー」を吸い取って生い茂り、高速移動する闇神の脚を引っかけて転ばせようとする。
また超スピードに置いていかれかけていた"口裂け女"も、<巣食う花>から十分なエネルギーをもらって再起し、闇神に追いついた。
その結果、闇神は勧誘スピーチで声を張りあげるたび、"口裂け女"のゾンビ臭と<ピー>後の独特なニオイを嗅がされるハメになり……
ようやく訪れた起死回生のチャンスに、沸き立つ心をへし折られて、再び苛立ちで額に青筋を浮かべ、邪魔をする存在を罵倒。
そのタイミングで、最寄りの自販機が「ご覧ください。これが闇神の本性です」という文字列を、モニターにデカデカと表示して煽るため……
さらに闇神はキレ散らかし、「建前を押し通さなければならない場面で、自分の本音をさらけ出す」という墓穴を掘ってしまう有り様だ。
とはいえ、メグミ達が余裕の立ち回りを見せているという訳ではなく、闇神は着実に<サルトー区・ポルカト界>への移界スポットに近付いている。
また現場班に課された、「ナメた態度で仕事をしたら、即"働神の加護"で尊厳破壊する」という、鬼畜枷も外れたわけではなく……
現場の神々は、己に降りかかる理不尽に涙を流し、「上司・闇神・諸悪の根源」へのヘイトを溜めながら、尊厳を守るために身を削っている状態だ。
その様子を、モニター越しに眺めている<農民><小鬼>同盟のメンバーも、ただ遊んでいる訳ではなく……
来る闇神を迎え撃つために、着々と準備を進めていた。
まず<恵のダンジョン>の最も凶悪な武器である、人間やモンスター達の糞尿を、玄関にあたるフロアにプール形式で設置し……
不愉快だからと魔法で焼き払われぬよう、糞尿に隠れる形で「カウンター攻撃の魔方陣が刻まれた自販機」を、いくつも設置。
インパクトのある"お出迎え"をしつつ……もし下の階層へ進んでも、闇神が力任せに魔法をブッ放して、バイオハザード攻撃を回避できぬように……
労役カウンター発動で、トラウマを植え付ける仕掛けをおこなう。
また本物を生み出すのは時間が足りず不可能だったものの、<巣食う花>のイミテーションを製作。
そこかしこに浮かべて、「糞尿の中で映える状態」にすることで、闇神のメンタルをさらに抉る一手とした。
また今回は、出迎える相手が「格上の神様」なので、執行役の命を護ることを優先した場合、<天国と地獄>ルーレットで地獄へ叩き落とすことはできない。
しかし……頭上から金ダライが落ちてくる罰ゲームをさらに過激にした、頭上から自販機が落ちてくるイベントは、殉職者を出さずにおこなえるため……
ルーレットの中身を、「過労カウンター付き自販機が落ちてくる系」に切り替えて、要所要所に設置している。
なお……それによって負担がかかった「諸悪の根源」は、当たり前のように<働神>の本性を剥き出しにして、元気いっぱいトリップ開始。
「僕の幸せは〜、ブッ壊れるまで働き続けて成果を残すこと〜〜♪ シフト表は建前です! 実際の労働は、24時間・365日・無休で貢献〜〜♪」
狂いに狂っているが、メグミの貢献(笑)のおかげで尊厳破壊の危機にさらされ、ヘイトを溜めまくっている討伐軍の中級神達には効いた。
地獄世界で、モニター越しに「メグミを映したリアルタイムの動画」が流れると、「触れちゃいけないモノ」扱いに変わって彼へのヘイトが消えたのだ。
相手を「判断力のある知的生物」と認識しているから、怒りがわくのであって、「常識とはかけ離れたナニカ」が相手となると、その感情は萎んでしまう。
言葉の通じる相手じゃないのだ……関わりたくない、なるべく近くに寄りたくない……という防衛本能が先にくるのは、神であっても同じこと。
むしろ関わると、病気よろしく「社畜トリッパー」が感染るかもしれないので、徹底的に存在を無視して、自販機の恩恵だけ受けたくなる。
なお……現在は距離を取れているので、メグミへのヘイトは抹消できたが……彼等が闇神を追って<恵のダンジョン>に入った後は、話が変わる。
闇神を出迎える予定の強烈な糞尿プールは、その後を追ってくる討伐軍の面々にも、災難として降りかかるわけで……南無。
マナポーションを飲みすぎた誰かさんの、脱ぎたてホヤホヤの「使用済みオムツ」が糞尿プールに浮かんでいる等、「ヘイトの源泉」が無限に存在するからだ。
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






