表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
884/965

884話 サボってはいけないデスゲーム




 積り積もった鬱憤を晴らすべく、陰ながら上級神達が「働神の加護(笑)」をくらい、働きアリになる妄想をしていた中級神<エース>は……


 その上級神達に監視された状態で、「自ら加護札を受け入れ神体実験の被験者になる」か、「即時干されて何もかも失うか」の二択を迫られた。



 なお……すでに「追加の加護札が欲しい」という依頼メッセージは、圧に屈して送らされており……自分の分だけでなく、その代金も自腹を切るハメに。


 エースの側でメッセージを務めている、メグミの眷属<ガッツ>と<キアイ>も、上級神達の"詰め"を聞いて色々と悟ったが……


 「自分達の主人(=メグミ)とその仲間に害がなく、儲かるのだからOK!」と判断して、エースを助ける事はせず上級神達の意向に追従。



 彼等にも理性はあるため、過労マシーンになってしまった主人達のヤバさは理解しているが、根が「メグミの社畜体質を受け継いだ眷属」なのだ。


 当然、過労に対しても理解が深く……罰ゲーム扱いされている加護も、「立場的に図々しく要求できないだけで、可能なら欲しい」と思っていた。



 よってその「羨ましい加護」をウンコ扱いする上位者達に、内心ムカッとしており、特に拒否反応が酷かったエースに対して加護の良さを布教したい!


 そう考えて、エースの望むアシストはせず彼を加護沼に蹴り飛ばした……という側面もある。






「うううぅぅぅっ……お父さん……お母さん…………。どうして私が……こんな……目にぃ…………」


 結果として中級神<エース>は、泣きながら虚無空間で親への助けを求め、絶望感に満ちた表情で加護を受け入れた。



 その様子は、リアルタイムで現場の中級神達にも中継されており……自販機に付いているモニター越しにそれを見た彼等は、「何があった!?」と恐れ慄く。


 だが次の瞬間、「この世の終わり」状態だった中級神<エース>が立ちあがり、「仕事万歳!」「サービス残業万歳!」と唱えたことで、事態を察し絶望。


 自販機に刻まれた呪印以外にも、メグミの過労精神に感染するルートが存在し、失態をおかすとそれを強要されると悟ったのだ。



『現場で働く全ての者に告ぐ。其方達をバックアップする為に、働神<メグミ>が加護札を献上してくれた!』


『全員分はないため平等に分け与える事はできんが、働きの悪い者には加護札を貼りつけ、根性を入れ替え労働に勤しめるよう、アシストする準備がある』



『"札が必要か"の判断は1時間毎におこない、働きの悪かった2名に喝を入れてやるわい。ちなみに、この加護札は其方等の自腹じゃ』


『メグミは献上してくれたが、貧乏な名ばかり神の奴では、十分な枚数を用意することなど出来なくてのぉ〜。代金は、こちらで天引きすることにした』



 それと同時に上級神達から通達が出されて、現場の神々は「サボってはいけないデスゲーム」に強制参加させられる。


 バライティー番組では、ルールを破っても精々ケツバットをくらう程度だし、一般社会で仕事をサボっても無言で評価を下げられるだけだが、ここでは違う。


 「サボった」とみなされた者は、たとえ一度の過ちでも取り返しのつかない烙印を押され、尊厳破壊の極みである「過労トリッパー」に作り替えられるのだ。






『仕事ぉ〜、仕事ぉ〜〜♪ 報酬ないけど、仕事はやり切る! ノルマ達成のご褒美は、次のノルマとダメ出し万歳!!』


 すでに作り替えられた哀れな犠牲者が、モニター越しに「お前達も、じきにこうなるんだぞ!」と脅しをかけてくる。


 そんな状況で、のんびり「仕事を頑張るフリ」などできる訳がなく、闇神の後を追っていた神々の顔色は変わり、殺気剥き出しで仕事に取り組み始めた。



 そして……同じくモニター越しに中級神<エース>の惨状を目の当たりにし、通達内容も把握できた闇神は、なぜ自分が本気で追われ始めたのか察し……


 改めてメグミに殺意を抱いたものの、「これはチャンスかもしれない」と思い至る。



 彼の目から見ても、現在の討伐軍・現場班は精神的に追い詰められており、その原因は「上司からの脅迫」によるものだからだ。


「(もし"降伏して私の傘下に入れば、メグミの呪いなど受けなくても良い"と甘い誘い文句で誑かせば……一定数、コチラに流れるかもしれない)」



 メグミが"加護"だと自称する呪いのエグさは、自販機に刻まれた数多の罰ゲームで、酷い目に遭わされかけた闇神が一番よく知っている。


 ゆえに闇神の考えはおおよそ正しく、もしここで「善良な上級神」が「ウチはそんな扱いしないよ。コッチにおいで〜」と呼びかけたら……


 尊厳破壊の危機に怯えた神々の半分くらいは、その誘いが本物かどうか確認する余裕すらなく、縋るような気持ちで呼びかけに応じただろう。



 ただ一つ、致命的な思い違いが。


 闇神は、「善良な上級神」どころか「上司よりもさらにヤバイ鬼畜神」だと知られており、彼の発言を真に受けるバカなど、この場には存在しなかったのだ。


 討伐軍の神々は、皆知っている……闇神派閥がなぜ崩壊し、取り巻きだった神々の未来が絶たれたか……その経緯を。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
おいつめられたら、吹っ切れて予想外の事を?
凄いぞこれは、どのルートに転がっても地獄しかない…
上級神側「メグミの加護札でハッピーな被搾取生活」 闇神側「メグミの加護札なしのマシマシ被搾取生活」 どっちみち搾取されるんならまだ幸せな方が良いような、お薬並にヤバい加護決めて社畜の世界逝きは遠慮し…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ