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879話 Mr.伝書鳩


〜中級神<エース>side〜




 詰み形になっている領内の中心部から、状況を打破する余地がある<サルトー区・ポルカト界>へと、戦場を移そうとした闇神。


 それに対して討伐軍の上級神様方は、戦局を支える鍵となっているメグミ達を、護る姿勢を示しつつも……


 この機会にボッタクられた自販機の使用料を取り返し、ついでに今後末永く搾取するため、メグミ達に"貸し"をつくろうと企てた。



 ボッタクリ価格とはいえ、戦地で物資を供給するばかりか盾になってくれた自販機の主に対して、あんまりな仕打ちだと思うが……


 反対意見を述べたところで、「じゃあお前が、代わりに費用を捻出しろ」と言われるか左遷されるだけなので、私にできるのはメッセンジャーになる事だけ。



 というか……もしこの重要局面で、討伐軍にとって不利な提言をできる立場なら、私はこんなところで"伝書鳩"などしていない。


 きっと今頃、上級神様方と共に卓を囲んで、「自分にとって最適な計画」を立てているはずだ。



『エース様。我が主<メグミ>から、例の件の返答が届きました!』


「うむ、承知した。どれどれ……ほぅ、こうきたか!?」



 さすがのメグミ達も、己の命が危ない状況にビビり散らかし、泣いて助けを乞うかと思ったが……


 私の想像以上に図太い神経をしているらしく、返ってきたのは「払えないから自衛で乗り切ります!」という、無謀極まりないメールだった。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


上級神様達の提案、ありがたく読ませてもらいました。


僕等みたいな木っ端魔王に情けをかけてくれて、本当に嬉しかったし、頑張って協力して良かったと改めて思った次第です。


ただ残念ながら、上級神様達と僕等じゃ価値観が違いすぎて、払える費用や立ち回りの規模もズレちゃうし、それをすり合わせる時間的余裕もないので……


申し訳ないですけど、いただいた提案はお断りさせていただきます。


勝てる見込みは限りなくゼロに近いですが、僕等なりに精一杯頑張って闇神の襲撃に抗い、死ぬ前に一矢報いられたら。


そう考えて、ザコなりに知恵を巡らせ迎撃準備を進めているところです。


もし闇神を追って<サルトー区・ポルカト界>に来られる場合、討伐軍の皆様がその迎撃の余波を受けてしまうかもしれないので……


ムダな遺恨を残さぬためにも、事前にご一報いただけると助かります。



byメグミ


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「これは、本心から"畏れ多い"と思っているのか……あるいは、上級神方の狙いを読んだうえで、"貸し"をつくらせぬよう立ち回っているのか……」


 いずれにせよ、私にできることは「メールにもう一段階"敬語"を盛って、上級神様方へ届ける」ことだけ。


 後のことは、この返事を受け取った皆様が判断されるだろう。






 そう考えて、より丁寧にした内容を手紙にしたため送り届けたところ、上級神様方からすぐに叱責文が届いた。


 どうやら私……というより、メグミ達の返事が気に喰わなかったらしく、その八つ当たりに利用されたようだ。



「断られたところで、もし我々が奴等を護らなければ、自販機・リソース泥棒・アンチ草花の支援ナシで、闇神の相手をしなきゃならなくなるんだぞ! か……」


 分かっているじゃないか。


 だったら自分達が現在受けている恩恵を維持するためにも、もう少し寄り添うカタチで防衛代行の提案をしてやれよ。



 彼等だって自販機ビジネスや転移ビジネスで儲けた以上、「タダで護ってもらえる」状況をつくり出すのは不公平だし、多少の報酬要求は必要だが……


 断られたところで、護らなきゃコチラも自滅するのは分かりきっているのだから、不信感を持たせぬよう最初から立ち回るべきだ。



「と言っても、これだけ罵詈雑言を並べ立てるほど怒っているタイミングで、私が提言などしたら……即"干されリスト"に載せられてしまうからなぁ」


 仕方ない。


 メグミ達に「上級神の怒り」をオブラートに包んだ状態で伝えつつ、自販機で高級サイコロステーキを買って時間を潰そう。






 八つ当たりで蓄積されたフラストレーションを、高級サイコロステーキの食べ放題で解消していると、上級神様から続報が届いた。


 もちろんこのステーキ代は、戦費として経費計上する!


 仕事……という形態の"サンドバッグ扱い"で、消耗させられたメンタルを癒すための薬だ……自腹なんて、断じて認められない!!



「ふむ。ブチ切れたものの、冷静に考えると"助けざるを得ない"と分かり、やむなく折れた形だな。あの上級神様方が、まさか無償で防衛協力を申し出るとは」


 手紙には、不必要な嫌味や私への八つ当たりと併せて、「多少なら、サービスで防衛を手伝ってやらん事もない」という文言が記されていた。



 おそらく防衛費は、捨て駒として散った神々の私財で賄うのだろうが、自分達の儲けを削ることになるのは明白で……


 あの「搾取のプロ集団」がそれを是とする、という事実に驚きだ!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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マサル→優る、勝る…真猿…? 器移していつ解除したっけ?
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