表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
874/966

874話 格下に頼りすぎた結果




「一度、冷静に状況を確かめよう。闇神<スティグマ>はヘタをうって没落しかけているが、元々我等よりも権勢をほこった上級神だ。油断はできん!」


 最年長の上級神が「状況把握」を求めたことで、沈黙していた神々も再度口を開き、各々の考えを話しだした。



「相当マズイと思いますよ。まず現場の連中を支援しているあの草花……あれは、事前に仕込んでおかないと咲かないそうで……」


「たしかターゲットに対する負の感情を栄養源にして育ち、一定ラインを超えると開花可能になるって話でしたよね? つまり、咄嗟には対応できない」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜巣食う花〜


ターゲットを定めた後、供物と血をマナに混ぜて相手のテリトリー内に植えると、ターゲットに対する他者の憎悪を餌として、水面下で静かに増殖していく。


もし増殖中に種の存在に気付かれて核の命脈を絶たれた場合、それを植えたギフト保持者も連動して命を失うが……


種の存在に気付かれることなく"開花"まで持っていけると、それ以降は攻撃されてもペナルティーを受けずに済み、花のみが命を散らすことになる。


開花した花は、栄養分として接種した「ターゲットへの憎悪」を宿しているため、探知されたとき「ターゲットを憎む知的生物」と勘違いされやすくなり……


現地に行って実物を確認しない限り、ターゲットは「無数に散らばる"自分へ向けられた害意"」に怯え、その結果、重要な局面で判断を誤る可能性も。


また開花した花はターゲットへ向けられた害意に反応して、その相手に栄養を分け与えることで、間接的にターゲットを害そうとするため……


花を根絶させるか自分のテリトリーを捨てて逃げない限り、敵にバフがかかり続ける"修羅の場"で暮らすハメになる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 神々の考察は合っており、マサルは闇神領にしか<巣食う花>を仕掛けていないため、闇神が<サルトー区・ポルカト界>に移った時点で攻撃も途切れる。


 そして新たな種を仕掛けても、芽吹くまでには時間がかかってしまうため、「<巣食う花>による嫌がらせ」は実質"打ち止め"となるのだ。






「魔王<アスタリア>が仕掛けている、タイミングを見たエネルギー搾取も途絶えるな。彼奴はどう見ても遠距離タイプ。直接攻められたら終わりだろう」


「ですね。魔王はダンジョンコアに縛られているので、遠方に逃げて"エネルギー泥棒"を続ける……という訳にもいきませんし…………」



「闇神が<サルトー区・ポルカト界>に移った時点で、形勢逆転だ。それに、不意に現れた増援ゾンビも適応できない可能性が高い」


「あぁ、闇神が殺した女神達の成れの果てですね。戦闘力こそ欠けているものの、男女間のトラブルを匂わせる立ち回りも含めて、善戦していたのに……」


「残念だが、あの程度の格しか持たぬゾンビに"人間界への適応"はできんよ。我等が天界へ行くより遥かに大きなダメージが、奴の魂を塵にする」



「討伐軍も多少なり適応に手間取るでしょうけど、それは闇神とて同じ。ゴミ箱の中に入って平気な神などいないわ」


「同意見だ。討伐軍自体の消耗は闇神と同程度。不具合も多発しそうだが、それだって闇神と似たようなものだろう。ただ、一番厄介なのが……」



「自販機よね? 捨て駒の私財からとはいえ、あれだけ予算を投じて増設させたのに、闇神が<サルトー区・ポルカト界>に移ると全部ムダになっちゃう!」


「無駄になるだけなら、まだいいさ。所詮は、捨て駒の自腹だからな。だが、<サルトー区・ポルカト界>で暮らすメグミ達が殺されるとなると……」



「マサルの<巣食う花>と違って、条件こそあるものの場所を問わず増設可能なバックアップアイテムが、永久に失われるわね」


「うむ。自販機喪失も悲劇だが、カルマの<コマンダー>が削られるのも痛いぞ。あの能力が消えると、我々は一気に機動力を失ってしまう」



「…………。地味な内紛で、転移系の能力持ちが暗殺され続けたの……痛いわね」


「子孫も残らず、それ系の能力者がほぼ途絶えてしまったからな。まだ僅かに残っているが、カルマの<コマンダー>に比べると利便性で劣る」






 冷静に状況を整理した結果……もし闇神が<サルトー区・ポルカト界>に移った場合、討伐軍を支えるバックアップ体制が壊滅し……


 利用価値のある便利な駒を失うことに気づいた、上級神達。



 もっと早く気付けという話だが、彼等にとって目下の生物は基本的に「ミジンコと同じ扱い」であり、状況に配慮するなんて考えに至らないのだ。


 そして現状こそ把握したものの、<サルトー区・ポルカト界>が「吹けば飛ぶような不採算世界」である事実は、何一つ変わっておらず……


 闇神が<サルトー区・ポルカト界>に移った時点で、現在の優位は消し飛び、討伐軍は大打撃を負うことになる。



 それを防ぐ為には……


「闇神に踊らされているようで不本意だが、我々の手で<サルトー区・ポルカト界>を防衛するしかないだろう」


「「「「「「「「「ですね」」」」」」」」」



 闇神の<サルトー区・ポルカト界>侵入を防ぐのに加えて、防御力ペラペラの<サルトー区・ポルカト界>を、自腹を切って強化するしかない。


 だが上級神達の搾取体質はここでも健在であり、タダで損をするのは嫌だからと、「メグミ達へ貸しをつくる」カタチで……と話は流れていく。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
全力で守らないと、盾の魔王もなくなっちゃうよ〜
神と界の関係というかサイズ感がよくわからんのよな。 魔王がミジンコ級なら<サルトー区・ポルカト界>は上級神人間サイズとしたとき虫籠とか金魚鉢とかその辺で、 闇神が無理に入ろうとした時点で界自体がぶっ壊…
うーん、<サルトー区・ポルカト界>がぶっ壊れかねん勢いだなぁ。 しかも大挙して来るのが闇の勢力だけとは限らんのが困ったとこなんだよな、うん。 闇神領にある他の世界でも甚大な被害出てるから、光の勢力も今…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ