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873話 呟きを聞いた者達は




『<サルトー区・ポルカト界>へ行き、ザコのくせに私の足を引っ張っているメグミとマサルを片付ければ、一気に私が優勢になる!』


 監視されていることを忘れて漏れ出た、闇神の声を聞いた者は、その予想だにしなかった方針転換に狼狽えた。



 中でも、いの一番に反応したのが……ベストタイミングでコソ泥稼業に勤しむために、式神経由で闇神を監視していたアスタリア。


 聡明な彼女は、闇神に牙を剝いた時点で自分達が殺されるリスクも覚悟していたが、まさか上級神が<サルトー区・ポルカト界>へ目を向けるなんて!


 それも「鬱陶しいから世界丸ごと潰しておこう」系ではなく、自らその世界へ足を運びメグミとマサルを手にかけようとするなんて、考えもしなかったのだ。



「いや、おかしいでしょう! 現在起きているのは、闇神<スティグマ>と討伐軍の戦争……つまり、地獄世界を統べる神々の戦いよ。なのに、何故……?」


 闇神が目を向けて本気で向き合わなきゃいけない相手は、格下のメグミ達ではなく、討伐軍の中級神とその背後にいるライバルの上級神達。


 なのに、どうして「メインは放ったらかして、ザコから始末しよう」になるのか?



 それは……アスタリアが想定している以上に、闇神が「自販機と<巣食う花>の嫌がらせコンボ」を疎ましく思っており……


 それに加えて、地獄世界から人間界へ移ることで「"口裂け女"の自滅」にも期待できるからなのだが、彼女は闇神の思考をトレースできるわけではない。


 よって結論部分をいきなり聞かされ、その斜め上さに仰天し、本能的に「仲間の命の危機」を感じて狼狽えたのだ。






 アスタリアと時を同じくして、自販機の監視カメラで闇神を監視していた<ヒッキー>も、この発言を聞き……


 これは大変なことになったと、大慌てでメグミの元へ飛んできた。



「ご主人様、今すぐ何処かへ逃げてください! 闇神が来ます! このままじゃ、殺されちゃいますよぉ!!」


「はぃ? ヒッキー、大丈夫だから少し落ち着こう。10秒間ゆっくり深呼吸をして、それから順序立てて何があったか話すんだ」


「グスッ……」



 メグミも自販機乱れ打ちで疲弊し、心身共に限界を迎えていたが、普段はクールに引きこもっている<ヒッキー>が狼狽える様を見て、逆に落ち着き……


 何があったか把握するため、<ヒッキー>に冷静に説明するよう命じた。



「(もし逃げないと殺されるような事態になったとて、僕達"魔王"はダンジョンのコアを破壊されたら命を失う"縛られた存在"。つまり、逃げても意味はない)」


 主人の命が危ぶまれた事で動揺し、外圧に弱い"引きこもり"なのも相まって、恐怖で理性が飛んでしまった<ヒッキー>と違い、メグミは理解している。


 どんな事が起きても自分達は逃げられないし、配下のモンスターや眷属達の命を守る為には、ダンジョンコアを死守するしかない……と。



「実は、闇神<スティグマ>がこんな事を言っていまして……」


 ゆえに<ヒッキー>から、闇神の発言が収録された映像データを見せられても、動揺せず「対応策を考えるフェーズ」に移れた。






 そんなメグミ達とは対照的に、トップのくせに本気で狼狽えたのは、「これでカタがつき闇神を殺せるかもしれない」とほくそ笑んでいた討伐軍の上級神達。


 彼等も本質は闇神と同じく、下の者を蔑み"リソース畑"としか思っていない、搾取マスターなので……


 まさか闇神がいきなり下界……それもこの戦争のキッカケとなった邪神事件で有名な、<サルトー区・ポルカト界>へ向かうなんて思ってもいなかったのだ。



「ちょっと待て! <サルトー区・ポルカト界>といえば、魔王<メグミ>・魔王<マサル>・魔王<カルマ>が住んでいる"ゴミ箱"だろう?」


「あぁ。後方支援要員として成果をあげた彼等を殺そうと、企んでの行動だろうが……。自ら下界へ降りるなんて、正気か!?」



「繁殖する事しか能のない下等生物だらけの、薄汚い世界だ。特に<サルトー区・ポルカト界>は、邪神の件で赤字が膨らみ自治領になったと聞く」


「リソース畑としても機能していない、本物のスクラップだよな……。闇神を滅ぼした暁には、嫌がらせで堕としてやろうと考えていたが……」



 その「リソース畑としてすら機能していないス、クラップ空間」で暮らしているメグミ達が聞いたら、ブチ切れそうな言い草だが……彼等に悪気はない。


 上級神達はナチュラルに格下を蔑み、知的生物扱いしていないので、一応"同格(というか目上)"と認めている闇神の行動が、心底理解できなかっただけだ。



「だが、よくよく考えてみると……この展開、まずくないか? 下界である<サルトー区・ポルカト界>の防衛力など、ザルみたいなもんだぞ」


「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」



 そして……闇神の動向について改めて思考を巡らせたところで、その本当のヤバさに気付く。


 数ある下界の中でも、吹けば飛ぶような不採算世界の防衛力など、あって無いようなものだと。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
さて、闇神の下界降臨までにどれだけ迎撃準備できるかだな。 とりあえず、マサルとスティーブにもノルマトリップまで頑張ってもらうかぁ(待て)
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