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872話 起死回生の一手


〜闇神<スティグマ>side〜




 冷静に考えよう……時間的猶予はほとんどないが、だからといって焦って結論を出すと、今やっている「追いかけっこ」と同じ結末になる!


「(大丈夫。これまでとてピンチは幾度となくあった! 私はそれを潜り抜けて上級神になったのだ! この程度の難局、乗り切れないはずがない!!)」



 全てを一度に考えるとピントがズレる……嫌がらせを一つずつに分解して、それに対する策を考えた後、それが他の嫌がらせにも効果的かチェック。


 万事上手くいく策ではなく、足枷となっている嫌がらせを2つ外せれば及第点、という方針でいこう。



「(討伐軍・口裂け女・コソ泥・キモイ草花・自販機……5種類のうち絶対に外せないのは、討伐軍による攻撃だ。奴等は、曲がりなりにも中級神)」


 どういう対策をとろうと、それに合わせて動いてくるし、仮に奴等が「考える能のないボンクラ」だとしても、背後に上級神共が控えている。


 そしてコソ泥も、現時点では「誰が・どういう意図をもって盗んでいるか」分からぬ以上、対策不可として扱うべきだろう。



 逆に「口裂け女・キモイ草花・自販機」の3種類は、私が闇神領から離れた時点で脅威じゃなくなる。


 直轄領から出ることによって、私は環境的優位を失い立ち回りにくくなるが、今の状況で環境的優位もクソもあるか!?



 闇神領を捨てずとも、裏で(多少なりとも)付き合いのある天界へ一時的に逃げ、追ってきた"口裂け女"を聖属性環境で消滅させたり……


 キモイ草花と自販機が全くない環境へ移って、仕切り直すのは悪くない!



「(特にあの草花……追ってはきているが、元々ある草から匍匐茎を伸ばすカタチで成長するタイプ。つまり、元の草がない環境だと増殖できないのかも……)」


 あくまでも仮説だが、検証してみなければ「嫌がらせ消去」のチャンスは訪れないし、試してみる価値はある!






「(だが、私は何処へ逃げるべきなのだろう? 直轄領じゃない闇神領の地方エリアは、結局"同じ展開の繰り返し"になるだけ。しかも私が不利になる)」


 だがキモイ草花対策で闇神領を出て虚無空間へ逃げたとて、これまで育てた管理世界を全て明け渡すことになるうえ……


 その割には、得るものが少なくライバルの上級神共からも逃れられない?



「(いや、ちょっと待て。管理世界……つまり、私の直轄領にある下界へ逃げこめば、統括領を放棄した事にもならず"仕切り直し"できるのでは?)」


 下界は、私が"闇"を管理しているとはいえ基本的に「"天"と"地"」……すなわち「"光"と"闇"」の勢力が共存していて、地獄世界とは環境が異なる。


 おそらく恨みを具現化したような「負の化身」である"口裂け女"は、下界では環境が合わず生存できないだろう。



「(つまり……雑草のように蔓延るあのキモイ花に加えて、"口裂け女"も脱落させることができる。これは、やる価値があるな)」


 討伐軍は追ってくる可能性が高いので、奴等との戦闘で世界は荒れ果て壊れる可能性が高いが、所詮"下界の一つ"……どうなっても構わない。


 むしろ私の大事な直轄領が、自販機と雑草が生い茂る"カオス畑"と化す前に下界に移って、そこに被害を押し付けるべきだった。



「(方針は決まった! だが、どの下界へ向かおう? 所詮"下民が暮らすゴミ箱"……何処も大差ないと思うが、どうせならコスパの良い選択をしたい)」


 そういえば自販機を濫造している働神<メグミ>も、神に昇格したものの"名ばかりの下級神"であり、下界で暮らし続けているんだったな。






 アイツとキモイ草花の元凶である元勇者<マサル>が生息しているのは、不採算世界である<サルトー区・ポルカト界>……


 私に逆らった不愉快な連中を、軒並み廃神して放りこんだゴミ箱でもある、心底「どうなっても構わない世界」だ。



「(あそこへ行って、"口裂け女"の存在を抹消し草花攻撃から逃れつつ、自販機の元凶であるメグミを殺す。アリかもしれない!)」


 問題は、あまりに不採算世界すぎて誰も管理者をやりたがらなかったため、あの世界を自治領化してしまったところ。


 私の直轄領ではなくなったため、移界には多少手間がかかるし、移界後の行動も限定化されてしまう。



「だが、そのデメリットを差し引いても行くべきだろう。コソコソと遠隔攻撃をかます奴等の住処が、神々の戦いで荒れ果て崩壊するのだ!」


 これほど愉快な復讐はないし、命の危機を感じて守りに入れば、殺す前でもメグミの自販機は消え失せるかもしれない。



「なら、まずは移動だな。放置していた世界ゆえ、邪神の統治時代から座標も変えておらん。そこへ向かわねば!」


 くくくっ、良くて「嫌がらせ2つ」を消せる程度かと思っていたが……案外、起死回生の一手になるのではないか?


 奴等のゲス攻撃に耐えつつ、真剣に考えた甲斐があったわい!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
まあ、ぶっちゃけ発想は悪くない。むしろ闇神的には好手だと言えるな、うん。 けどなぁ、ドツボの感じしかせんのは何故だろう? いやまあ、ある程度見当はつくんだけど。 この物語ってそもそもダンジョン防衛な…
なぜだ?破滅に一直線な気がする!
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