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871話 嫌がらせ五重奏


〜闇神<スティグマ>side〜




 薬をキメまくり狂神と化した討伐軍の連中、同胞の子を苗床にしてまで湧き出た怨念の権化"口裂け女"、邪魔ばかりする意味不明な植物……


 それに加えて、呪いの自販機とコソ泥にも足を引っ張られた私は、包囲網を敷かれた空間から逃げ出し仕切り直しをはかった。



 しかし、逃げ出したはずなのに全部追ってくる。


 討伐軍の連中・口裂け女・コソ泥は理解できるのだ……奴等は移動に対応でき、私を殺そうと企んでいるからな。



 だが討伐軍を助けて死者のリソースを奪うムカつく植物が、ここまでしつこく追ってくるとは思わなかった。


 多少の追尾機能があるのは知っていたが、所詮植物でありその域を出ないとナメていたのだ。



 そして自販機……どう見ても「設置するタイプの機械」であり、増殖用ではない筈なのに……何故ここまで増える!?


 一台設置するだけでも、相当なエネルギーを消費するアイテムだろう!


 それを私が逃げた先全てにポンポンと……一体魔王<メグミ>は、どれだけのスタミナを持っているんだ!?



「(いや、違うな。奴は<働神>。そして息を吸うように悍ましい呪いを彫るほどの、仕事中毒者だ! きっと全て、気合いと根性で解決している)」


 体力が限界を超えても神ならすぐ回復するし、ブラック労働の総本山とも言える<Mr.社畜>が、細かいところまで考えて動くはずがない。


 ただ注文されたとおりに根性で自販機を設置し続け、気付いたらこうなっていた……というオチだろう。






「(奴のスタミナが切れるまで待つか? いや、しかし……気合いと根性で全てをひっくり返す社畜神相手に、耐久勝負なんて……嫌な予感しか…………)」


 そもそも正面から耐久勝負を挑めるような"常識神"相手なら、こんなに逃げ回ったりせず、呪いなど無視して自販機ごと燃やしている。


 だがそれが不可能なほど刻まれた「呪いの効果」がエグく、罹ってしまう確率が高いから、諦めて場所を変え仕切り直しを試みたのだ!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


・ワーカホリックになり過労死コースへ一直線の呪い

・働けば働くほど、神格が<働神>に近づく呪い

・ノルマをこなすまで、衣食住および排泄の概念を忘れる呪い

・どれほど格下の相手であっても、ノルマを提示されたら従ってしまう呪い

・働くことでしかエクスタシーを感じられなくなる呪い

・働いても何故か報われなくなる呪い

・劣悪な労働環境に吸い寄せられる呪い

・労働災害で転落コースに陥る呪い

・チップをもらう為ならどんな要求にも従ってしまう呪い

・定時および休日の概念がなくなる呪い

・来世「ブラック労働者」になる呪い

・<働神>を尊敬し隷属したくなる呪い

・トラブルの全てを土下座で解決しようとしてしまう呪い

・成果のご褒美が「新たな仕事」になる呪い

・仕事のノルマが増え続ける呪い

・命令される度に「はい、喜んで!」と叫んでしまう呪い

・仕事の成果を否定されると興奮してしまう呪い


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 好きこのんで、こんな「一つでも罹ったら神生終わり」の罰ゲームを、受けにいくマゾがいるか!?


 もしかしたら喰らわずに済むかもしれないが……「こんな目に遭うくらいなら、死んだ方がマシ」な選択肢が多数あるガチャを引いて、詰みたくはない。






「(だが現実問題として、最初に"仕切り直し"を試みたときより状況が悪くなってしまったのも事実。ここは冷静に応手を考えねば!)」


 私が長い年月をかけてリソースを投下し、地盤を築いてきた直轄領が、今や「意味不明な草花と自販機が生い茂るカオス空間」と化した。



 闇神領は広く、足手まといだったクソ神共も消え去ったので、まだ逃げる余地は残されているが……


 私が直接育てたテリトリーに比べると地盤が弱く、力を出し辛い環境だし、ヘタに粛正した連中の神殿に近付きたくない。


 可能性は低いが、またそこで"口裂け女"のような特級呪物が出てきたら、私を取り囲む環境はより劣悪になってしまう!



「(とはいえ、正面から挑むのも危険だ! ワラワラと生い茂る草花&自販機に加えて、討伐軍の連中と"口裂け女"が強化されている)」


 中級神の集団である討伐軍はともかく、所詮亡霊の域を出ない"口裂け女"など、強化されたところでタカが知れているが……キモイものはキモイのだ!



「アァ…………ニゲルナ……ヒキョウ…………モノ…………!!」


「知るか! 貴様の存在自体が卑怯なのだ! とっとと諦めろっ、見た目も心根も醜悪なゾンビ女め!!」


 あの悍ましい姿で噛みつかれたらショックで吐きそうだし、あの亡霊……ますます、私の攻撃を「自販機に当たる軌道」へ逸らすのが上手くなってやがる。



 討伐軍も、水を得た魚のように生き生きしだしており、まるで私が一人負けしているような気分だ。


「(ここで策を打たねば、本当に一人負けさせられかねない状況だがな。私は上級神……あんなゴミ共に倒されてたまるか! なにか有効な策を……)」

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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久しぶりに感想一言 あんたぁ 才能 ぱないぜぇ
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