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870話 下請けの悲哀


〜メグミside〜




「無茶言うな〜! カスタマーハラスメント、反対! 出来もしない依頼を、多少の割り増し金で強要するの、反対!!」


 と叫んではみたものの、所詮"下請け"でしかない"名ばかり神"の僕に、中級神達を直接罵倒する権利などある訳がなく……


 オブラートに包みまくった「無理っス。個数で補うので勘弁してください」というメールを返し、ハードワーク再開に踏み切った。



「キアイィ〜! コンジョウゥ〜!! ドリョクゥ〜!!! ナセバナルゥ〜!!!!」


 自販機を一つ設置するだけでも、それ相応にマナを持っていかれるし、呪いまで刻まないといけないから大変なんだけど……


 <働神>になってしまった影響か、どれだけハードワークをこなしても心が折れることはなく、むしろ神格が磨かれている気がするんだよね。



「人じゃねぇな」


「うん。またメグミ君がトリップしちゃう。それはそれで、美味しいから良いけど」



 マサルとサーシャが僕を"人でなし"扱いしてくるが、働かないと終わらないんだし、仕方ないじゃん!


 引き受けた以上、ノルマは絶対!


 やっているうちにドーパミンが出て気持ちよくなるフェーズがくるし、そのうち慣れるからきっと大丈夫……だと思わないと、やってられん!!






 こうして闇神の逃亡に合わせた自販機の増設作業は続き、いつの間にか闇神領の中心部は、自販機畑になってしまった。


 普通なら、"名ばかり神"でしかない僕がそんなにポンポン自販機を生み出すなんて、無理だけど……


 モンティート先輩の命令で、支払われたリソース報酬の半分を随時注入されて神格を強化された事もあり、気がつくと成し遂げていたのだ。



「メグミ先輩はぁ、強化されているからいいじゃないですかぁ〜! 僕なんて、神様になる事もできずエンドレス残業ですよぉ〜!!」


 完全にトリップしてしまったカルマが、自販機設置時の<コマンダー>乱用に対して、愚痴を言ってくるが……


 お前だって「負担が大きい」という事で、リソースの分け前をもらっただろう。



 トリップ状態から解放してくれる、サーシャのような「白馬に乗ったお姫様」はいないが、働き続けていればきっと報われるさ。


 せめてもの情けとして「働神の加護」を与えてやるから、限界のその先を極めるまで突っ走れ!



「"働神の加護"かぁ。僕は、たとえ壊れるまで働く事になるとしても欲しくないかも」


「役には立つけど、社畜印を押されるようなもんで屈辱っスからねー。俺も要らねぇや。罰ゲーム感がハンパねぇ」



 おぃコラ、何が罰ゲームだ!


 モンティート先輩には絶対服従だから反論しないけど、ロクに働いてもないのに不労所得をもらっていやがるマサル……


 テメェにだけは、「働神の加護」渡さないからな!!






「だから要らねぇって。それよりも、ほら……見てみろよ。そろそろ闇神も逃げ場に困るはずだ。アイツの直轄地が自販機で埋め尽くされた」


「えっ……。あぁ本当だ。まだ闇神領の中心部だけだけど、"詰め将棋"みたいな感じで自販機が乱立して、闇神の行動可能範囲を狭めている」



「一応、討伐軍も仕事はしているんだよ。闇神を追尾するだけのように見えて、上手いこと奴の行動可能範囲を狭めた。どこぞの脳筋が肉体労働している間にな」


「言い方! でも、確かにこれは……闇神視点だとキツイかもしれないね。もうアイツの勢力が強い中心部で、逃げ回れる場所……殆どない」



 肉体が一つしかない闇神や討伐軍の神々と違い、自販機や<巣食う花>はリソースさえあれば増殖可能なので、追いかけっこが進むほど有利になる。


 設置時は、ただただ「指示された位置に忠実に置くこと」しか考えておらず、そこまで意識が回っていなかったけど……


 さすがの闇神も、こんな盤面にされては「追いかけっこを続けよう」とは思えないだろう。






「アイツに残された選択肢は少ない。影響力の少ないエリアへ逃げて、ダメ元で追いかけっこを続けコチラの体力切れを待つか、闇神領そのものを捨てる?」


 いや、でも……支配領域を捨てた神って、どうなるんだろう?


 僕みたいな"名ばかり神"でも生きている訳だし、死にはしないんだろうけど、影響力低下は確定で上級神の座も危ういんじゃないかな?



「なら、これで僕等の勝ち?」


「いや……そこまで甘くはねぇだろう、アイツだって上級神なんだ。その座を大人しく捨てるはずねぇし、俺達が及びもつかねぇ手を打ってくるかもしれない」



 たしかに、マサルの言うとおりだ。


 ここで油断するのは良くない。



「ところでさぁ〜。記憶が一部飛んじゃって全てを把握している訳じゃないけど、僕……かなり貢献したよね? ボーナスとか、請求しちゃダメかな?」


「ダメに決まっているだろう。むしろこのタイミングだと、"用済み"って事で消されるぞ」


「そんなぁ〜!」



 頑張っても、成果は全部"上のモノ"……下請けの悲哀すぎる!


 追いかけっこに伴う自販機増設依頼も一段落しそうだし、自販機で高級飯を買いまくって飯テロだ!


 自分へのご褒美がなきゃ、やってられん!!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
リソース払いを可能にすればよかったのに
一番最初、パンと水の自販機で生活が始まった頃は、神になって自販機で戦うなんて1ミリも想像出来なかったですよ… 毎日更新ありがとうございます!
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