868話 他力本願
〜メグミside〜
個の力で討伐軍相手にTUEEEする闇神が、やや有利だったものの、突然「ヤバイ容姿のオバケ」が出てきたことで状況が変わった。
「うわぁー。僕のダンジョンにあるオバケ屋敷より、恐ろしいんだけど」
その「首から下はゾンビ。顔は口裂け女」のオバケさんは、闇神が陵辱の限りを尽くして殺してしまった女神様達の、成れの果てであり……
無念なあまり、生き残った女神様達と協力して子神に"種"を植えつけ、絶好のタイミングでそのリソースを奪い取り、化て出たのだ。
「うん、気持ちは理解できる。私だって、好きでもない男の人に酷い目に遭わされたら、化けて出ちゃうだろうし」
「大丈夫! サーシャの事は僕が命に換えても守るから、そんな心配しないで!」
こんなに可愛くて優しいサーシャが、負のエネルギーを具現化したような悍ましい姿になるなんて、冗談でも考えたくない!
それならまだ、僕がノルマ・トリップして三途の川を引き返せなくなり、無限労働マシーンと化す方がマシだ!
「だけど、あのオバケさん……正直、弱そうじゃない? どうやって上級神の闇神相手に立ち回る…………あっ」
オバケさんが、僕の自販機を利用して闇神にカウンター攻撃を仕掛けようとした。
結果的には、ギリギリのところで闇神が阻止したため失敗に終わったけど……
闇神は生み出した超火力魔法を自ら受けるハメになったし、慌てる姿を自販機の監視カメラに収める事もできたので、僕にとっては飯ウマ展開。
後で撮れた映像をダビングして、闇神を嫌っている神様方へ「スッキリ映像」として売ったり、闇神の視界に入るところで放映できるかもしれない。
登場人物の中で……最初から最後まで利用された挙句、恨みで化けた女神様達の苗床となってしまった、子神だけは可哀想だけど……
腕っぷしもないのに、自らの意思で闇神に楯突いたのだ。
実力主義のこの世界では、自業自得と言わざるをえないだろう。
というか、その後もオバケさん……自力での攻撃は、おぞましい姿を活かした「接近攻撃」以外せず、火力は全て僕の自販機頼みという……
貴族女性がよくやる他力本願戦法をかましまくっており、見ているだけで「生前の特性が残っているのだ」と理解できる。
つまりオバケさんは、滅ぼされたとはいえ神だった自分の実力よりも、僕が自販機に刻んだ呪いの方を、本能的に評価しているわけで……
闇神にもオバケさんにも特級呪物扱いされる、僕の呪いってなんなの!?
「ただちょっと、"働くのが大好きな体質になる"だけなのに……大袈裟すぎるでしょう! そもそも僕、権限ゼロの"名ばかり神"だよ!?」
役に立てて光栄とはいえ、討伐軍の神様達も「絶対安全な盾」として自販機を防壁にしている感があるし、ちょっとザコ(=僕)に頼りすぎじゃない!?
「そりゃあ、"過労死確定ルートに入る"とか"格下にコキ使われる惨めな末路"とか……お前の呪い、万一かかった時が怖ぇんだもん。闇神だって畏れるだろう」
「だよねー。百歩譲って、上司が君達みたいな"親しい相手"ならいいけど、闇神の周りにいる格下って露骨にアイツを恨んでいる神様ばかりじゃん。怖いって」
マサル&モンティート先輩まで、酷いっ!
僕はちょっと過労を極めただけの<働神>だし、ほんの出来心で自販機を強化しただけなのに……。
ヤバイ奴扱いも、度が過ぎればパワハラになるんですよ!
『ボスに頼んで、この辺にもっと自販機を増やしてもらおうぜ!』
『そうだな。自販機があればあるほど、闇神は追い詰められていく。なんか金がかかるらしいけど……そういうのは全部経費だし、問題ねぇだろう!』
おぃ、ちょっと待て討伐軍の神様達……その他力本願な発言、ハッキリと聞こえたぞ!!
自販機を設置するのってメチャクチャ疲れるし、課金目的じゃなくてカウンター攻撃用だと、置いても儲からないから僕に利がない!
ウンコ・トラップ的な感じで闇神にも効果があるのは、僕も見ていて理解したから、設置依頼自体は受けるけど……
相応にボッタクらせてくれなきゃ、割に合わないんだからな!
神様のくせに他力を極めるなら、金払いくらいは尽力しろよ!!
『メグミ様、新たな自販機設置依頼を受注いたしました。気前よく報酬を払ってくれたので、急ぎ設置してクライアントを満足させてください』
突っ込んでいる間に、秒速で設置依頼キター!!
<ヒッキー>が僕に確認せずOKしたレベルの高額報酬なら、喜んで馬車馬のごとく働かせていただくけど……神様達。
他人をコキ使うときだけは、決断よくキビキビ動きますね?
その根本から染みついた搾取体質……貴方達が毛嫌いしている闇髪と、瓜二つっスよ。
「この後は、闇神が"破滅的環境"になった戦場から逃げて、それを討伐軍およびメグミ君の自販機が追いかけていく展開かな?」
「メグミの体力が尽きるまで、自販機設置依頼は続きそうですね」
いや、モンティート先輩もマサルも……そんな怖いことを言わないで!
自販機設置マラソンとか、僕の体力が枯れちゃうんですけど!!
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






