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867話 それは盾ですか? 矛ですか?


〜闇神<スティグマ>side〜




 口裂け女が意図的に自販機を狙って、私の魔法攻撃の軌道を変えた可能性に、気づいた時点で……


 一撃必殺の大魔法で奴を消し炭にする作戦は、自ら特大カウンターを受けるリスクを高める愚行となり、私は方針の軌道修正をせまられた。



 だが、他にどうすればいいのだ!?


 見るからに暴力的な<ピー>を受けた後と分かる、特定の部位が血染めになった服を着た、全身から腐臭がただよう恨み真髄の亡霊だぞ!



 近付いて直接殴るのは、手が穢れるし腐臭が取れなくなる可能性が高いうえ、「接近条件の呪い」を仕込まれている可能性もあるからダメ。


 だからといって遠距離攻撃を仕掛けると、その度にコソ泥被害に遭ううえ、魔法に関わらず攻撃の軌道を変えられて、自販機に呪われるリスクが付きまとう。



「ネェ……ワタシノ……コト、ブサイク……ダト……オモッテ…………ル?」


 本当はこんな化け物と関わらずに、討伐軍……いや、奴等もクスリをキメて狂神化していたな。


 だがまだマシな討伐軍の連中を殺して、建設的に事を進めたい。



 しかし、この口裂け女……少しでも隙を見せると、大口をあけて私の頭蓋に噛みつこうと、おぞましい姿で近付いてくる。


 それがキモすぎて防衛目的で魔法を放つと、また自販機の方へはねられて、「呪いカウンター」を防ぐためリソースを割くハメに……。



 というか、さっきから何度も「キレイ?」と尋ねてきて鬱陶しい!


 耳まで大きく裂けた口、全身から漂う腐臭と清潔感皆無な姿……ゾンビと口裂け女のかけ合わせだぞ!?


 キレイな訳がないだろう!!






「アァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、イマ、ワタシノコト、キモチワルイ、ト、オモッタァデショウ! アナタ……ノ……セイデ……コウ…………ナッタ……ノニ!」


 ちっ、死んで亡霊になっても「女の勘」は消えていないのかよ!


 言葉に出した訳でもないのに、察するんじゃねぇ!!



「アア゛ア゛ア゛ァァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」


 最悪だ……どうして私が、こんな美しさのカケラもない女モドキの相手をしなければならない!?


 しかも命と将来がかかった最重要局面で、くだらない恨みからくる復讐劇(笑)につき合わされるかたちで!



「(これまで撃った魔法……防衛目的のモノも含めて、全て"自販機がある場所"に着弾するよう軌道をズラされた。間違いない! コイツ、狙ってやがる!)」


 勘違いであって欲しかった、「口裂け女が"自販機の呪い"に気付いて、意図的に狙っている」説が、"正しい"だと実証されてしまった。


 つまり今後も私が遠距離攻撃すれば、口裂け女は自販機を利用してカウンターを放ち、他力で私の地獄沼に引きずり込もうとするだろう。



「(近付くのは危険。だが遠距離攻撃もダメ。となると……遠距離は遠距離でも、自販機がエネルギーを吸収しない可能性が高まる、物理系!)」


 もしくは、討伐軍の神を2〜3体操って口裂け女を私と誤認させ、同士討ちを狙う作戦でいくのがセオリーか?



「(ふむ。アリだな。物理攻撃の方は、私が攻撃したとみなされてカウンターをくらう可能性もあるから、確実ではないが……操作なら自販機は作動しない!)」


 あの呪いは、あくまでも「私が自販機を攻撃した場合」のみ、その攻撃のエネルギーを利用する形で、カウンター攻撃を生み出すもの。



 ゆえに私の操り人形だったとしても、私以外の誰かが口裂け女を攻撃した場合、その攻撃を自販機へ流しても「ターゲット以外の攻撃」となり……


 呪いカウンターは作動せず、私もその対処に追われる事なく口裂け女を追撃できるのだ。






「(そうと決まれば話は早い! さっそく討伐軍の中級神を操り、"同士討ち"という最悪のかたちで口裂け女を滅ぼしてもらおう!)」


 と思ったのだが……なぜか奴等に魔法を撃ってもことごとく避け、自販機を狙い軌道をズラしてくる。



『おぃ、見ていたか? あの女オバケの動き。自販機は盾に使うより、闇神の攻撃を当てて意図的にカウンターを発動させる、矛として使う方が便利だ!』


『頭腐ってそうなのに、案外良いアイデアを出すじゃねぇか! よっしゃ、すぐ皆に共有だ! こんな便利な手法、使わない手はないぜ!!』



 くそっ、アイツ等まで自販機を"攻撃目的"で使い始めた!


 これまで盾にするだけで……それでも攻撃範囲が狭まって充分ウザかったが、自販機を攻撃目的で利用することはなかったのに!!



『ボスに頼んで、この辺にもっと自販機を増やしてもらおうぜ!』


『そうだな。自販機があればあるほど、闇神は追い詰められていく。なんか金がかかるらしいけど……そういうのは全部経費だし、問題ねぇだろう!』



 ふざけんなっ!


 たしかにあの自販機は厄介だが、仮にも中級神が下界出身の神モドキが生み出した代物を利用した挙句、積極的に増やすだと!?



 百歩譲って"盾にする"は、「環境の利用」として認めるが……「自分の代わりに攻撃させる」と「増やす」はナシだ!


 卑怯なことばかり考えていないで、神らしく自分達のチカラで戦いやがれ!!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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