866話 リアルお化け屋敷
〜闇神<スティグマ>side〜
分を弁えず思いあがったクソガキに鉄槌をくだし、其奴に投資したリソースを回収しようとしたところ……
突如として「触れちゃいけないナニカ」が渦巻き、ガキの亡骸からおぞましい口裂け女が現れた。
「アタシ、カワイ……イ…………?」
コイツの気配、覚えがある。
俺が子作りに勤しんでいたとき壊れて死んだ、軟弱女神共の気配を混ぜ合わせたモノ!!
「(チッ! 自分の血も引いているガキに対して、腹の中にいる無防備なタイミングで呪いを乗せるとか……それでも母親かよ!)」
あのガキを産んだ女神は、たしか死なずに最後までもった"腹"だったが、化て出た女共も含めて「母親とは思えない悍ましさ」にドン引きだ。
父親に対して歯向かうようなクソガキには、お似合いの最期かもしれねぇが、そんなクソみてぇな女狐を抱いたと思うとゾッとしてしまう。
「(とはいえ、このタイミングで出てきた以上……口裂け女の狙いは私だ。無視しても執着してくるに決まっている!)」
だとすると、早急に殺さなければならない。
なぜか生前の名残をその身に刻み、<ピー>の最中に深く<ピ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜>したヶ所だけ、服が血染めになっていて……
放置すると、"恥の拡散"という形で復讐してくる可能性もある点含めて、秒速で始末する必要がある!!
「(呪術で生まれた化け物に対抗するなら、火魔法が一番優れている。聖魔法が使えれば楽勝だが、闇属性の神である私は使えぬからなぁ)」
手間取って討伐軍の連中に隙をつかれぬよう、一撃必殺の神級火魔法を用いて、即刻"消し炭"にするのが最良だろう。
クスリ戦法でキメまくりの、討伐軍の連中の姿を見るだけでも鳥肌ものだったのに、「黒歴史の具現化」である口裂け女など相手にしていられない!
そう思った私は、一瞬で超高火力の火魔法を練りあげて奴を消し炭にしようとしたのだが、案の定……
攻撃直前にコソ泥被害を受けてエネルギーの一部を失い、生み出したかったモノと比べると微妙な威力の火弾が、奴の元へ飛んでいった。
とはいえ、私が最大級のマナを練りこみリソースまで注いで作りあげた、神級火魔法……
"名ばかり女神"共の亡霊である口裂け女ごときに、この超火力を防ぐ術はない!
<−−− ヒュッ! −−−>
と思ったのも束の間……奴はスッと魔法を避けつつ僅かに角度を変え、キモイ口角をグイッと引きあげて、ケタケタと笑い出す。
「(なんだ? 防ぎ切れずに避けただけだというのに、この余裕……あっ…………)」
口裂け女が角度を変えて魔法を飛ばした先に、私が何よりも恐れている「悍ましい呪いをカウンターで放つ自販機」が鎮座していたのだ!
そして口裂け女のヒラヒラした服のせいで、自販機へ魔法が飛んだことに気付くのが一瞬遅れた私は、なりふり構わず自販機へ飛びこむハメになった。
<−−− ボゥッ!!!! −−−>
「ゴファッ!? ゴホゴホゴホ……。(くそっ! まさか練りあげた神級魔法を、自らの肉体で受けて防ぐことになるとは! 威力は殺したが、少々焦げたな)」
本気の火魔法だったのだ……一瞬で消火するのは厳しく、回収し切れなかった分のエネルギーは魔法として着弾し、私の肉体を焼いた。
だがそれでも、こんな威力の魔法が自販機に着弾してカウンターが発動し、おぞまし過ぎる呪いが私に降り注ぐよりはマシだ!
なんせ……
魔法が着弾しかけた自販機に刻まれていた呪いは、コレだったから。
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・どれほど格下の相手であっても、ノルマを提示されたら従ってしまう呪い
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「(どうしてこの私が、格下にコキ使われなければならないのだ!? それも、今この場にいる格下なんて……全員敵だぞ!?)」
もし呪いにかかり奴等に知られてしまったら、どんな酷いノルマを課されるか分からない。
中級神共は間違いなく「命に関わる残酷なノルマ」を課してくるし、あの口裂け女……奴に至っては、死よりも悲惨な末路を求めてくるだろう。
なんせ、奴の姿は「生前の<ピ〜〜〜〜〜〜〜〜〜>を根に持っている悪霊」そのもの。
私を貶めるためなら、手段を選ばず腐った頭をフル回転させるに決まっている!
「(というか、もしや……あの口裂け女、わざと自販機に当たるように攻撃の軌道を変えたのか? 最初から、"呪いの件"を知っていたのだとすれば……)」
女の執念の恐ろしさよ。
生前もこれくらい機転のきいた立ち回りを見せ、"股"以外で存在意義を示せる連中だったら、ドブのような口臭を放つ口裂け女にならずに済んだものを。
「(だが……この仮説が正しいとすると、マズイぞ! どんな攻撃を放っても、避けるついでに角度を変えて自販機を狙われてしまう! そうなったら……)」
攻撃する度に特大のカウンターを受けなければならず、たとえ口裂け女の戦闘力がザコでも、私に災難の雨が降るのだ!
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






