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861話 狂う計算


〜闇神<スティグマ>side〜




 捨て駒の中級神を使って"数の攻め"をおこない、スタミナを削ろうとする討伐軍に対して、散らばっていたリソースを一点集中させ無双する私。


 しかし奴等もしぶとく、援軍の「捨て駒部隊」を追加したうえ、自販機にキモイ呪いを付与して脅したり、キモイ花で死者のリソースを回収したりと……


 恥を捨てて小賢しく立ち回り、なかなか決定打を撃たせてくれない。



 そんな中、"小賢しさの極み"である「特定の発言を強要する呪い」と「足に魚の目ができる呪い」が飛んできて、またムダに消耗させられてしまった。


「(戦いが有利に進んでペースを掴んだタイミングで、なぜか姿勢強要のうえ"エクスタシー"と叫ばされて、調子を崩されてしまう)」



 普段なら、そんな小賢しい呪いが私の元に届く事などないが……経路を逆探知した感じだと、「DNAデータが含まれた体液」を敵に取られた可能性が高い。


「(捕えていた女神共が、闇神城を脱出し私のテリトリーから逃げたからな。おそらく奴等の体内に残渣が残っており、敵がそれを利用したのだろう)」



 不愉快な話だが、「DNAデータ」が敵の手に渡ってしまった以上、今後は身に纏った防呪結界を素通りして、ダイレクトに呪いが飛んでくると考えるべきだ。


 なんせ一度呪いを打ち破っても、「DNAデータ」が敵の手にある以上、何度だって繰り返しソレを使い、新たな術者が攻撃を仕掛けられるのだから。



「(チッ! こんな事になるなら、女神共の<ピー>を使用した後、<ピー>を火魔法で焼いて"DNA情報"を消しておくんだった)」


 自分の迂闊さを悔いても時間は元には戻らないし、現実問題として子神繁殖のためには、「DNAデータを渡すリスク」を取らざるをえなかった訳だから……


 これは不可抗力によるところが大きく、ただただ自分の不運を嘆くしかないのだが。






「(そうは言っても……"魚の目"は足の痛覚遮断で対処できたし、より強力な"お代わり"をくらわぬよう、コストを割いて"名指し防衛"済み)」


 エクスタシーの方も、かいた恥は消えないがシャットアウトできており……私の不運を笑いやがった敵共を殲滅すれば、黒歴史の目撃者も消えるだろう。



 だが一つだけ、痕跡を辿れぬうえ避けようのないタイミングで仕掛けてくる、猛者の呪いが混ざっていた!


「(くそっ、また攻撃時のコストと威力がズレた! これは確実にやられている!! なのに、これじゃ……くそっ、全然辿れない!!)」



 逆探知をするにも、一定のリソースと思考のキャパ……そして時間が要るのだ。


 なのに攻撃を仕掛ける一瞬のタイミングで事を運び、かすめ取るようにリソースを奪われたんじゃ、逆探知する時間も思考のキャパも追いつかない。



 多少無理をして<並列思考>を展開すれば、思考のキャパ問題はクリアできるが、それでも毎度微妙にタイミングをズラしながら一瞬で泥棒する敵を……


 戦っている中級神共に隙を見せる事なく、探知で調べあげて戒めるのはほぼ不可能。



 実際には、カマをかけて狙いを「小賢しい泥棒野郎」に集中させれば、探り当てられない事もないが……


 その代わり探知中は丸腰になるので、殴られ放題で詰みかねないし、呪いに対する防御もガバガバになり"鬼畜なお代わり"をくらうのがオチだ。



「(おそらく、この盗みを働いているのは討伐軍の背後にいる上級神だ。"魚の目"と"エクスタシー"を囮にして、姿を隠し卑劣なコソ泥ムーブを徹底している)」


 少し前にも、私の結界に寄生してリソースを吸ったアバズレ魔王がいたが、奴は露骨に吸っていたからな……この盗みを仕掛けている手練れとは、無関係。


 もしくは逃げた女神共と、"女"という共通点だけで共鳴しあい、奴等を仲介する際にアイデアだけ提供したか。






「(いずれにしても不愉快だ! 攻撃時に込めたエネルギーの一部を、ただ失うだけならまだいい。しかしこのコソ泥は、攻撃そのものの質も落としてやがる)」


 練り込んだエネルギーのうち、攻撃の方向や特性を決める部分をピンポイントでくり抜いてくるので……


 攻撃がわずかにズレたり、威力不足で敵に十分なダメージを与えられず、カウンターをくらう原因になってしまう。



 それでも、敵に当たっている分にはまだいい。


 問題は……その"僅かにズレた攻撃の先"に、「おぞましい呪いをカウンターで放つ自販機」が鎮座していた場合。



 撃つ気などないのに、その自販機を撃ち抜いてしまい……カウンターで「意味不明なキモ怖い呪い」をくらって、過労死リスクに晒されるのだ!


 ただでさえ窃盗行為を受けてイライラしているというのに、そのせいで自販機爆弾の追撃をくらうなんて、堪ったもんじゃない!!



 それも神による設置型の呪詛ではなく、魔王風情の置き土産で過労死など……恥もいいところだ!


 あぁいや、自販機からたどった情報では"アレ"も一応神になっていたな。


 神々しさとは無縁の、みすぼらしい「過労の化身」だったが。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
呪いの自販機が「働神」メグミの仕業である事は、さすがに闇神スティグマも把握済だったか。
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