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86話 因果応報


〜コンダック准将side〜




 ヴィッチネント王国・モートランド皇国・サーザンド王国に疫病の件を報告し、助けを求めたところ……


 連絡を取ってから2日後に、国王陛下の御名でご指示があった。



「ふむ。一般兵は、感染源になるゆえ見捨て……”高等教育を受けた者”および”代えのきかぬ者”だけ、最寄り街まで帰還せよ……か」


 上司いわく、モートランド皇国・サーザンド王国からも似たような命令が降っており、二国の指揮官と協力して任務にあたるそうだ。



 各国政府の危惧はもっともで……学のない平民を街へ入れたら、身勝手な行動で疫病を広めるし、頭数が増える分治療費もかさむ。


 それに「コストのかかっていない人材」を治したところで、ほとんど国益に結びつかないから、現場に残し殉職してもらう方が好都合なのだろう。



 一応「褒賞」名目で、ダンジョンに残る兵士は死亡時に階級が二つ上がり、遺族にも30万ロルほどの見舞金が出るらしい。


 成人するまでにかかった教育費が低く、「命の価値も安い平民」に対しては、充分すぎる保障だ。



「ハッキリとは書かれていないが、これだけの損失を出した以上……我々は咎をおう事になる。総大将である<ムネーン侯爵>は死罪。私も謹慎処分かな?」


 出世競争に響きかねない痛手だが、疫病という大惨事に巻き込まれた以上、生き残れるだけラッキーだし……


 他の指揮官より成果を残している私は、「謹慎30日」などの軽い処分で済むはずだ。



「おぞましい病気にかかり疲れたし、休みたいと思っていたところだ。今回は、天命と思って養生しよう」


 そして謹慎期間があけた後、健康な身体でまた大きな手柄を立て、同格のライバルを出し抜けばいい。






「小物の類は、荷崩れせぬように詰めろ。おぃ貴様、ベッドの解体は丁寧に行え! モートランド皇国でも名のある匠が、3年かけ彫り上げた一級品なのだぞ」


「はっ! 失礼いたしました」



 祖国からの退却命令を受け、明日の朝にはこのダンジョンを発つことになったので、今は大急ぎでテントの中を片付け出発の準備をしている。


 “ダンジョン攻略”は途中終了となってしまったので、出世に使える手柄としてカウントされる事はないが……こんな危ない場所にいるよりマシだ!


 私は選ばれしエリートとして生き残り、これからもヴィッチネント王国のために、働くべき人材だからな。



「閣下、紅茶をお持ちしました!」


「うむ。そこに置いてくれ」



 10階層のボス部屋を攻略し、コアルームへ向かっている精鋭部隊も、いずれ供給が途絶えて死ぬことになるが……運が悪かったのだ。


 気の毒だが、天命と思い諦めてくれ。



「ムグッ、何だ!?」


 部下がいれた紅茶を一口飲んだ瞬間、芳醇な香りとは違うナニカを感じ……全身に悪寒がはしった。


 そして次の瞬間、抗いようのない眠気が私を襲う。



 これは……無味無臭に近い、暗殺用の睡眠薬!?


 クソッ!


 毒に反応するアイテムは身につけていたのに、その裏をかかれたか!



『コンダック准将、予定どおり落ちた?』


『もちろんだ! 他のクズと一緒に、素っ裸にして<天国と地獄フロア>へ放り込め。俺ら下級士官を見殺しにして、自分達だけ逃げるなんて許さねぇよ』



 微かに残る意識の中で、私は兵士どもの信じられない暴言を聞く。


 なぜ、国王陛下の命令……なのに…………






 次に目覚めたとき、私は全裸でせまい一室に入れられており……部屋の内装から、そこが<天国と地獄フロア>の試練ルーレットだと悟った。


 慌てて外へ出ようとするが、以前報告を受けたとおり部屋の扉は開かず、逃げることすらできない。



「コノッ! コノッ! なぜ伯爵である私が、このような下品極まりないルーレットに参加せねばならぬのだ! 早くここから出せ!」


<−−− リタイアには現金50万ロルが必要となります。現金がない場合、”100ロル=お尻ペンペン1発”のレートで、”身体払い”も受け付けております −−−>



 私の要求に対して返ってくる、無機質な音声。


 部屋に設置されたモニターには、聖女や上司が騒いでいる姿も映っているので、命令を受けここを離れようとしていた幹部は、皆放り込まれたのだろう。



<−−− 1時間以内に”参加費”または”リタイア料”が支払われない場合、ペナルティーとして50%の罰金が付き、強制的に身体払いとなります −−−>


「ふざけんな。黙れ!!」



 私の心を逆なでし、怒りをあおる無機質な音声に我慢の限界がきて、備え付けのモニターを力いっぱい殴ると……


 突如横のドアからゴーレムが現れ、力尽くで「尻を突き出す格好」にさせられた。



<−−− 器物破損のペナルティーとして、鞭打ち100回を行います −−−>


 そしてヒュンと鞭がしなる音が聞こえ、尻に切り裂かれるような痛みを感じる。



「ギィヤアァァッッ!!?」


<−−− 1回。2回。3回。4回。5回。6回。7回。8回。9回。10回。30秒後に、11〜20打を行います −−−>



 くそっ……覚えていろよ、兵士どもめ!


 ここを出たら貴様ら全員、生きたまま全身の皮を剥いでやるからな!!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
こんなにお金を使ってると金属の価値が上がりそうだね
面白くはあるんだけど、本当に、 人間側の攻略メリットって何?? 得るものが無さすぎて、敵の士気が上がる要素がない以上、話に緊張感が無いんだが(´・ω・`;)
[良い点]  コンダック准将が睡眠薬で意識混濁(こんだっく)  あ、界人もアウトですか?  尻叩き100回?!  ちょっと!  大晦日の某番組より厳しくないですか?! [一言]  コンダック氏がどこ…
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