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858話 男神搾取スキーム


〜アスタリアside〜




 闇神城から女神様達を救い出した私は、定期的に<巣食う花>からエネルギーを補給させつつ、式神を使って最寄りの転移拠点まで誘導。


 そこで簡単な結界を張って彼女達の身を守り、受け入れ先に連絡を入れた後、<コマンダー>で脱出させる前に一つ"お願い"をした。



『女神様方。お疲れのところ申し訳ないのですが、脱出後でいいので、闇神討伐にお力をお貸しいただけませんか?』


「…………!? 構わぬが、我々はほぼ全ての力を奪い取られた"名ばかり神"。上級神である彼奴を倒す力など、残ってはおらぬぞ?」



 驚愕の表情を浮かべた後、悔しそうにそう仰った女神様に、他の方々も頷きで同意を示す。


 でも大丈夫、武力とか魔法力は要らないんですよ。



『ご安心ください。今から私が其方へうかがい、<巣食う花>を摘んで"ある細工"を致します。皆様は、それを持って避難場所へお逃げください』


「それだけで良いのか?」



『はい。あとはその花を<コマンダー>の拠点上に置き、避難先で"闇神にどんな仕打ちを受けたか"……涙ながらに語っていただけると助かります』


「ふむ。なるほど、そういう事か。たしかこの花は、彼奴への害意を吸い取りエネルギーとして蓄えるのであったな。要するに、妾達を使って遠隔でも稼ごうと」



『えぇ。引き受けてくださりますか?』


「勿論だとも! 思い出すのも辛い出来事だが、我等が闇神討伐の礎になれるのなら……どんな事でもいたす所存ぞ!」


『ありがとうございます。そう仰って頂けると心強いですわ』






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜巣食う花〜


ターゲットを定めた後、供物と血をマナに混ぜて相手のテリトリー内に植えると、ターゲットに対する他者の憎悪を餌として、水面下で静かに増殖していく。


もし増殖中に種の存在に気付かれて核の命脈を絶たれた場合、それを植えたギフト保持者も連動して命を失うが……


種の存在に気付かれることなく"開花"まで持っていけると、それ以降は攻撃されてもペナルティーを受けずに済み、花のみが命を散らすことになる。


開花した花は、栄養分として接種した「ターゲットへの憎悪」を宿しているため、探知されたとき「ターゲットを憎む知的生物」と勘違いされやすくなり……


現地に行って実物を確認しない限り、ターゲットは「無数に散らばる"自分へ向けられた害意"」に怯え、その結果、重要な局面で判断を誤る可能性も。


また開花した花はターゲットへ向けられた害意に反応して、その相手に栄養を分け与えることで、間接的にターゲットを害そうとするため……


花を根絶させるか自分のテリトリーを捨てて逃げない限り、敵にバフがかかり続ける"修羅の場"で暮らすハメになる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 <巣食う花>は、マサル君が<スキル図鑑>収載の能力を用いて仕掛けたものだから、私が丸ごとコピーして他領へ持ち込むことはできない。


 だけど育った花を一時的に封じて女神様方に持っていってもらい、そこで演説して闇神に対するヘイトを集めてもらうことで……


 遠方の神々からも、強大なエネルギーを吸い取れる可能性があるのだ!






「(もちろん、直接集めるのに比べればエネルギー効率は落ちるだろう。だけど敵対している者同士だし、遠方にいる神々も皆……闇神嫌いでしょ?)」


 直接対峙していない神々は、自分事として考えられておらず"ヘイト薄め"かもしれないけど、弱々しい御姿の女神様方を見たらどうでしょうね?



 闇神も男だからか、闇神城に捕えられていた女神様達は皆、ボロボロではあるものの端正な顔立ちの美人ばかりだった。


 そんな彼女達が涙ながらに闇神の所業を語り、奴の非道を訴えたら……普通の男なら絆されて、真偽確認すらせず闇神への憎しみを募らせるんじゃない?



「(長年一緒にいた<農民>の連中は、下半身枯れたジジィばかりだから、男として見る機会なんて殆どなかったけど……普通は、そういうもんなのよ)」


 リソースを注がれた結果、若返って美しさを取り戻した私の写真を見ても、我関せずで業務連絡を返してきた、ウチの爺共とは違うのだ!



『得られたエネルギーは、管理にかかるコストだけ抜かせていただきますが、残りは全て闇神討伐に使わせていただきますので』


「分かった。泣き落としは我等の得意技だ。全盛期ほどの美しさはないが、萎びた死にかけの姿からは幾許か回復しておる。ちょうど、儚げで良かろう」



『はい。皆様、軽く押すだけで折れてしまう花のような、儚げな美しさをお持ちでございます。辛い思いをさせてしまい申し訳ございませんが、良しなに』


「うむ。任せておけ」



 そう強く言い切った女神様の言葉を信じて、少し怖いが……私もカルマ君に頼み、<コマンダー>で彼女達の元へ向かう。


 一部とはいえ他者の能力を利用して、「遠方からエネルギーを吸い取るシステム」を組むのだ。


 こんな複雑な式……式神経由じゃとても組めないし、私が直接行き丁寧に作業しないといけないので、ここでリスクを負うのは仕方ない。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
思ったよりマイルドで堅実な戦略だったわ、別働隊のアスタリア。 被害者ビジネスかぁ(言い方ぁ!!)
次はカルマ?…能力か名前にちなんだやつかなあ
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