855話 尻拭い
〜メグミside〜
その後もマサル&モンティート先輩にメールでイジられ、再起動したばかりなのに凹んだタイミングで、サーシャによって仕事現場へ連れて行かれた。
別に、サーシャが鬼畜属性というわけじゃない。
本来僕は、闇神討伐において重要なサポート役を担っているため、ずっと現場に詰めていないといけない人間だったのだ!
それにも関わらずトリップしてしまい、忙しい最中に「サーシャの愛で癒される時間」を取らせていただいた訳で……起きたら戻るのが当たり前!
文句を言ったらバチが当たるレベルの厚遇を受けたと思い、帰還後は再び気合を入れて仕事に邁進する!
「と言いたいところなんだけど……ねぇサーシャ、腰がブッ壊れちゃったみたいで起き上がれない。何とか回復する手段はないかなぁ?」
「あったら、移動式のベッドに移し替えて運んだりしないって! メグミ君が選べる選択肢は、このまま寝たきりで働くか私にお姫様抱っこされるかの二択」
「…………。(どちらも、イジられるの確定の帰還演出じゃん! えっ、ちょっと待って!? これって、僕…………本当に復活したの?)」
なぜ腰がガクガクして立てないかは、トリップしていた僕でも分かる。
この賢者モードが持続している感じの怠さ……間違いなく、限界を超えてサーシャに搾り取られ、現在の僕は枯れ枝同然なのだ!
腰だけなら、まだ車椅子に乗って帰還する手もあったかもしれないけど……腰だけじゃなく全身くたびれた感じで、トイレすら満足に行けないんだよ。
そして僕がこうなった理由は、介護要員としてサーシャが付き添ってくれている以上、明白で……間違いなく揶揄われる。
サーシャがいる所では、彼女に気を遣って下品な会話は慎まれるかもしれないけど、彼女が帰った瞬間終わりだ。
仕事漬けで面白いイベントに飢えている野朗共に、ネタとして徹底的にしゃぶり尽くされ、僕のアダ名は「愛されキノコ」になってしまうだろう。
「いや、大事な戦力であるメグミ君をこの場で羞恥沼に沈めたりはしないよ。なんせ君は、神様になった程の"過労マスター"だからね。とりあえず働いてくれ!」
「はぃ!? あの先輩……今、なんか"神様"とかいう言葉が聞こえた気がするんですけど…………?」
「うん。ステータスを確認してごらん。ちゃんと<働神>って表記になっているでしょ? あぁでも、今は忙しいから細かいチェックは後回しでお願い」
「えっ…………アギャアァァァ〜〜〜〜〜〜ッ!!!? うわっ、マジで僕……神様になっている!?」
なんか「今日はいい天気ですね」的なテンションで告げられて、驚いている僕が変な感じに、錯覚しちゃうけど……これ、僕のリアクションが正しいよね!?
普通、知らない間に神様になったら驚くし、しかも<働神>とかいう「名前からして労働から逃れられない運命」を押し付けられたら、発狂モノだろう。
「メグミ君〜、早く仕事を再開して! 君がサーシャちゃんとイチャラブしている間に、君しかできないタスクが積みあがっちゃったんだから」
「あっハイ、すみません! 誠心誠意やらせていただきます!」
だが迷惑をかけた自覚があるうえ、腰ガクガクで立つことすらできず、ジャンピング土下座で謝意を示すことすらできない状況では……
迷惑をかけたぶん誠心誠意仕事に取り組み、再び割り当てられた仕事を全て片付ける事こそ大切なので、ここで無駄にツッコミ時間泥棒するのはダメ。
全てが終わった後、時間ができたタイミングで「どういう経緯で神になってしまったのか?」尋ね、向き合うのが最善だ!
「(それで、僕しかできない仕事っていうのは……あぁなるほど。戦況に合わせた、自販機の品目調整ね。あと、闇神への呪い希望? って、どういう事!?)」
訳が分からないので、とりあえずパッと見で理解できる仕事をこなして、僕が律速段階になってしまった作業を、全て片付けたうえで……
改めてその"呪い?"と向き合うために、事情を知っているかもしれない仲間達に、何のことか尋ねてみた。
すると……
「そういえば、お前はトリップ中で意識なかったな。神様になってすぐ、闇神を過労沼に引きずり込もうとして、お前……自販機に呪いを貼り付けたんだよ」
「はいぃっ!!!?」
いや、ちょっと待って!
さすがに、一旦落ち着いて考えさせてください!
「一介の魔王にすぎなかった僕が、神様の中でもトップに君臨していた闇神に、正面からケンカを売るような呪い攻撃を…………? えっ……正気??」
「正気な訳ねぇだろう。もし正気なら記憶は残るし、お前が俺にこの質問をする必要もねぇんだから」
「あっハイ。ソウデシタネ……」
マジかよ……トリップ中の僕、何をやらかしちゃってんの!?
尻拭いするのは正気に戻った僕なんだから、もう少し常識を身につけて、加減を弁えた節度ある行動をとってほしいよ!
でも何故、その"キチガイ呪い"の"お代わり"を要望されたんだろう?
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






