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851話 エナジー!!!!




 マサルの仕込みと、<ヒッキー>の容赦ない偽映像攻撃が炸裂し、闇神にとって「後々使い捨てにできたかもしれない手駒」の、子神達は殺し合いを始め……


 それによって生まれた負のエネルギーは、<巣食う花>にしっかりと食われて、討伐軍の神々や女神達に分け与えられた。



 闇神の血を引くとはいえ、まだ生まれたばかりで幼い子神達ゆえ、餌にしても得られるエネルギーの総量はたかが知れている。


 だがそれでも、限界スレスレまで搾取されていた女神達が、「逃げる体力」を確保するには充分であり……


 自分に寄り添う花からエネルギーを分け与えられた彼女達は、アスタリアが送った式神の姿を見て、女の勘で「自分達が何をするべきか」把握。



 「行くよ」と言うようにクルクル飛び回る式神の誘いに乗って、極限まで気配を消しつつ立ち上がり、己を縛っていた枷を外した。


<−−− ガシャンッ! −−−>



「ふふふっ、呆気ないものね。あれほど私達を苦しめた枷が、ただ力を込めるだけで外れるなんて。お花ちゃん。幽霊ちゃん。助けてくれてありがとう」


<−−− ワサワサワサワサッ! −−−><−−− クルクルクル〜! −−−>



 決して、闇神が彼女達を縛った枷が欠陥品だったわけじゃない。


 ただ枷のクオリティーが、「名ばかりの神」を束縛する程度の代物だったのに加えて、アスタリアが式神経由で巫女として働き……


 その枷の急所をピンポイントで壊して、ただの"金属のオモチャ"に変えただけだ。






『今なら、見張りの目につく事なく逃げられます。気配を殺して、焦らず皆で協力しながら脱出してください』


 式神経由で届いたアスタリアの声を聞き、「自分達を救ってくれるのは女性なのだ」と知り、より安心した女神達は……


 アスタリアの言うとおり、争うことなく脱出順を決めて隊列を組み、式神の後に続いて動き始めた。



 闇神城から出られたところで、そこに広がっているのは荒廃した闇神領であり、自力じゃ領外まで移動する事など不可能だ。


 しかしアスタリアには、「カルマに"お願いメール"を送って、最寄りの転移拠点から女神達を安全圏へ逃す」という、チート技があるので問題ない。



 その負荷を一身に背負うカルマが心身共に追い詰められ、「絶対にああはなりたくない」と思っている、"メグミ先輩"の領域に一歩入りこむが……


 過労の世界から戻ってこれなくなった挙句、<働神>になってしまったメグミの姿を、アスタリアは直接見ていないから「いけいけ思考」で突っ走る。






 女神達は「最寄の転移拠点」まで逃げれば、安全圏へ脱出できるが、闇神と戦う使命を背負った討伐軍の神々はそうもいかない。


 今更ながらに「もしかして、自分は"超ブラックな仕事"を掴まされてしまったのではないか?」と気づき、出世したさにソレを引き受けた自分を呪っても……


 闇神を倒すか自分の命が尽きるまでノルマは消えてくれず、一挙手一投足が上司に監視されている可能性もあって、敵前逃亡を試みる事すらできないのだ。



 だが一度折れてしまった心を奮い立たせて、再び陣形を組んで闇神の前へ出るのが、どれほど大変なことか?


 捨て駒にされる程度の存在とはいえ、一応「数多の部下を率いる中級神」であり、それ相応の心理学の知識を持つ彼等は……



 このピンチを乗り越えるためには、「本当にヤバイとき以外飲むな!」と言われた、「<メグミの自販機>のお薬」に手を出すことを決断。


 それを用法・容量無視で口の中へ放りこみ、エナジードリンクで体内に流しこんで、己を動かす起爆剤に変えた。



 なお……説明書を読んでいる余裕などなかったので、彼等が接種した"お薬"は必ずしも「精神興奮作用」を持つ代物じゃないが……


 メグミが仕込んだ"お薬"は全部「戦闘向きのブツ」なので、説明書ナシで適当に飲んでも彼等は効果を感じ、「不思議と身体がポカポカする」感覚を味わう。






 そして実は「短期集中のエネルギー接種」には抜群の効果を示す、ブラック労働者にとっての"おクスリ"であるエナジードリンクも……


 浴びるほど飲んだため効いており、血糖値がガツンと上がった神々は、微妙に眠気を感じつつも「劇薬ダブルパンチ」で覚醒し、心身喪失状態を脱した。



 自らの身体で「効果が出たこと」を実感した神々は、さらに回復しようと"追いクスリ"をキメて、よりハイになり……


 まるでメグミが乗り移ったかのように、「働くこと=何よりの幸せ」「ノルマ=命に換えても成し遂げるもの」という意識が芽生えて、ブラック労働者と化す。



「ビビって後ずさった愚か者には、鼻の穴にチューブワサビぶち込みの刑! それで強制覚醒させられたくなければ、"後退"なんて概念は捨てろ!!」


「滅多にない神同士の戦争で、戦わせていただいているというだけで幸運なのだ。かくなる上は、星になるまで身を削って戦うべし!」


「保身なんてヌルい事を考えてんじゃねぇぞ! 俺達に残された選択肢は、"戦う"か"戦う"なんだよ! 覚悟決めようぜ!!」



 なぜ日本でも流通している"おクスリ"が、こんな「ブラック労働者を生み出す劇薬」になったのか?


 メグミの精神状態は、自販機にラインナップされた商品に影響を与えないはずだが……結果として、そうなってしまっている。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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