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844話 マサルが捧げたもの


〜マサルside〜




 狂気に呑まれたトリッパー<メグミ>を見ていると、俺まで気が狂いそうなので、視線を逸らして坐禅を組み精神統一。


 そして集中モードに入り、以前闇神領へ行ったときに仕掛けた<巣食う花>を開花させた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜巣食う花〜


ターゲットを定めた後、供物と血をマナに混ぜて相手のテリトリー内に植えると、ターゲットに対する他者の憎悪を餌として、水面下で静かに増殖していく。


もし増殖中に種の存在に気付かれて核の命脈を絶たれた場合、それを植えたギフト保持者も連動して命を失うが……


種の存在に気付かれることなく"開花"まで持っていけると、それ以降は攻撃されてもペナルティーを受けずに済み、花のみが命を散らすことになる。


開花した花は、栄養分として接種した「ターゲットへの憎悪」を宿しているため、探知されたとき「ターゲットを憎む知的生物」と勘違いされやすくなり……


現地に行って実物を確認しない限り、ターゲットは「無数に散らばる"自分へ向けられた害意"」に怯え、その結果、重要な局面で判断を誤る可能性も。


また開花した花はターゲットへ向けられた害意に反応して、その相手に栄養を分け与えることで、間接的にターゲットを害そうとするため……


花を根絶させるか自分のテリトリーを捨てて逃げない限り、敵にバフがかかり続ける"修羅の場"で暮らすハメになる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






 俺が仕込んで育てていたこの花に、直接的な殺傷能力はないが……討伐軍に攻め込まれた状態で、突然「闇神に害意を持つ何者か」が大量発生したら……


 その存在を探知で見つけた闇神は、どう思うかな?


 たぶん「敵の増援が来た!」と勘違いして焦り、戦闘のペース配分をミスったり、愚行としか思えない珍行動をとるだろう。



 なんせ奴には「信用できる味方」がほぼおらず、単独で討伐軍と戦っている状況だから、その「害意剥き出しの存在」が何なのか確認しに行けねぇもん。


 <巣食う花>で咲かせた花は、仕込むときのリスクが大きい割に直接的な攻撃力がなく、使い方を間違えると「ただのカカシ」にしかならない代わりに……


 その幻影力は随一であり、過去に俺も「格下だった能力保持者」に騙されたほど、ハッタリをかますのには向いているのだ。



「とはいえ、闇神をターゲットにするのは簡単じゃなかったでしょう。今度は、一体何を供物として捧げたの?」


「え〜っと……まぁ、メンツを少々…………」



「ふ〜ん、メンツねぇ……。健康に影響ないなら構わないけど、命とか臓器なんかを簡単に捧げちゃダメだよ? マサル君も何気に無鉄砲だから、心配」


「その辺はまぁ、大丈夫っス」



 言えねぇ……さすがにこの場合で、真面目に質問してきたモンティート先輩相手に、「チン毛の毛根を全て供物として捧げました」とか……言えねぇ。


 もしソレを知られてしまったら、先輩に男としてムダな気まずさを抱かせかねないし、メグミが正気に戻ったら嬉々としてイジり出すに決まっている!



 俺は美容意識が高い元日本人だから、"脱毛"の概念を知っていてそこまで抵抗ねぇけど、この世界の価値観で判断するとツルツルはなぁ〜。


 バカにされる可能性大だし、後で別の対価を捧げて毛根を復活させるまでは、たとえ仲間であっても隠し通さねぇと!






「ところで、<働神>としてさらにブラック街道を爆進しそうなメグミは、相変わらずっスか? 討伐軍への協力は、"呪いの自販機"爆誕で達成っスよね?」


「うん。メグミ君と中級神<エース>のやり取りを見る限り、討伐軍は"呪いの自販機"誕生を喜び、メグミ君に感謝しているみたいだよ」


「そうですか。良かったです」



「あと、マサル君がさっき咲かせた"花"の件も話に出ている。想定外の事象すぎて、討伐軍の面々も最初は驚いたけど、"助かる。感謝"って書かれていた」


「ふむ。俺も一応貢献できたって事っスね。(チン毛上納で討伐軍を満足させられた、と考えれば上出来か。結果論だし、調子に乗るなんて論外だが)」



 とはいえ……俺とメグミのアシストが入った事で、闇神に不利な材料が増えたし、一度崩れかけた討伐軍との均衡も持ち直すんじゃね?


 おぞましい実害付きの"呪い自販機"はともかく、俺が咲かせた花は"ハッタリ100%"で直接的な効果は皆無だから、同列に語っていいもんでもねぇけど。



「アヒャヒャヒャヒャ〜〜〜〜〜アヒャッ! マサルゥ、ナカマダネェ〜〜〜〜。コノチョウシデ、バリバリハタラコウ!!」


「いや、マジでお前と一緒にすんな。色んな意味で"同類"扱いされたくねぇ」


「アヒャヒャヒャ〜〜〜〜〜?」



 というか……メグミの奴、トリップ極まり過ぎて(物理的に)アゴが外れやがった!


 リソースを鬼注ぎしてもらい神に至った、その頑丈な肉体で、どうやったらアゴが外れるまで狂い笑いできるんだよ!?

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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