832話 アスタリア先輩の変化
〜メグミside〜
「カルマ。中級神<エース>から、露骨に切羽詰まった"動け"メールが来たぞ。始めろ!」
「ヒエェェェ〜〜〜〜〜〜ッ! 了解ですゥ」
情けない声をあげつつ、<コマンダー>で指定されたポイント間の転移をおこない、闇神討伐軍の兵隊を現場へ派遣するカルマ。
それを眺めつつ、僕は眷属達が安全に動けるよう、リソース注入でパワーアップしたアスタリア先輩に協力をあおいだ。
「ふふっ、誘われちゃった♪ <ボッチ>を誘導した時の疲れはもうとれたし、リソース注入で<器移し>ナシでも動けるようになったから、構わないけど」
リソース注入によって、なぜかスペックが上がるだけでなく肉体も若返ってしまい、別の意味でテンションがバグっているアスタリア先輩は……
仕草が妙に女っぽくなっており、あまり不用意に近付くとサーシャがムッとするので扱いに困るが、その女将っぷりは相変わらず健在!
そのうえ<器移し>ナシでも、地獄空間でそれなりの数の式神を使役できるほど、パワーアップしており……
見たところ、(胸がボインに戻ったこと以外で)マズイ変化はなさそうなので、遠慮なく現場へ派遣することに。
もちろん闇神領に直接派遣すると、アスタリア先輩が闇神と遭遇してしまい、そのまま惨殺……なんて可能性もあるので……
まず闇神領のすぐ外にあるポイントに転移し、そこで周辺情報を探ってから内側に入る流れだが、先輩なら上手くやってくれるだろう。
「じゃあ、さっそく行ってくるわね〜♪」
「はい。よろしくお願いします!」
見るからにルンルン気分のアスタリア先輩は、いつもの厳かな巫女服ではなく、なぜか微妙に露出の高いエロ巫女仕様で地獄世界へ旅立った。
「(あのチラ見えしていたボインとお尻……僕でも目のやり場に困ったし、協力を仰ぐ前まで彼女の相手をしていた、モンティート先輩達は……)」
「メ・グ・ミ君〜。どうしてボケッとしているのかなぁ?」
「いえ、何でもありません!」
そしてサーシャ……さすがに僕だって、婆孫より歳が離れたアスタリア先輩に、男として欲情することはないから、露骨にムスッとするのは止めてくれ!
ただ「リソースが行き渡った先」が、僕・マサル・ルノーブル先輩と違ったことに驚いたのと、急にエロ巫女仕様になって目のやり場に困っただけだ。
お金とか貸し借り以外で、妙な"支払い"をさせられてしまった感がある、「アスタリア先輩派遣」だが……
その効果は明らかで、派遣して十数分で「安全確認が終わり、眷属を転移させられる自販機設置予定箇所一覧」が送られてきた。
「「「「「「「「「「では、行ってまいります!」」」」」」」」」」
早く作業を終わらせないと、せっかく確認してもらったのに、時間が経って安全性が担保されなくなってしまうので……
至急、心身共に元気な眷属達を<コマンダー>で現場へ送り、自販機設置作業に入る。
「あぁ、遂に私も仲間達と分け隔てなくご主人様に使ってもらえる! 嬉しいです! 感激です!!」
諸事情あって、悪い子じゃないのに干していた<ブラック>が、喜びの雄叫びをあげていて気まずい事この上ないが……
不遇な扱いをしてきたのは僕だし、「ゴメンね。たくさん働いてくれ」以外の言葉を言う権利がない。
せめてもの償いとして、彼の希望どおり一番多く仕事を回して、眷属達の中で一番コキ使ってやろう。
あとボッチ……このタイミングで、協調性なく僕の方を見て「プゥ〜、クスクスッ」と笑うのは……勘弁してください。
<<<<<<<<<<−−− ヴーーンッ −−−>>>>>>>>>>
胃と頭がズキズキ痛むのを堪えて、眷属達を全員"該当場所"へ派遣し、さっそく<ブラック>のいる拠点から自販機設置開始!
自販機の設置希望場所は、<コマンダー>を使って移動可能なエリアの中で、中級神<エース>が指定してきた100箇所。
待機場所を兼ねる「闇神領のギリ外」や、「エースが簡易事務所を設置した虚無空間」にも、自販機はあるため……
闇神領内に100個置くわけではないが、これだけの数を一気に設置する僕の負担は、理屈じゃ片付けられないものになっている。
「まぁ僕にはコレがあるから、大丈夫だけど」
高麗人参とニンニク成分がたっぷり入った、滋養強壮サプリの原液を一気飲みして、ガツンとくる味で気合いを入れた僕は……
さっそく最初の自販機を遠隔で設置するべく、集中力を高める。
「座標68-6926-6857。セレクト自販機、遠隔……クリエイト!」
疲労でぶっ倒れても、ローヤルゼリーとかエナジードリンクとか……気合いを入れ直せるブツは、沢山あるのだ。
「あぁ、早速メグミ先輩がイき始めた。神様ぁ、お願いです! 頑張って擦り切れるまで働くので、僕はこうなりませんように!」
おぃカルマ、聞こえているぞ。
大丈夫だって……僕程じゃないにしろ<コマンダー>の連続使用による負荷はかかるし、お前にはこれまでの過労貯蓄もあるんだから……
そのうち僕以上のヤバイ扉を開き、簡単に"先輩"を越えていけるさ!
だから、涙目にならずに元気よく働こう!!!!
読んでくださり、ありがとうございます!
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






