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831話 お待たせしました。過労のお時間です




 カルマの<コマンダー>による移動および、メグミの自販機による現場補助を計算に入れて、再度計画を組み直し……


 選抜した闇神討伐軍を、亜空間持ちの腹の中に入れ終えた各派閥の上級神達は、大急ぎで彼等を<コマンダー>の転移拠点まで移動させた。



 遠くの神領から<コマンダー>の拠点がある場所までは、そもそも遠すぎて転移云々の問題じゃないのだが……


 最初から鬼獣に乗って突撃することを考え、闇神領から離れた場所にある派閥の軍隊は、最寄りの神領まで移動していたため、集合はすぐにかけられる。



『下界の魔王<マサル>と<カルマ>が、中級神共の引き抜きを手伝い、闇神の力を削いでくれたおかげで、我等はなかなかの好条件で攻められる』


『とはいえ、残された中級神共や木っ端連中が軒並み食い尽くされたと仮定すると、闇神<スティグマ>の強化率も相当。軟弱者では返り討ちにあうだけだぞ』



『返り討ちならまだいいが、半端者を大量投入して闇神の前に置くと、"敵に飯を与える"のと変わらない状況になる。皆、討伐部隊の選抜は徹底したか?』


『勿論だとも! 派閥の運営において居なくなっても困らない……かつ、能力は人一倍ある中級神のみを送りこんだ!』



『ウチには下級神も混ざっているが、闇神に近付け過ぎなければ問題ないはずだ。闇神領に漂う残飯リソースの回収係として、離れた場所で作業させる』


『"ゴミ拾い"の連中はともかく、闇神と直接戦う神々は協力必須だぞ! 最低でも、我等が到着するまでに闇神のリソースを半分は削らせろ!』






 今となっては"過去の栄光"だが、元々闇神<スティグマ>は上級神の中でも特に強大な力を持つ、地獄世界最大派閥の長だった。


 それゆえ徒党を組んだ上級神達も、派遣する中級神達だけで闇神を倒せるとは思っておらず、真打として自分達も出撃する覚悟は決め準備している。



 だがリスクは極力とりたくないし、この機会に「協調性に欠け自身を脅かす可能性もある部下」を削っておきたいので……


 最初に"そういう連中"を闇神領へ突っ込ませ、闇神がさらに疲弊したタイミングで自分達も入り、"美味しいところは全て掻っ攫う"計画を立てた。



 それゆえ上級神達も、実は闇神領最寄りの派閥領まで出張しており……彼等の派閥領は現在、主力がゴソッと抜けて"ザル警備"状態である。


 だが、元格上の闇神を滅ぼすのだ。


 そのくらいのリスクは取らざるをえないし、「危険をおかすだけの価値はある」と彼等は考えている。



「「「「「(一番上だった闇神<スティグマ>を滅ぼせば、一つイスが空く! そうすれば、私の序列も……)」」」」」


 口では綺麗事を吐いているが、心の中は皆こんなものだ。



 一度牙を向けた以上、確実に滅ぼさなければ後々再度立場を逆転されて、自分達が食い殺される側になる……という恐怖。


 そして上になるほどイスが空かず出世しにくい中で、久しぶりに巡ってきた美味しいチャンスを、なんとかモノにしたい……という欲望。


 "神"というスペックをもってしても悟りは開けず、人間と大差ない欲望に支配され、自分の欲を叶えるために犠牲者など省みず争い続ける。






 当然そんな上級神達が、一介の中級神でしかない仲介役<エース>の仕事量に、配慮する訳もなく……


 彼の元には方々から山のような連絡が押し寄せ、その処理だけで知恵熱が出るほど、脳を酷使する状況に陥った。



「このままじゃパンクする! とにかくメグミに連絡して、彼等を巻き込み仕事を分散しないと!」


 そこで即「道連れを生み出す」ルートを選ぶ、<エース>も大概だが、性格が悪くないと中級神などやっていられない。



 日常的にエグい上納に追われ、派閥主である上級神の横暴に晒されつつ、笑顔でゴマを擦る能力も求められるのだ。


 その負担を下に負わせる神のみが生き残れるし、その中でも"仲介役"という仕事を任されるほど名を知られている、エースの腹黒さは飛び抜けている。


 そんな彼でも消耗し、直前まで食べていた「タルタルソース入り唐揚げ」のスタミナ無しでは乗り切れないほど、上級神達の"コキ使い"スキルはヤバかった。



 結果、中級神にも関わらずストレスで腹が痛くなり……眉間のシワも、治るよりも刻まれる方が優位になってしまったが……


 <エース>は上級神達の「一方的かつ身勝手すぎる連絡」を捌きつつ、メグミとカルマに「そろそろ動け」と連絡を送ることに成功。


 束の間の休息を終えたカルマと、すでに覚悟を決めてキマりかけているメグミも、"過労仲間"に加えて……地獄エンドレス労働のスタートをきった。



 ただ一つ違う点、それは……


「(ハァ〜。これで私も歩合制なら、一足飛びに出世できるのだが)」



 頑張れば頑張るほど稼げるメグミ達と違って、彼の評価と褒美は上司神の一存で決まり、どれだけ頑張っても天井に阻まれるということ。


 そして成果は天井に阻まれるが、責任と罰は無限大ゆえ……嫌な意味で頑張るしかなく、積み重なるストレスも青天井なのだ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
マジでエースもノルマトリップ候補かぁ。 闇神派閥からの寝返り組は全員搾取要員にしちゃって内部情報提供からの案内役はいないのかな? 兵站事務要員も信用できる他の中級神が何人かいるかと思ってたけど。 あ…
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