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830話 凪の時間


〜メグミside〜




 最悪の寝起きドッキリをくらい、魂が肉体から剥がれかけたカルマだったが、口から漏れ出たブツを無理やり掴んで戻してやったら生き返った。


「何故だろう? あのまま幽体になって旅に出た方が、僕は自由になれた気が……」



「魔王のお前が魂だけになって行き着く先は、戦争が始まろうとしている闇神領だから、旅立ったところで地獄は変わらねぇけどな」


「…………メグミ先輩。説得力ありすぎる現実を、寝起きに突きつけないでくれません?」



 相変わらず「萎びたサラリーマン」状態だが、一度休憩をはさんだ事もあり、肉体からポーション摂取の水分は抜けているので……


 多少は無理をさせても、トリップせずに耐えられそうな感じだ。



「カルマ、とりあえずコレを読め。お前が気絶している間に、闇神討伐軍の仲介役である中級神<エース>と、新たなビジネス契約を結んだから」


「ヒョエェェェ〜〜〜〜〜〜ッ!? これ以上仕事が増えたら、僕マジで逝っちゃいますよぉ!」



 お前……口ではそう言いつつ、秒速で書類を読んで内容を頭に叩き込んでいる時点で、社畜色に染まりすぎて説得力ねぇぞ。


 とはいえ今回のビジネスは、カルマより僕の方が労働負荷が大きくなるから、一旦始まったら僕もこんな軽口を叩く余裕はないだろうが。






「なるほど。仕事の流れは理解しました。要請を受けたタイミングで、闇神討伐軍の"亜空間持ち"を<コマンダー>で現場に届け、その流れで自販機を……」


「そうそう。"亜空間持ち"が闇神領内で兵士を出して、闇神の警戒がそちらへ向いたと確信できた段階で、僕の自販機を設置していく」



「了解です! 実際に現場へ向かうのは、手が空いている眷属達。そしてSSランクの"特典"を利用して、メグミ先輩が遠隔操作で設置をおこなうんですね」


「あぁ。ダンジョン内とか仲間のテリトリーに設置するのと比べると、設置時に僕が消費するマナの量も段違いだが、そこは気合いと根性で乗り切る!」



「…………。僕とメグミ先輩。二人してノルマ・トリップして黒歴史を増やす展開だけは、避けましょうね?」


「そうだな。好きでトリップする奴なんていないから、なるようにしかならない訳だが……精神ブッ壊さずに済むなら、御の字だ」



 ただまぁ、カルマはともかく僕は大丈夫だと思うよ。


 要求した訳でもないのに、何故か「リソースを注入して強化する対象者」に選ばれ、マサル達が引っ越しビジネスで稼いだリソースを注いでもらったから。



 元のスペックが微妙だから、マサル程の肉体的変化は見られないけど……明らかにバテにくくなっている。


 これだけのスタミナがあれば、きっと連続100時間全力で働いても正気を保てるはずだ!



 えっ、元からイっているから正気もクソもないって?


 やだなぁ〜、悪い冗談は止めてよ!



 僕はちょっとブラック思考なだけの凡人で、先輩方やマサルと比べたらマトモな部類の魔王だし、ノルマ・トリップしない限り"普通"だから!


 いつの間にか"アカン扉"を開いちゃった、カルマやスティーブ……鬼畜街道爆進中の闇神みたいな、「本当にヤバイ奴」と一緒にしないでよね!




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




 メグミが盛大に自分を棚上げしている頃……彼等のチームと違って"温もり"などカケラもない闇神領では、闇神が近場の餌を粗方狩り終え……


 闇神討伐軍も侵攻の準備をほぼ整えて、一時的に"凪の時間"が流れていた。



「くふぅ……。低品質なリソースとはいえ、一応"中級神のモノ"だしな。これだけ補充できれば、まぁ……辛うじて…………やれるか?」


 逃げ遅れた中級神達を狩り尽くし、その近くにいた"裏切り者の眷属"や"元配下"も餌に変えて、短時間でできる限りのエネルギー補給を済ませた闇神。



 だが高品質なリソース持ちの中級神達は、ことごとく引っ越しを済ませて他派閥へ逃げてしまったため、満足いくラインには到底足りない。


 とはいえ、現状で巻き返せる"最善"まで持っていった事も事実であり……


 これだけのリソースを集中させれば、他派閥の干渉を跳ね除けられる可能性もあった。



 さすがの闇神も、事ここに至って「昂って落ち着かないから、女神達を好き放題<ピー>する」などといった愚行はおかさない。


 彼が最後にまとめ狩りした"逃げ遅れ勢"は、歯応えのない中級神ばかりだったので、狩り尽くしたところで大して昂らなかったうえ……


 もし<ピー>している最中に他派閥から侵略を受けてしまうと、賢者タイムでボケッとしている間に好き放題食い荒らされて、そのまま負けてしまう。



 そのリスクが間近にあり、首筋に剣を突きつけられている状況で、エクスタシーを感じて遊び果てるほど、闇神の思考回路は壊れていなかった。


 もっとも……その代償として、微妙な昂りを鎮めるために獲物をなぶり殺しにしたため、多少なりともムダな時間はかかったのだが。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
そして決戦へ。 ダブルノルマトリップどころかトリプルノルマトリップになるとみた(待て) ぶっちゃけ中級神エース辺りが追加で(おいっ) 人員搬送役のカルマ、物資補給役のメグミ、各方面連絡役のエースとい…
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