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829話 中級神<エース>、依存沼へ




 メグミとの契約締結を済ませた後、「各派閥の思惑が絡まる腹黒連合軍」もとい……闇神討伐軍と、協力者の仲介業務をしていた中級神<エース>は……


 目の前にいきなり"ドン"と重そうな鉄の箱が生えてきて、素で驚き反射でソレを殴ってしまった。



<−−− ドガアアァァァンッッ!!!! −−−>


 しかし思いっきり殴ってもソレは壊れず……


 「警告します。器物損壊行為をおこなわないでください。繰り返します。器物損壊行為をおこなわないでください」というアナウンスが流れるだけ。



「この…………っ!!」


 その音声を聞いてさらに苛立ちが増したところで、側にいた<キアイ>がそのブツの正体を告げた。



「エース様、それはウチの主人<メグミ>が飛ばした自販機のサンプルです。急に出現させてしまい申し訳ないのですが、殴らないでいただけると助かります」


「……………………。(敵の襲撃じゃないのか。まったく……ムダに驚かせんじゃねぇよ!)」



 とはいえ、ここで文句を言って取引中止になると、困るのは上司含む上級神達から詰められる<エース>なので……


 彼は言いたい事をグッと堪えて、メグミの無礼をスルーした。



 いくら格上かつ有利なクライアントの立場であっても、彼は所詮「全ての事を上司に報告しなければならない哀れな現場担当者」でしかなく……


 しかも嘘をついたら、即見破られて神格を剥がれ没落コースへ叩き落されるわけで……自分の気持ちで物事を判断することなんて、できないのだ。






 ゆえに怒りを抑えて平静を装い、改めてその箱をまじまじと眺めた<エース>は、要望どおりの品が入っているか確認するため、実際に一通り買うことに。


「(ふむ。このカードをかざす事で決済するのだな。仮にカードを紛失しても、パスワードと顔認証で会計可能……悪くない仕組みだ)」



 会計に必要なカードは、"お試し"という事で<キアイ>の物を使えたので、それで大人買いしてみると、箱の体積に見合わぬ量の実物がゴロゴロ落ちてくる。


「(さすが、SSランクのレアギフト。ちゃんと飲み食いできる、鮮度が担保された商品ばかりじゃないか!)」



 買った飲食物を全て腹に納めるのは時間的効率が悪いので、パパッと鑑定で検査を済ませた<エース>は、香りに負けて"熱々の惣菜"だけいただくことに。


 そして……その惣菜の美味さとジャンキー感にハマり、つい追加注文してしまう。



「ふふふっ。美味しゅうございますか?」


「ゴホッ! いや、うむ……不味くはないな」



 その様子を<キアイ>に見られた事に気付いて、幾分動揺したものの……第一印象から180°変わり、「自販機」が好きになった<エース>は……


 サンプル用の自販機を、闇神討伐が終わるまでココに置いておくようメグミに伝え、自分は引き続き調査……という名目の、食い道楽に走った。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜メグミside〜




「へぇ〜。お高くとまっている中級神<エース>が、タルタルソース入り唐揚げを気に入って、<キアイ>のカードでリピートしまくっている……と」


 ハマるにしても、食い物じゃなくて「乱用すると危ないお薬」の方だと思っていたから、少し驚いた。



 まぁ末端兵ならともかく、仲介役である中級神<エース>を薬物依存沼に堕として壊してしまうと、上級神から僕が目をつけられる可能性もあるので……


 食いまくったところで「太る。不健康になる」以外の副作用がない、「タルタルソース入り唐揚げ」にハマってくれている方が、安心ではあるけど。



「それはそれとして、商品のラインナップについてもOKが出たから……あとは実展開。気合いを入れていかないと!」


 幸いなことに、僕の<自販機作製ギフト>はSSランクに昇格して以降、自分が直接出向かずとも……



 手順を踏んで認めた仲間および配下がいる場所なら、自由に自販機を設置できるようになった。


 だから<キアイ>の側に自販機を出現させる事ができたし、地獄世界に自販機を置きまくることも可能だと判断したのだ。



 とはいえ……すでに"引っ越しサービスの件"は闇神にバレており、このタイミングで闇神領へ行くのは、「殺してくれ」と言っているようなものなので……


 僕が配下を各所に飛ばして実際に自販機を配置するのは、カルマの<コマンダー>で闇神討伐軍が現地入りして、闇神の行動を制限してから。






 それに……


「(単価上げの為とはいえ、<エース>には"僕が直に行って設置しなければ〜"云々、伝えちゃったからなぁ〜。形だけでも出向いてアリバイ工作しないと!)」


 結局……自分の身の安全のためにも、カルマの<コマンダー>酷使とセットになるので、まずは彼を起こさないと話にならない。



「(仕方ない。やるか……。)おーぃカルマ〜。お前、ウチのサーシャに手を出したって本当か? 油圧プレスする前に、言い訳の一つくらいなら聞いてやるぞ」


「ヒイィィィィ〜〜!!!? 誤解! 誤解ですぅ〜〜!!!!」



 よしっ、起きたね。


 冤罪極まりないが、深い眠りから無理やり目覚めさせるためには、肉体か精神に一撃入れねばならないわけで……ドンマイ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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