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828話 出張自販機のラインナップ


〜メグミside〜




 値切られるのを覚悟で交渉してみたところ、予想以上にアッサリと話がとおり、こちらの要求は全て呑んでもらえた。


「3倍なんて高すぎる! みたいなケンカ腰で、不当に値切られるパターンしか想定していなかったから、ある意味ビックリ。どうしてだろう?」



 搾取が日常になり過ぎてそれに疑問すら抱いていない、イかれ体質の神々を率いる親玉が、コストを容認するなんて意味不明なんだけど……


 特に文句も言われず呑んでもらえた以上、コチラがそれに対して疑問を呈するのもおかしな話だし、とりあえず喜んでおこう。



「(あぁ、でも……報酬の不払いだけは気をつけないと! 一時間毎とはいえ、利用する度じゃなくて一括支払いだから、取りっぱぐれたら損失がデカイ!)」


 中級神<エース>とその背後にいる闇神討伐軍は、露骨な"支払いブッチ"こそしていないものの、計算間違いを装って2回ケチろうとした前科がある。



 相手の方が格上ゆえ表だって咎めるのも難しい状況だが、少なくとも「ラスト1回」の支払い以外は、取りっぱぐれず済むよう……


 取引額の計算はリアルタイムで終わらせて、ズレがあったらすぐ指摘するetc.、対策を徹底するべきだ!






「金と契約の件に関してはそれでいいとして、話がまとまった以上、さっさと商品を選んで自販機を設置するべきだ。え〜っと、希望商品は……」


 自販機の販売カタログを全て送って「好きな物を選べ」するのが、一番手抜きできて楽なんだけど、そのカタログ情報って僕の生命線だからね〜。



 飲食物以外にも毒・薬品・武器etc.……使い方によっては危険極まりない物が混ざっており、それを知られるのは僕自身の手札を晒すのと同義だから……


 たとえ面倒でも、手抜きせず相手の意向を汲みながらコチラで商品選択するしかないのだ。



「ふむ。要求されている物は、食べ物と水……あと他にも、不調を癒せる物があれば……と書かれているな。だったら、食べやすい物を選んで……」


 鎮痛薬とかエナジードリンクも添える形にしてあげれば、相手さんも満足してくれるはず!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜商品ラインナップ(ベース)〜

・一口で食べられる唐揚げ等のお惣菜

・おむすびやサンドイッチ

・生の牛肉ステーキ(生肉しか食わない生物用)

・水、お茶、ジュース

・エナジードリンク

・消毒用アルコール

・鎮痛剤等の薬

・エナジードリンク各種

・痛覚をほぼ消せるタイプの危ないお薬(少々)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






 「こんなもんでいかがですか?」という確認メールを送ると、速攻で「OK」の返事が戻ってきた。


 なんか追加希望で「危ないお薬追加希望」と書かれているけど、メチャクチャお高いうえ副作用も大きい"そういうお薬"を、嬉々として欲しがるのは……



 うん、なんとなく理解できたかも。


 彼等にとって軍の兵士は所詮「使い捨ての駒」であり、「放っておけば増える」程度の存在だから、戦争後に副作用でくたばっても知ったこっちゃないんだな。



「世知辛いね〜。とはいえ彼方さんが、自ら"そういうお薬でブーストして、自軍の戦力を使い潰してくれる"と言っているんだ。ありがたく従わせてもらうよ」


 僕は決して正義漢じゃない!


 たとえその結果、「いつ敵に回ってもおかしくない大多数」が泣こうと、仲間や配下の子達を守れるなら、そのルートを選ぶ男だ!



「キリッとカッコつけているところ悪いが、おそらくそうはならねぇし安心しろ。一番ありえるルートは、"死亡"じゃなくて"軽度の依存"だから」


「えっ?」



 眠りから覚めた途端、絡んできたマサルが言うには、地獄世界の高等生物は肉体が頑丈すぎるので、そういう危ない薬の副作用もほぼないらしい。


 ただ依存性は高いので、タバコや酒のように「適度な高揚感をもたらすブツ」として、この後も自販機の設置や卸売を要求される可能性があるそうだ。






「耐性の塊である奴等を、人間と同じ扱いで考えちゃダメだ。アイツ等のスペックなら、多分……この鎮痛薬も、ラムネと同じ感覚で一度に箱食いするぞ」


「…………。ねぇマサル。それってさぁ〜大丈夫なの?」



「大丈夫なんじゃね? 用法・容量の記載がある以上、それを乱用して死んでもアチラ側の責任だし。あぁでも、契約メールに事前に一筆書いておけよ」


「了解! 責任逃れだけは徹底します!」



 美味しいご飯と飲み物を提供するはずの契約が、こういう「責任逃れしておかないと詰められかねない、ハイリスク契約」になるなんて……


 「どうしてこうなった?」感が否めないが、そういう薬もラインナップに加えると客単体は上がるし、"ビジネス"的な視点で見れば好都合。



 上の都合とビジネスの犠牲になる末端兵は哀れだが、マサルいわく「大した副作用は出ない」訳だし……僕が気にすることじゃないよね?


 中級神<エース>とその背後にいる上級神達の希望に沿って、ただ商品を並べて儲けることこそ、今僕がやるべきことだ!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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