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827話 重用され過ぎじゃね?




 仕事の合間に、<キアイ>から自販機がいかに便利か自慢気に聞かされ、「それを活かせば有利に立ち回れるかも」と思った中級神<エース>は……


 上司にあらましを伝えて判断を委ね、その結果、上司だけでなく他派閥の上級神からも「要る!」という声が多数届き、驚いていた。



「(たしかに、遠方の領域へ攻めこむとき一番厄介なのが"兵糧をどうするか"問題だ。我々のような神は食わなくても生きられるが、活力は出ないからな)」


 人間社会の行軍と違って、収納能力持ちが沢山いる神界では、遠方に攻め入るときもそこまで「兵糧の持ち運び」は問題にならない。


 食わなくても当分の間は生きていける高等生物ばかりだし、その気になれば「殺した敵の骸」を肉団子にして食えばいいのだ。



 とはいえ……生死に直結しなくても、「マズイ飯&水制限」の日々が続くと兵士達は精神的に参り、戦闘のパフォーマンスが落ちてしまう。


 だからといって「作りたての温かいご飯&十分な量の飲み水」を、収納能力持ちに運ばせると、肝心の武器やアイテムが入りきらないジレンマ。


 結局、戦争をするときは「最低限の兵糧だけ持ち、あとは現地調達」となるのだが、現場で美味しい飯が食えるのであれば、それに越した事はない。






「(それよりも重要なのは、エナジードリンクの存在か? どの派閥の管理世界にも、その手のドリンクを作っている人類国家はあるが、入手が面倒だからな)」


 数個拝借する程度なら、人類国家から適当にパクってくればよいのだが、兵隊全員が好き放題飲める量となると……多すぎて、盗もうにも盗めない。



 また神界で似たような物を作ることできるが、日常的にエナジードリンクをキメてまで、過労したい者などいないため……


 レシピはあれども味の研究は進まず、結局「有事の際は、人間国家の物をパクる」のが最適解になってしまう。


 他にも"その類の飲食物"は沢山あり、それが現場で好きに飲み食いできるのだから、上級神達が「メグミへの自販機設置要請」を決めたのも当然だった。



 とはいえ、「自分達の軍勢のモチベーションに関わる事案を、神ですらない一介の魔王に任せた」というのは、異例のことである。


「(いや、もしかすると上級神様達は……ここでメグミ達の才覚を審査して、あわよくば神にとり立てようとしているのかもしれない)」



 多少なりともメグミ達と付き合い、彼等が"神の座"になんの魅力も持っていないと察している、中級神<エース>としては複雑な気分だが……


 所詮彼は「闇神討伐軍とメグミ達を繋ぐメッセンジャー」でしかないので、上級神達からの要請を<キアイ>経由でメグミに伝え、彼の返事を待った。






 そして十数分後、メグミから届いた返事は……


 たいへん金金しており、曖昧さのない要求だったため、それを見た<エース>は思い悩むのがバカらしくなり、すぐその要求を彼の上司へ伝達。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


キアイへ



神様方のご要望にお応えしたいのは山々なんだけど、コチラにも相応の負担がかかるから、「その分儲けさせて欲しいです」と伝えてくれるかい?


闇神領という危険きわまりない場所に、僕自らが行って自販機を設置する危険手当。


そして「闇神に目をつけられる可能性が上がってしまう」事に対するリスク管理料と、自販機の大量運用で疲弊する対価。


諸々込みで、定価の3倍はどうかな?


現地調達できるって事を考えたら、日本の価格の3倍なんて安いもんだし、ちゃんと理由を追って説明すれば、エース様も分かってくれるはずだ!


あと念には念を入れて、支払い方法は「エース様がまとめて1時間おきに利用総額を支払う」という形でどうだろう?


兵糧ほど邪魔にはならないにしろ、現場に小銭を持って行くなんてナンセンスだし、そっちの方が闇神討伐軍の皆様にとっても好都合だと思うよ。



byメグミ


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






「(まぁ間違いなく、即OKが出るだろう。兵糧管理の手間を考えたら、支払いまでまとめて出来るメグミの自販機を使う利点は、定価の3倍取られてもデカイ)」


 そして<エース>の予想どおり、上司を含む上級神達から次々と「条件を呑む」旨の返答が届き、契約はアッサリと結ばれた。



 それでいいのか、上級神達!?


 とツッコミたくなるような状況だが、上級神達にとって軍勢はあくまでも「下僕の集まり」であり、そこまで配慮する対象ではない。



 つまり「モチベーションが上がってそれが成果に繋がれば、上々。もしメグミが失敗して自販機を出せなくても、兵隊は死なないから問題ない」ということ。


 実際に命懸けで突撃する兵士達からしたら、大違い過ぎて堪ったもんじゃないが、どの世界でも"上層部"の価値観はこんな感じなのだ。



 若かりし頃から血筋や才能に恵まれ、モチベーションなど関係なく「常に成果を出し続けられる」存在だったからこそ、そこまで出世したわけで……


 理屈では「士気をあげる重要性」を分かっているから、メグミと自販機設置契約を結んだものの、その本質は"強者過ぎる"がゆえに理解できないのである。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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