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825話 ゲテモノ祭り




 そして考慮開始から10秒後……早くも闇神は結論を出した。


「どうせ大差ないザコ神なんだ。奴等がいる範囲全体を結界で覆って、手当たり次第に粛正するのが一番早く済む」



 闇神領の外縁部で暮らしていた神々は、全員「闇神城へ呼び出されて殺された」か「他派閥へ逃げてしまった」ため、もう領内に存在しない。


 つまり現存する餌神を取り囲んで、逃亡を防ぐだけなら、中心部に小さめの結界を張るだけで充分であり……


 その為のリソースも、闇神領を包む多重結界を幾つか削れば、余裕をもって賄える。



 そもそも闇神には、悠長に迷っている暇などないのだ!


 力押しでどうにかできるザコ相手なら、コスパを考えて動くよりも、脳筋戦法でブチのめして時短した方がいい。



「我が支配地の陰と陽を隔し時空の谷よ。外との隔たりより力を借りて、谷を脱出不可能なものにする魔の結界となれ。供物は、逝きしゴミ共の魂とする!」


 そう考えて即結界を張り、中心部に餌神達を閉じこめた闇神は、滋養強壮材をキメて闇神城から出撃。


 速攻で一神目の神殿まで飛び、泣いて命乞いする其処の主を、魂ごと食い尽くした。






「ゲプッ。薄いし嫌らしい味わい……マズイな。中級神とはいえ、逃げ送れたクズのリソースと考えると……多少は仕方ないが」


 "大慌て"という程ではないが……のんびり狩りをしていると、外側の結界が薄くなった隙を突いて、他派閥が攻めてくる可能性もあるので……



 闇神はスピード重視で、クソ不味いリソースを美味しく調理する事もなく、"素材の味"まんまの状態で完食。


 あまりの不味さに吐き気をおぼえたが、口直しをしている時間などないため、諦めてエナジードリンクをブチ込み次の狩場へ向かう。



 だが次の獲物も当然激マズで……さらにその次も、食べる前から"ハズレ"が決まっているタイプの餌。


「クソッ! なぜ闇神たるこの私が、残飯みたいな餌を食わねばならんのだ!! 他派閥と手を組み餌を逃した魔王共め、覚悟しておけ!!!!」



 怒りのあまり血管が切れかけた事も何度かあったが、怒鳴り散らしても、ヨイショして慰めてくれる取り巻きは誰もおらず……


 餌の質が良くなることもないため、闇神の元気は、狩りが進むにつれて次第に減衰していった。



 自分の進退がかかった重要な時に、味も実態も"残飯"のクズ神しか狩れず消化不良なのだから、モチベーションを保つなんて無理である。


 どんなゲテモノのリソースでも、「栄養源には違いない」と割り切り喜んで持って帰ったマサル達と違い、美食の限りを尽くしてきた闇神はグルメなのだ。






 もちろん食われる側の中級神達からすれば、「理不尽に何もかも奪った挙句ゲテモノ扱い」なんて、認められる訳がない!


 いや……「お前、不味そうだから食うの止めた」と助命してもらえるなら、闇神の理不尽な感想も笑顔で受け入れるかもしれないが……


 食っておいて不満タラタラなんて、不条理そのものなのである。



 とはいえその中級神達も、自分が格下を狩るときは似たようなリアクションをとってきたし、配下に対する扱いも酷いものなので……


 闇神の言動に、文句を言う資格はない!



 結局、何処までいっても似たもの同士。


 上位者には媚びへつらいつつ出し抜けるチャンスを伺い、格下は徹底的に虐げて、「神権? 何それ?」扱いをする。



 彼等が今まで格下に対してやってきた事を、よりパンチきつめに闇神からやられただけなので……


 闇神にとって格下である中級神達にできるのは、ただザコとして逃げ惑い、容赦なく批評されながら食われることだけだ。



 そして闇神も、たとえ全ての残留組を狩れたところで、全盛期とは程遠いリソース量にしかならず……


 ライバルの上級神達が攻め込んできたら、今度は自分が「食われる番」になる瀬戸際まできていた。






 それだけは何としても避けたい闇神は、涙ながらに激マズ・リソースを食い続けて、己のコンディションを整えるが……


 食い漏らしによるロスを減らそうとすると、能力低めの中級神どころか、叫び声の大きさしか誇るところのない彼等の配下まで、食い切らねばならない。


 よって「ゲテモノの残飯」に「ウンコ味のウンコ」と「産業廃棄物」まで付いてきてしまい、闇神の舌は拒絶反応でデキモノだらけになった。



 その苦労を乗り越えて、何とか闇神領内にいるターゲット全てを食べ切っても、達成感などまるでなく……


 あるのはただ、無限に残飯を胃に納め続けた絶望感と吐き気のみ。



 そして……そんな絶不調真っ最中の闇神を、ライバルの上級神達が「頑張っているから」と見逃してくれるわけがない。


 弱ったところをタコ殴りにして、二度と再浮上できぬよう搾取→抹殺するため、徒党を組んで嬉々として動き出した。



 可哀想……なんて思う必要はない。


 これまで格下を食いものにしてきた闇神が、今度は弱って"搾取される側"に回りかけているだけだ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
闇神は自販機持ってないのにエナジードリンクなんてどうやって手に入れたんだ? それともエナドリと言う名の別の何かなのか?
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