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819話 甘い蜜で誘って




 いくら体格に恵まれた<ガタイ>でも、繊細な絹糸で作られた儀式用の礼服を着て、丸腰で座礼などしていたら、闇神の不意打ちに対応できない。


 しかも30分も正座で待たされて、立てない程ではないにしろ足が痺れた状態だから、不意打ちに次ぐ二撃目も回避不能だ。



<−−− バシュッ! −−−>


 その2度の攻撃で<ガタイ>を即死させるのではなく、闇神は長槍の先に仕込んだ特殊な服を、<ガタイ>の背中に叩きつけて無理やりセットし……


 予想外の攻撃を受けて思わず顔を上げたところを、槍の柄で思いっきり突いた。



「グフゥッ!!」


 鼻と前歯を潰された<ガタイ>は、「やはり罠だったか!」と気付いて、なんとか防御を固めようとするが……


 先ほど無理やり叩きつけられ、一瞬で上半身を包みこんだ特殊な服が、強烈に肉体を締めつけるせいで、思うように動けない。



「くははははっ! どうだ? そのデカイ図体で、スレンダーな女性用の不壊性コルセットを着た気分は? 随分と細身になったじゃないか」


「……………………!!!!」



 自分を罠にハメて蔑ろにした闇神に、怒りの言葉をぶつけようとしたものの、あまりにもコルセットが締まりすぎており息を吸えない。


 自分の筋肉と内臓がギュウギュウに詰まっていて、肺が膨らみ空気を取り入れる余地などないのだ。



 もちろん、これは闇神の狙いどおり。


 <ガタイ>を倒した後も、まだ連続で8神の中級神と戦わなければならない以上、彼との戦闘でムダに消耗したくはなく……


 勝手に自滅してくれたら……と考え、「ゴリマッチョな巨漢の彼に、女性用のコルセットを無理やり着せる案」に至ったのだ。






 しかも、このコルセット……上半身は肩まで覆い、下半身も女性用ビキニの形になっている、「カバー範囲の広い代物」ゆえ……


 男なら誰もが持つ下半身の弱点部位を、己のゴツい肉体に引っ張られたコルセットによってギューギューに絞められ、<ガタイ>は悶絶した。


 動けば動くほどコルセットが大事な部分に食いこんで、容赦なく締めつけてくるので、脚の痺れが治っても立ち上がり構える事すらままならない。



 「こんな事して甚振らず、さっさと槍で突いて殺した方が楽なのに」と突っ込まれそうな、"SMプレー擬き"だが……


 闇神だって、こんな大男と忙しい最中に特殊プレイに興じたかった訳ではなく、即死させなかったのにはちゃんと理由がある。



 それは……


「闇神様。コイツ、食べちゃってもいいんですよね?」



「あぁ、構わないぞ。ただし、コルセットで封じられていない手脚から優先して食べるんだ。じゃないと、コイツが解放され暴れ出してしまうからな」


「はい! ちゃんとマナーを守って、美味しくいただきます♪」



 生きた獲物を喰うことで其奴に擬態し、成り代われる子神<クモ>に<ガタイ>を与えて、<ガタイ>の中級神籍を乗っ取らせ……


 彼の死を隠し、外にいる"呼び出し組"8神を騙さなければならないから。



 たとえキモ過ぎる見た目でも、闇神に洗脳された子神<クモ>は素直に命令を聞き、<ガタイ>を「変態」ではなく「獲物」として認識するので……


 客観的に見たとき、悍ましい事をしている自覚もない。


 結果として<ガタイ>は、一般人が見たらドン引きするような18禁の喰われ方をして、骨すら残らず無くなりコルセットから解放された。






 もちろん<ガタイ>の戸籍は丸々乗っ取られたので、外にいる中級神達は彼の死を察知していない。


 そして……



「クモよ。よくぞ食い切った。不味い獲物を食った褒美に、其方にも幾つかの世界の管理代行権をやろう」


「えっ、本当ですか!? 嬉しいです。ありがとうございます!」



 <ガタイ>に成り代わった<クモ>にも、6世界の管理代行権を与えて、外部の中級神に「<ガタイ>は重用された」という偽情報を信じさせ……


 しかし最初に闇神城に入った、<ヨーク>の成り変わりの<ミミック>よりかは、中級神の格を示す「権限の増加量」を減らすことで……


 「闇神は、城に早く到着した者を優遇する方針だ!」と誤解させて、残り8神の到着をうながした。



 すると先程まで「誰がより遅く着けるか競争」をやっていた、8神の歩みが急に速くなり、「ライバルより早く闇神城へ辿り着く」という、違う競技を始める。


 そして到着した者から順に、弱点を突くギミック満載の空間に通されて狩られ、擬態能力持ちの子神達に何もかも乗っ取られていくのだ。



「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ…………」


 連続で彼等の相手をしている闇神にも、疲れの色は見えているが、弱点を突いて効率良く狩りをしているため、リソース面での消耗は少ない。



 ただ代償として、闇神城外の監視がおざなりとなり……その隙を突いたマサル達に、"呼び出し組"以外の中級神を好き放題されてしまう。


 その事実に闇神が気付くのは、もう少し後のことだった。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
ガタイさん、可哀想だけど、面白かったです!来世では変態(闇神)にエンカウントしませんようにw他の神も変態プレイを強要されてやられたのかな…w
面白いんですけど、1点気になったのですみません。 ギミック万歳 →ギミック満載 では??違ったらすみません。
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