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818話 乗っ取り乗っ取り




「ふんっ。移動能力だけの小童と思っていたが、なかなかやるではないか。準備体操にはなったわい」


 転移阻害の仕掛けを施した本丸に<ヨーク>を閉じこめる事によって、ワープで逃げられ外にいる中級神達に狙いを暴露されるのを、防いだ闇神。



 そのままパワー押しで<ヨーク>を蹂躙し、二度と再起できないと察せてしまう傷を意図的に与えて、絶望の淵に叩き落としてから殺したのだが……


 中級神に任じた時より<ヨーク>は強くなっており、闇神も回復可能なものの、それなりの手傷を負わされ手当てでリソースを消費した。



「コイツが管理していた世界のリソースをすぐに奪ってしまうと、外でチキンレースしている中級神共に、私の召集が罠だったとバレてしまう。ゆえに……」


「僕の出番ですね! ジャンケンに勝てて良かったです!」



 亀の歩みで時間を稼ぎ、まだ闇神城に到着していない他の9神に、<ヨーク>の死亡を悟られぬよう……


 闇神は、捕えた女神達に産ませた子供の中で擬態能力に優れた、子神の一神<ミミック>に<ヨーク>の中級神籍を乗っ取らせ、彼に化けるよう指示。



 そして生まれた時から闇神の洗脳を受け、闇神を盲信するよう育てられた<ヨーク>も、「闇神様は自分の為に籍を用意してくれたのだ」と解釈して……


 嬉々として<ヨーク>に擬態し、中級神籍を乗っ取って中級神(偽)となった。



 なお……闇神は、経験不足甚だしく中級神の器じゃない<ミミック>に、いつまでもその座を任せておくつもりなどない。


 この騒動が収まるまでは中級神に据え置くつもりだが、他派閥からの干渉を受けなくなったら、彼を解任して実力相応のポジションに落とす気でいる。






 だが現時点では、「名前・顔・オーラ・戸籍」まで全て<ヨーク>に成り代わった<ミミック>を、搾取せず優遇したかのように見せないと……


 互いのポジションを探れる中級神達に、「呼び出しは罠だった」とバレてしまうため、闇神は<ミミック>に期間限定で褒美を与えた。



「<ミミック>よ。其方にしばしの間、<シュッセ>が管理していた世界の管理代行権を与える。補佐の者をつけるゆえ、実務はその者から学ぶとよい」


「分かりました! 管理代行の仕事を期間限定で請け負い、補佐から実務スキルを盗めばよいのですね。頑張ります!」



 この補佐とは、闇神が「文明の発達した世界」から取り寄せた、自立行動型のオートマタであり……


 仕事のやり方は知っていても、反発した下界民や部下を抑えられる程の武力はないのだが、有事ゆえ仕方ない。



 <ミミック>自身にも記憶は打ち込んであるし、補佐となる文官がいれば暫くは保つので、闇神はそれ以上のリソースを割きたくないのだ。


 ムダ遣いしていると彼自身のリソースが枯渇して、派閥瓦解後にライバルの上級神達からくる干渉を、防ぎきれなくなり……


 破滅してしまうので、我が子とはいえ「使い捨ての駒」に優しくする余裕などない。



「よし。これで<ヨーク>は闇神城に入ってすぐ、代行権とはいえ所領を増やされた……つまり、優遇されたという形になった。外の連中を騙すには十分だ」


「はい! 僕が今外に出ると、勘の鋭い神に偽物だってバレてしまう可能性もあるので、しばらくセーフティールームで寝ておきます」


「うむ。そうしなさい」






 <ヨーク>に関する処理を終えた闇神は、残された骸を自身の亜空間に放りこみ、次なる獲物を狩るべく動き出した。


 マトモな報酬を払って<ヨーク>を先に行かせ、一番乗りする事こそ免れたものの……


 図体がデカイせいで歩幅も大きく、"亀の歩み"で他の呼び出し組に負けてしまった中級神<ガタイ>が、闇神城に到着したのだ。



 もし<ヨーク>の死が外から見える形になっていたら、<ガタイ>もそれに気付いてなりふり構わず逃げていたが……


 城外にいた9神が、個々の能力を使って常時調べている情報の範囲では、「<ヨーク>は生存しており、しかも重用された」という偽情報しか出ない。



 なので偽情報を見て「大丈夫。自分は、殺されるのではなく出世ルートに乗れるのだ!」と信じた<ガタイ>は、急に歩みを速めて闇神城へ向かい……


 到着後、入場の手続きを待つ間に「戦闘服」から「儀式用の礼服」に着替えて、意気揚々と城内へ入った。



 そして「正式な勅命を受ける場」である<寿間>へ通され、通常時の謁見と同じように、脇差等の危険物を仕込んでいないか文官のチェックを受ける。


 これ全て、「闇神と対面する前段階」の準備としては当然であり、「出世できる」と思い込んだ<ガタイ>は、言われるがまま丸腰になった。



 そして「戦闘向きじゃない格好」で<寿間>に入り、正座で闇神を待つこと30分……いい具合に足が痺れてきたタイミングで、闇神が現れる。


 デカイ図体の<ガタイ>をも容易に貫く、頑丈な槍を手に持ち、ゴリゴリの戦闘服を身にまとって。

読んでくださり、ありがとうございます!


私が以前なろうで連載していてた「落ちこぼれ国を出る」のコミック第9巻が、3月12日に出版となりました。

我ながら面白いと思うので、興味ある方はぜひ読んでくださいm(_ _)m


下のイラストから詳細ページへ飛べます(^_^)

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