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807話 一難去ってまた一難


〜マサルside〜




『<ブラック>は……せっかくだし、僕と二人で飯でも食うか? 普段、コミュニケーション不足気味だし』


『いえ。この忙しい時期に、ご主人様にお手間をとらせる訳にはまいりません。誠心誠意働きますので、メールの件は忘れていただけると幸いです』



 気になってメールで尋ねてしまったものの、「大好きな"生みの親"に疎まれている」という現実を、直接突きつけられたくなくて……


 「手間をとらせるから」という建前で逃げようとした<ブラック>に対して、メグミはその場で本音をぶちまけた。



 その結果……<ブラック>の表情と言動から、奴がメグミから受け継いだのは、「裏切りの芽」ではなく「社畜精神と腹黒体質」だけだと分かり……


 メグミも考えを改めて、「やっぱり今後はコキ使う」と宣言したのだが、主従関係なのに裏切りを疑われた以上、どうしたってシコリは残るものだ。



 だからと言って「辛い。やっぱり裏切る」とかやると、被害者扱いではなく「あ〜、やっぱりそういう奴だったんだな」となるため……


 <ブラック>がこの件を根にもって、メグミを裏切る可能性は低いが、多少なりともフォローはしてやるべきだろう。



「(しかしまぁ、眷属の遺伝っていうのは恐ろしいな。本気で"辛い→気まずい"と感じている状況でもなお、<ブラック>から漂うのは胡散臭さだけ)」


 メグミは親バカフィルターが分厚すぎて、<ブラック>を心底信じたようだし……


 俺も「<スキル図鑑>に収載されている能力」を使い、こっそり<ブラック>の深層心理を探ったので、奴が「ただの腹黒い社畜」という事は分かっている。



 それでもなお、「涙を溜めた表情」は「男版ハニトラ」にしか見えず、気まずそうにしている現在も、3秒後には小遣いを要求してきそうなニオイが漂うのだ。


 <ボッチ>や<ヒッキー>が生涯「皆と協調できない」のと同じく、コイツも生涯「メグミ以外から、本能的に信用されることはない」のだろう。






「ゴホン! お前等、ちょっと<恵のダンジョン>で休んでこい! 中級神への引っ越しサービス提供業務は、一旦俺が預かるから」


「ありがとう! マサルは、そういうところ男前だよね〜」


「寄ってきたのは、冤罪をゴシップ誌でばら撒いたり股開いて荒稼ぎした、ヤバイ女だけだったけどな」



 それに、一旦業務を引き受けるのはお前のためだけじゃねぇよ。


 お前と<ブラック>のやり取りが強烈すぎて、皆にスルーされているが、このダンジョンの主人であるカルマ……トリップが極まって泡を吹いているぞ。


 急いで「より悪化させそうな元凶」を取り除き、「殴る・蹴る・吊るす」で正気に戻さねぇと、このまま三途の川を渡って花畑へ旅立っちまう!



「じゃあ、お言葉に甘えて2時間だけご飯休憩をとってきます! ブラック、行くよ」


「はい。マサル様、ご迷惑をおかけして申し訳ございません。後で10倍以上働いて埋め合わせいたしますので、どうかご容赦を!」


<−−− ヴーーンッ −−−>



 よしっ、ヤベェ奴等が消えた。


 <ボッチ>も、任務完了報告をした後すぐ<恵のダンジョン>に帰ったから、ココにはいないし……サーシャちゃんはいても大丈夫だろう。



 カルマ視点だと、「トリップ中の姿」を見られるなんて黒歴史もいいとこだが、彼女はメグミの介抱で慣れているからな。


 きっと俺よりも上手くお前を正気に戻し、三途の川から引っ張りあげてくれるに違いない!



「という事で……メグミの様子を見にきたところに、変な残業をさせちまって悪いが、このトリップ星人を俺達で叩き起こしたい。手伝ってくれるか?」


「もちろん! ここでカルマ君が逝っちゃったら、<コマンダー>が使えなくなって私達も詰むし、早く薬を盛って正気に戻そう!」






 そう言って、サーシャちゃんがポシェット型マジックバッグから取り出したのは、「ドラッグストアの自販機」で買い込んだ薬……だけじゃねぇな。


 市販薬とは程遠い「危険物マーク入りのブツ」や、この世界で作られた漢方薬モドキも混ざった、おっかねぇ"お薬袋"。



「一応、確認させてもらってもいいか? これ……効くんだよな?」


「もちろん! メグミ君が逝っちゃったときは、これを組み合わせて対処しているし、きっとカルマ君にも効くと思う♪」


「なるほど。(サーシャちゃん。俺の目が壊れてなければ、その……端の方に転がっているのは、アッチの世界で流通している媚薬……じゃね? ヤベェって)」



「あれ? でも、薬の使用説明書が何処かへ行っちゃった。まいったなぁ〜。いつもメグミ君仕様だから、個々の薬の用法・容量なんて覚えていないよ」


「…………大丈夫だ。サーシャちゃんの薬を使うのは最終手段で、まずは俺がシバくから」


「了解!」



 メグミとカルマを同列に扱われると、さらに悲惨なことになるかもしれない。


「(カルマ……ちょっと手荒になるけど、よく分からねぇ薬漬けになる前に、俺が叩き起こしてやるからな。廃人になりたくなきゃ、死ぬ気で起きろ!!)」

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
いや、媚薬使ってもらった方がいいんじゃない? メグミに発覚したら暴走で即粛清してくれるよ。 農協は人生楽しんでるけど、必ずしも長生きが幸福ってわけでもないと思うんだ。
スティーブにも同じ事が言えるけど、カルマはもっと労われていいと思うの。今が山場なのはしゃーないとして。 まあ、ここで造反の選択肢は色々な意味で彼等にはないんだけど。基本的には一蓮托生だし、万歩譲って…
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