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805話 逝っちゃってるぅ


〜マサルside〜




 初めての引越し補助業務を終えて地獄世界から帰還し、<小鬼>同盟男子の溜まり場と化している、カルマのダンジョンへ向かうと……


 目の下に濃いクマをつくったメグミが、胃薬と鎮静剤をラムネのようにボリボリ齧り、目を血走らせて「返信メールの原稿」を見直していた。



「どうした? なんか、ちょっと前に見た時より随分老けこんだ気がするが」


「あぁマサル、お帰りなさい。実は……セールスマンとして動かせる眷属がいなくてね。<ボッチ>と<ブラック>にペアを組ませて、仕事を任せたんだ」


「おっおぅ、そうか。うん、何となく察せたよ」



 要するにコイツ……「毒をもって毒を制す」を地でやろうとして、<ボッチ>と<ブラック>のコンボ攻撃をくらい、ノックアウトされたんだな。


 自分が直接介入できない派遣先で、<ブラック>の胡散臭い言動を<ボッチ>に包み隠さず「報・連・相」されたら、こうなるのも無理はない。



「それで、問題は起きなかったのか?」


「現在のところ大丈夫。<ボッチ>も<ブラック>も頑張ってくれて、以前"紹介状"を置いていった中級神の神殿を特定できたところ」


「マジか。お手柄じゃん!」



 喋らせると暴言を連発して相手をキレさせる<ボッチ>はもとより、何をやっても胡散臭い印象を持たれる<ブラック>にも、交渉役など任せられない。


 つまり彼等の任務はここまでであり……残りは他の社交的な眷属に任せるか、また俺が行くことになる訳だが……



 顧客開拓ミッションで一番手間がかかる、下準備を済ませてくれただけで十分!


 2体とも、「縁の下の力持ち」として讃えられるべきだ!






「でも……順調そのものなのに、お前は何故そこまで消耗しているんだ? いつもの図太い社畜野郎に戻れよ」


「いや、仕事自体は順調なんだけどね〜。途中の連絡で何百発かジャブを入れられたうえ、<ブラック>の完了報告メールでアゴに強烈な一撃が入っちゃって」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ターゲットの神殿付近に到着したので、<コマンダー>の拠点を置けそうな場所を探し、そこの撮影データを<ヒッキー>へ送りました。


お手数をおかけしますが、カルマ様にもご一報いただけると幸いです。



それと……<ボッチ>を悪く言いたい訳ではないのですが、なぜか彼が私のことを度々「胡散臭い」と言うのです。


そして、「だから<ブラック>は干されたんだよ」と。


悪意ある"蹴落とし目的の発言"であれば、私も相応に対処するのですが、<ボッチ>は良くも悪くも素直なタイプだし、そういう嫌がらせはしません。


つまり、本当に私は「胡散臭い奴」と勘違いされている可能性があり……最初は冗談かと思ったのですが、何度も言われてだんだん笑えなくなってきました。


よく考えると、<ボッチ>や<ヒッキー>程ではないにしろ、私も仲間達から距離を取られている気もしますし、もしや本当に胡散臭く見えるんですかね?


「私がご主人様から重要案件を任せていただけない理由も、もしかしたらソレかもしれない」と、徐々に不安に思い始め……。


違う理由でしたら全然構わないのですが、もし胡散臭さが原因でご主人様から信用されていないなら大問題なので、改善のためにも教えていただきたいです。



byブラック


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






「あぁ、なるほど。本気でヤバイ事態になっちまったのか」


「うん。どう刺激せず<ブラック>の疑念を解消するか……そして、共にいる<ボッチ>からの追撃で拗れないようにするか、メチャクチャ悩んだよ」


「ドンマイ」



 つーか……思ったことを何でも素直に言ってしまう<ボッチ>が、<ブラック>と長時間接した感想を、オブラートに包んで伝える訳ないだろうに。


 日本企業で部下の人間関係に悩まされている、中間管理職のオッサンみたいな状況だが、<ボッチ>と<ブラック>を組み合わせたメグミの自業自得だ。



「とりあえず、業務自体は帰還した眷属達に引き継いでもらったんだけど……<ブラック>が帰ってきたら、サシ飲みで話し合うつもり」


「おぅ、頑張れよ。(と言っても、これはマジで難しい問題だし拗れたら厄介だぞ。<ブラック>が闇神の所のクズ眷属みたくなったら、メグミの精神が死ぬ)」



 あと……メグミの変化が激しすぎて気付かなかったが、よく見るとカルマも逝ってねぇか?


 なんか目が「ヤバイ薬をキメたとき」みたいにトリップして、恍惚とした表情を浮かべているし……自称「<小鬼>同盟の常識人枠」どこへ行った?



「メグミ先輩、大丈夫ですよぉ〜。<ブラック>君にも、考えを巡らせる暇がないほど大量の仕事を与えれば、自然と忘れて時間が経ち万事解決ですって!」


「……………………。(ちょっと待て、カルマ。お前、いつそこまでブラック思考に染まったんだよ!?)」



 隣で老け込んでいるメグミが、以前ノルマ・トリップをキメたとき、似たような状態になっていたが、まさかお前もその扉を開いてしまったのか?


 だとすると、メグミより修羅っていて笑えないんだが。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
メグミの眷属達が、なかなか好きです。 作られた存在なのに人間くささの集大成のようで。 そして単離されている分、素朴感があって。 目を地走らせて→血走らせて ありがとうございます。
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