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804話 自覚なき者達




 他に手がないので提案に乗ったものの、不安でいっぱいのメグミ。


 そんな彼の気持ちを知ることもなく、<ボッチ>と<ブラック>は喜び勇んで地獄世界へ旅立ち、最寄りと思われる拠点からターゲットの捜索を始めた。



「いいですか、ボッチ。これからは適宜この水筒に保管された水を使って、1セット2回のダウジングをおこないます。私が1回目、貴方が2回目ですからね」


「了解。私とブラックが100m離れた状態でダウジングをおこなって、ズレた角度を測ることで、目的地までのおおよその距離を算出するんでしょ?」



「えぇ、そのとおりです。最初のうちは目視できない程度のズレでしょうが、ある程度ターゲットに接近できれば分かるので」


「そうだね。というか、意外とブラックって賢いんだ。ずっと干されポジションだったから、失態をおかしてご主人様の不興を買ったのかと思っていたよ」



「私は失態などおかしていませんよ。というか、ミスできる程のチャンスをもらった覚えがないんです。他の眷属達はコキ使われているのに、何故なんでしょう」


「さぁ? 分からないけど、今回のミッションで結果を出せばきっと重用されると思う。ご主人様は生粋のブラック思考だから、使える者は誰でも使うし」






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜導きの水〜


この水に「ターゲットの痕跡が残っている物」を浸すと、その情報を記憶して、ダウジングのように「ターゲットがいる方角」を指し示してくれる。


ただし水が染み込まない物は記憶できないため、油や鉱物を"痕跡"として使うことはできない。


またターゲットがすでに死亡している場合等、「その世界にいないとき」も"水の針"は動いてくれず、燃料として注いだマナだけが消費される結果となる。


使用していない時は、通常の水と何ら変わらない性状になるので、水筒に入れて持ち運べるし飲み水にもなるが、飲んだ後マナを使うと、腹の中で暴走する可能性アリ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「ふむ。やはり此処では、指し示された方向に差は見られませんでしたね。とりあえず、1時間ほど走ってから再調査しましょう」


「そうだね。なんかブラックって胡散臭いから、殺されても証拠が残らない場所で、二人だけで過ごすのは怖いけど、ペアで行動する約束だし我慢するよ」


「ねぇボッチ、貴方失礼すぎません?」



 スティーブが生み出したダウジングアイテムを使って、目的地の方角を割り出した2体は、周囲への警戒もそこそこに走り始めた。


 闇神領は現在"非常に危険な状態"であり、そこへ「<器移し>による基礎ステータス上昇」もなしに乗り込んでいるため、敵と遭遇した時点で終わりだが……


 彼等がいる場所は領内の端の方であり、過疎っている。



 そんな所でいちいち警戒するくらいなら、スピード特化で早く目的地に着き、仕事を終えて撤退する方が安全だと、両者とも考えているため……


 スピードを犠牲にした警戒はせず、「もし敵に目をつけられたら仕方ない」と割り切ったのだ。



 なお……この考えを正直に報告すると、メグミが親バカを拗らせて発狂するため、<ボッチ>はあえて何も伝えていない。


 メグミの言うとおり、彼は「主人思い」かつ「自分の頭で考えて行動できるタイプ」なのである。






 そして……仲良く?お喋りしながら走ること2時間、彼等のダウジングに変化が見られた。


「あっ、方向にズレが生じましたね。ターゲットの所在地はすぐそこですよ!」



「そうだね。交渉役の眷属にバトンタッチしなきゃいけないし、念のためご主人様に一報入れておくよ。この距離だと……あと40分ってところかな?」


「途中で邪魔が入らなければ、その位ですね。あとボッチ、メールに"後ろを走られると怖い"とか書かないでください。ご主人様が本気にしちゃうでしょう!」



「えっ? でも怖いよ。なんか、後ろからグサッと刺されそうな感じがするんだよねー」


「刺しませんから! 私<ブラック>は、ご主人様と仲間達を心から愛しており、彼等の役に立つことを望んでいるんです!」



「なんか胡散臭い。ボッタクリ商品を売りつけようと企んだセールスマンが、心にもないことをペラペラ喋っている感じ」


「酷っ! 冗談でも、度が過ぎるとキツイですって」



 実際には冗談でも何でもなく、<ブラック>は全身から「胡散臭いオーラ」が湧き出ており、メグミが見ても同じ感想を抱くのだが……


 彼本人は「問題児なのはボッチだけ。自分は干され気味だけど、性格面には難ナシ」と認識しているため、その言葉は届かない。



 だが言っている側の<ボッチ>も、<ブラック>がなぜ干されたのかおおよそ察したものの、自分のことは棚上げしており……


 なぜ<ブラック>だけでなく、自分まで「カルマの監視役」とかいうどうでもいい任務を与えられ、動きを封じられていたのかは理解できなかった。



 とはいえ……2体とも着々とゴールに近付いており、メグミを裏切る気もないので、自己認識が盛大にズレていても問題ない。


 ただ「報・連・相メール」を受け取ったメグミの胃がブッ壊れて、胃薬と鎮静剤の消費量が増えるだけである。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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