表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
801/960

801話 リストラ断行


〜ベテランスside〜




 「業者側の制約ゆえ仕方ない」という理由で、移籍ついでに人員削減をおこなうのだが……この小童、妙に鋭い。


 だが此奴の記憶の中にあった、「日本で実際におこなわれたリストラ事例」を鑑みると、それが当たり前の環境に置かれていたがゆえの発想なのだろう。



「ゴホン! まぁおおよそ合っておるが、言葉に出すでないぞ。儂は、"後々合流"となる配下の可能性も信じているのじゃから」


「うっ、申し訳ございません。(ヤベェ! つい触れちゃいけない事実について、ガッツリ考えちまった。見ざる・聞かざる・言わざる……徹底しないと!)」



 現実はどうあれ、建前上「予算不足で仕方なく制約を受けた」というカタチでリストラ宣告するのだから、本音を口にされると困るのだ。


 なにせ、まだ儂はリストラ対象者達に"その事"を伝えていない。



 先に宣告して、リベンジとばかりに闇神や他の中級神に亡命計画をチクられでもしたら、命に関わるからな。


 全ての準備が終わった後、神託で一斉にリストラ宣告をおこない、対象者が混乱しているうちに<コマンダー>による転移で現場を離れる。



 残された者達は、途方に暮れるか、「自分も逃してくれ!」とマサルに詰め寄るかの、2択になる可能性が高いが……


 マサルのスペックを見る限り、リストラ対象の配下が勝てる相手じゃないし、激昂した者はその場で彼に殺されて"リソース"として回収されるだろう。






「ベテランス様。念のために伺いたいのですが、残された配下の方々から攻撃を受けた場合、私が正当防衛をおこなう許可はいただけるのでしょうか?」


「正当防衛なら仕方ないのぉ。やむを得ず自力脱出を命じたにも関わらず、主人を亡命させてくれた恩人に牙を剥くなど……命を取られても当然の所業じゃ」


「なるほど。極力穏便にいきますが、最悪そうさせていただきます。(スゲェ〜。この神様、厄介者の処理まで俺に押しつけようとしてやがる!)」



「うむ。その場合、リソースが飛散してしまうのも勿体ないゆえ、其方が慰謝料代わりに貰ってくれ」


「かしこまりました。(だがまぁ、"激昂したリストラ対象者=チップ"と思えば……。あくまでも正当防衛だし。うん、仕方ねぇよ!)」



 くくくっ、物分かりが良い小童で助かったわい。


 安心しろ。


 儂とて「仕事ができる配下」と「誠実な配下」は、今後のために全員連れて行く。



 つまり……リストラ対象者として残される奴は、皆素行が悪いか他所と繋がっている裏切り者であり、殺されて当然のクズばかり。


 処分したところで、其方が罪悪感を抱くような人格者はおらぬよ。






<−−− ピロリロリーン♪ −−−>


「ベテランス様。実効部隊のカルマより、"転移準備が整った"と報告がまいりました。お手数をおかけしますが、同行なさる方々を集めてください」


「承知した」



 儂に仕えても将来がないと見切って、他の中級神に鞍替えしようとしただけでなく、それが失敗した後も禄を喰み続けた畜生共。


 闇神と内通して情報を流したうえ、「強い後ろ盾を得た」と勘違いして調子に乗り、予算をネコババした裏切り者。


 悪事こそ働かぬものの、自己成長する気皆無で万年組織にぶら下がり、"組織のガン"と成り果てた老害……今こそ、別れの時だ!



『〜〜〜〜〜。そういう事で、転移業者の用意した枠が限られていてのぉ。其方を連れて行く余裕がないんじゃ。自力で脱出して、儂の移籍先まで来てくれ』


 長々と言い訳されたり開き直られても困るゆえ、罪状こそ糾弾せず"穏便な別れ"を装うが……


 もし万が一、自力で儂の転移先まで辿り着けても、其方等にイスは用意せん。



 到着直前で抹殺して行方不明になってもらうゆえ、己の身が大事なら、よく考えて立ち回るのだな。


 まぁ闇神含め……どの神についても、行く先は"泥舟"だろうが……その辺りは自己責任でヨロシク頼む。






「皆様、揃いましたね。では只今より、<コマンダー>による転移をおこないます! 絶対、この輪の外に出ぬように!」


「さて、参るとするか」



<−−− ヴーーンッ! −−−>


 移籍先での待遇はこれまでより下がるし、人脈が断たれて立場的にも弱くなるが、選抜した配下を上手く使えば収支赤字にはならないはず。



 儂の立場が下がることで、再び"裏切り者"が出る可能性もあるが……其奴が他の神とコンタクトをとるのにも、時間がかかる。


 つまり儂は移籍によって、余計なものを切り捨て体制を立て直すための猶予を手に入れたのだ!



「(所詮この世は弱肉強食。捨てられたくなければ、もっと誠心誠意働いて儂の機嫌をとるべきじゃったな)」


 闇神派閥のテリトリーとは断絶されているゆえ、置いてきた者達とマサルの様子を探ることはできんが……もう儂には関係ないことじゃ。



「ベテランス様、ようこそお越しくださりました。担当者に繋ぎますので、しばしこちらでお待ちくださいませ」


「うむ」


 くくくっ、ゴミを捨て身軽になった儂の未来はきっと明るい!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
> もし万が一、自力で儂の転移先まで辿り着けても其方等にイスは用意せん。 判断難しいけど割り切れてるのすごいな。 「辿り着いた者=自力で辿り着く実力(交渉力含む)持ってる者」だから連れてった奴より実力…
うーん、見事にブラック経営者っぷりのベテランス。 まあ、査定がいい面子は面倒を見る気あるだけマシではあるんだけど。 そして残された面子はマサルに歯向かう奴ばかりですかねぇ。案外マサル達の傘下に入りた…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ