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800話 実質リストラ


〜マサルside〜




 到着早々"汚物扱い"されて凹んだが、ここでリベンジとか考えて、思考を読まれ墓穴を掘るなんて愚の骨頂!


 神ですらない俺は、大人しく「お客様へサービスするために尽力する奴隷リーマン」となり、クレーム無しで仕事をやり遂げて見せる!



「ベテランス様。おおよその説明は事前に受けていただいたと思いますが、ザックリと流れを確認しますね」


「うむ。手短に頼むぞ」



「勿論でございます! まず神殿内に<コマンダー>の拠点を設置し、より短時間で移動できる体制を整えます。これは、始めてしまってもよろしいですね?」


「あぁ。設置に多少時間がかかるのだったな。モタモタしている間に闇神が動き始める可能性もあるし、先に始めておいてくれ」


「かしこまりました」



 赤外線カメラで周辺映像を撮影して、それをメールで<ヒッキー>へ送信。


 3Dの地図データとして描き出してもらい、カルマの能力を使って開拓する。


 この作業には15分ほど時間がかかるので、その間「命がかかっていて一刻も早く逃げたいお客様」をキレさせず待機させるのが、俺の最初の仕事だ!



「万が一にも時間ロスが生じぬよう、データ処理担当の者だけでなく、その主人のメグミにも一報入れておきますね」


「よろしく頼む。上手くいったあかつきには、チップを弾むぞ」


「はい。精一杯努めさせていただきます!」



 このように、実際にはミスする可能性が1%以下であっても、お客様の心に寄り添った振る舞いでサービスを提供するのが、"社畜"の勤めだ。


 人も神様も根っこの部分は皆同じ……大切なのは、理屈よりもお客様の感情なのである!






「では、拠点の設置が終わるまでに残りの説明をいたしますね。<コマンダー>での転移は、その特性上、一回で輸送可能な人数に限りがございます」


「たしか、100……だったか」



「はい。皆様の所属を一旦"ギフト保有者の配下"へ移せば、一度に大量輸送することも可能ですが、手間と時間がかかりますので現実的ではございません」


「なるほど」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜コマンダー(Sランク)〜


自分および自分の配下を、開拓済みのポイントへ転送できる。


また彼等と思考を共有することで、離れた場所にいながらリアルタイムで指示を伝えることも可能。


特定の配下を"代理"として立てることで、自分の代わりに配下の指揮および転送作業を任せ、自分は他の仕事をすることもできる。


一日に転送できる配下の上限は、ランクによって異なり、Sランクの場合は1000000が上限となる。


それに加えて、対価のマナを通常時の3倍取られるものの、自分の配下以外も一回につき100名までなら輸送可。


なお場所の詳細がわかるデータと、正確な地図データさえあれば、対価のマナを通常時の1万倍払うことで、未知の領域を"開拓"することも可能。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 というか、システム的に可能でも現実問題として無理なのだ。


 神様とその従僕達が、自分の所属先を一時的とはいえ「カルマの配下」として登録するなんて……そんな不敬な扱い、許されると思うか?


 提案しただけでもクレーム確定で、俺の首が物理的に飛んでしまう!






「なので誠に残念な話ではありますが、ベテランス様を含めて100名の中に入れない方は、ご自身の力で逃げていただき後々合流を目指す方向で……」


「うむ。残念だが仕方ないのぉ。100名運べれば、儂と直属の使用人は6割逃せる。そして、予算にも限りがあるのだ。残りの者は自力で移動してもらうよ」


「そうですよね。誠に残念ではございますが、上手く合流できることを願いましょう」



 もちろん、この「予算がない」という建前は嘘であり……実際は、予算不足をネタにした大規模リストラだ。


 亡命した後、ベテランス様に待っているのは「現在よりも悪い待遇」なので、悠長に配下全員を連れて行くわけにはいかない。



 もしそんな事をしたら、移籍後の「せまい神殿」で窮屈な生活を強いられるうえ、維持コストが収入に見合わず赤字財政に。


 また配下達の寿命も、神ほどではないにしろ人間よりは遥かに長いため、"定年待ち"で穏便に人員を減らすこともできず、困窮するのが目に見えている。



「(それならいっそこのタイミングで、ほぼ不可能な"後々合流"という目標を掲げた大規模リストラをおこなって、コンパクトな組織で移る方がいい)」


 そもそも移籍後、ベテランス様は"新人扱い"になるわけだから、上納面での高待遇が望めるかも疑問だし、固定費は可能な限り削りたいよなぁ〜。


 他の神々よりも使用人の数を減らして、ムダな妬みを防ぎつつ、固定費減で実利をとるのが最適解だ。



「ゴホン! まぁおおよそ合っておるが、言葉に出すでないぞ。儂は、"後々合流"となる配下の可能性も信じているのじゃから」


「うっ、申し訳ございません。(ヤベェ! つい触れちゃいけない事実について、ガッツリ考えちまった。見ざる・聞かざる・言わざる……徹底しないと!)」

読んでくださり、ありがとうございます!


10月8日に、『クラス全員で魔王転生!』のコミック2巻が発売されます!

興味がある方はぜひ読んでくださいm(_ _)m


詳細ページへは、下の表紙イラストから飛べます↓↓↓

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