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796話 試金石


〜メグミside〜




 虚無空間の探索をしていた眷属達がコッチに戻ってきて、闇神派閥の中級神にセールスできる状態になるのを、今か今かと待っていると……


 <キアイ>経由で、ビジネスパートナーの中級神<エース>から、「最初の顧客獲得。荷物は纏めてあるそうだから、引越し作業に移ってくれ」と連絡がきた。



「おぉっ、早速か。思ったより早かったな」


 闇神が居城にこもって中級神狩りを一時中断したこともあり、他派閥が受け入れ条件を緩めてもなお、彼等との交渉は難航しているという話だったが……


 中には「冷静に状況を見極めて、"目先の損"より"自分の命"を優先できる神」もいたのだろう。



 もっとも……受け入れ条件を緩和した他派閥が、実際に移籍した後、「"闇神"という後ろ盾を失った余所者の中級神」との約束を、守るとも思えないので……


 命を優先した先にあるのは、死ぬよりもっと辛い「搾取一辺倒の生き地獄」かもしれないが。



「まぁ僕等には関係ない話だ。引っ越しビジネスで儲けられれば、その後顧客がどうなろうと知ったことじゃない! さて……」


 <ノルマ><ガッツ><ツヨガリ><ゲンキ><ハヤイ><ドウテイ>がまだ帰還できていない以上、顧客の元へ派遣できるのは<タスク><カロウ><コンジョウ>だけ。


 他派閥のテリトリーに到着して、「<コマンダー>の新規拠点開拓」に必要な地図データを揃えた3体は、開拓後すぐ其処から転移で帰ってこられたのだ。



 しかし……死ぬ気で虚無空間を走りぬけた末、虚な目で「ノルマ……」とか「根性……」と呟き、倒れるように熟睡したブラックな彼等を叩き起こすのは……


 さすがの僕でも躊躇してしまうので、誰を派遣するか難しい判断をせまられている。






「ご主人様。そんなに悩まなくても、顧客の神殿へは私が向かいますよ。開拓済みの拠点から行けば、3時間かからずに着けそうですし」


「あっ、いや……<ボッチ>には、カルマの監視ミッションを全うしてほしいんだ。(じゃないと、せっかくの顧客にケンカを売って契約解除されかねない)」



 性格だけなら、<恵のダンジョン>内で働いている<シツジ>を派遣するのが最良だと思うけど、彼はウチの機密情報をほぼ全て知っている。


 つまり格上の神々に探られると、<恵のダンジョン>の全てが筒抜けになってしまうリスクがあり、とてもじゃないが危なくて派遣できないのだ。



<−−− ヴーーンッ −−−>


「俺が行くから安心しろ。<ボッチ>に基礎ステータスを貸していた間、好きな物を食ってガッツリ休めたし、もうステータスも戻ってきたから体調万全だぜ」


「マサル!」



 そうか……<ボッチ>が基礎ステータスを返した事で、マサルの「HP99%減デバフ」が解除されて、自由に動けるようになったのか。


 彼なら<ボッチ>と違って顧客に非礼をはたらいたりしないし、地獄世界にもある程度対応できるから、問題なく派遣可能!



「マサル様、ご英断ありがとうございます! ぜひとも、ぜひともお願いしたく……!」


「おぃ、その強烈な"ゴマ擦り"やめろ。お前のその胡散臭い笑顔でやられると、ブラック企業に押しこむエージェントと接しているみたいで、怖いんだ!!」



 失敬な!


 僕みたいに誠実な人間、滅多にいないでしょう!



「<ブラック>の生みの親に言われても……」


「…………。彼の件は、一旦忘れてクダサイ」



 とはいえ、マサルが客先へ出向いてくれるのはありがたい。


 自分の命を最優先しつつ、顧客満足度を高めて他のカモ……失礼。


 お客様の流入をうながす、良いキッカケになってくれ!






 マサルの冗談を真に受けて、カルマが千切れるくらい首を縦にふっていたけど、「そんな余裕があるなら仕事しろ」ってことで……


 さっそくマサルを、「顧客<ベテランス>の神殿に最も近い拠点」まで<コマンダー>で転移させ、"引越し"に備えてもらった。



「マサルさんが中級神<ベテランス>の神殿に到着しタラ、まず一旦そこデ新たな転移の拠点ヲつくり、作業をやり易くスル。そして……」


 現在は「壊れたロボット」のようにカクカク動いているが、「サーシャの手作りもつ鍋」で英気を養ったわけだし、この程度の労働じゃ死なないだろう。



「それにしても、最初に亡命を決めた中級神<ベテランス>ってどんな神様なんだろう? マサルなら大丈夫だと思うけど、上手くやれるといいなぁ〜」


 もし彼が<ベテランス>とモメてしまい、僕等に引っ越し代行を依頼した他派閥にクレームを入れられると、どちらに非があっても僕等のせいにされる。



 逆に<ベテランス>が問題なく亡命できたとなれば、些細な条件交渉で止まっている他の顧客候補達も、妥協して引っ越しを始めてくれるかもしれない。


 他派閥からの依頼だけでなく、コチラでも直契約を結んで"引っ越し"を促すのは当然として……この最初の仕事は、今後の成否を占う試金石になるんだよ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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