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791話 メグミ、本性を悟られる




 <キアイ>の確認メールをメグミが見る前提で、中級神<エース>が提示した条件。


 もちろんメグミが気付いたポイントは、意図的なものだった。



 とはいえ<エース>は、メグミを罠にはめて搾取しようとした訳じゃない。


 眷属の<キアイ>が脳筋タイプ過ぎたので、その製造元であるメグミの知能が心配になり、「足手まといにならない程度の頭があるか」を試したのだ。



 闇属性の中級神である<エース>は、当然ながら「善良な心を持つ優しい神様」じゃないので、必要とあらば搾取もおこなう。


 だが神ですらない下界住みのメグミを罠にはめて、そのシノギを奪い取ったところで、管理コストに見合う収入が得られるわけない。



 それゆえ<エース>に「メグミを罠にはめる」動機はなく、「簡単な採用試験」のつもりで条件提示をおこなった。


 そしてメグミから返ってきたメールを、<キアイ>の音読で把握した<エース>は、「眷属と違って頭は回る。合格!」と判断して話を進める。



「ふむ。では其方の主人の要望どおり、<コマンダー>の拠点設置は派閥領のギリギリ外にしよう。こちらも、上級神様の判断をあおぐゆえ暫し待て」


「はい! お願いいたします!!」



 <キアイ>のメールをこっそり覗き見て、メグミが自分のことを「渋くてカッコイイ」と評したのを知り、内心気を良くしていたのも相まって……


 メグミに有利な条件で<エース>は交渉をまとめ、上司である上級神<ガミラ>に承認を求めた。



 なお……彼等はメグミ達のように、異世界でもやり取りできるスマホなど持っていないので、情報伝達は召喚系能力を活用しておこなう。


 上級神の側仕えを一時的に召喚で喚び出して、メッセージを託し帰らせるか、情報伝達用の手紙投函ポストを召喚するのだ。






「よしっ、上級神様から承認が降りたぞ! 急ぎ其方の主人に契約締結を求め、<コマンダー>の拠点を設置しに行ってくれ!」


「かしこまりました!!!!」



 引っ越し手数料を支払うのは、逃げてくる中級神であり……その結果、彼等から搾取できるリソース量が減り損をするのも、上級神達なので……


 ミスして左遷されない限り、自分の財布は痛まない<エース>は、承認が降りて喜びの感情をあらわにした。



 彼にしてみれば、サラリーマンのように上級神に仕え、やりたくもない「亡命者の補助業務」に従事させられているのだ。


 メグミ達と手を組み、<コマンダー>によってその負担が段違いに軽くなるのを、喜ばない筈ないのである。



「派閥領はこの方角にあるのですね。だとすると……<カロウ><タスク><コンジョウ>が近いので、彼等を向かわせます」


「ん? うむ、頼んだぞ。(<カロウ><タスク><コンジョウ>だと!? 名前からして、ヤバ過ぎるだろう! 此奴の名前も<キアイ>だし、まさか……)」



 <キアイ>以外の眷属の名前を聞いて、おおよそ製造元の本性(=気合いと根性で乗り越えるタイプの、ブラック野郎)を察してしまい……


 僅かに胃が痛くなった<エース>だが、自分が「メグミの部下」として働く訳ではないので、深くは気にせず割り切った。



「(たしか<コマンダー>ギフトの使い手は、メグミの後輩魔王だったはず。後輩か……地獄を見ていそうだな。強く生きろよ)」


 僅かな情をカルマへ向けたところで、労働搾取の成果である「<コマンダー>ギフトの恩恵」を利用し、楽に仕事をしようとしているのは<エース>も同じ。



 もしカルマが彼の感情を知ったら、内心そう叫び……しかし中級神相手に暴言を吐くことなどできず、悲壮感を胸に秘めて笑顔でゴマを擦るだろう。


 そして……カルマと違って花形ギフトを持たないため、外部の者に憐れまれることすらなく、静かに逝きまくるスティーブも……


 その様子を見て「自分のギフトは平凡でよかった」と安堵し、だが本音を口に出すとカルマが泣くので、表面上"慰め役"へまわるに違いない。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


任せてください。

徹夜で全力疾走して、誰よりも早く地図データを送ります!


byカロウ


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ノルマ達成は何よりも優先される。

全力で取り組みます!


byタスク


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


肝心の距離が不明なのは気になるが、そんなものは気合いと根性で乗り切る!

任せておけ!!!!


byコンジョウ


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 名前で取引相手に"お察し"されている事など知らない、<カロウ><タスク><コンジョウ>の3体は、<キアイ>のメールを見てすぐ……


 「重要任務を任された」と喜び、「適度な休憩」や「身の安全」など二の次で動き、最速でやり切ると心に誓った。



 3体とも"名前どおりの性格"なうえ、後輩である<ボッチ>の大活躍を内心羨ましく思っていたので……


 偶然近い位置にいただけとはいえ、「自分達にスポットライトが当たる任務」を与えてもらえて、充実感が爆発したのだ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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