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789話 決め手となったのは




 <キアイ>から一通り話を聞き終え、悟られることなく彼のスペックも調べ尽くした<エース>は、得られた情報の咀嚼にかかった。


「(下界の者の戯言……と無視する事もできるが、<キアイ>の主人である魔王<メグミ>は、実際にコイツを地獄世界へ派遣している。となると……)」


 彼にとっても今回のミッションは、上級神に名指しで命じられた「失敗=左遷決定」の重大事案なので、気軽に即決することはできない。



 もちろん最終決定は、<エース>ではなく「彼から報告を受けた上級神」がくだすのだが、もし変な報告を上げようものなら評価を落とされ……


 尻拭いしてもらってミッションを達成できたとしても、実質左遷で派閥領の端に流されるのがオチなので、迂闊な判断は命とりになるのだ。



「(だが、コイツの話は本当だ! 少なくとも、コイツは自分の発言を"真実"だと信じている。そして、コイツの特性は……とにかく善良で暑苦しい!)」


 リスクはあるものの、この話に乗ってメグミ達と協力し成果をあげられた場合の、リターンは計り知れない。



 それゆえ<エース>は、鑑定で隅々まで調べ尽くした<キアイ>の精神状態と、彼の本質に着目し……


 「本当のことを言っている」or「<キアイ>自身も騙されている」の2択に絞った後、<眷属創造>の特性を鑑みた。



「(コイツは、主人から"特性の一部"を受け継いだ存在。<眷属創造>で生み出された眷属は、皆どこかしら主人に似るものだ)」


 そして<眷属創造>の特性と<キアイ>の性根から、彼の製造元であるメグミについて考えを巡らせる。






「(おそらく魔王<メグミ>は、<キアイ>程ではないにしろ暑苦しく善良な男だ。もし彼がクソ魔王なら、その眷属である<キアイ>もクソになるのだから)」


 闇神<スティグマ>が、メグミより高ランクの神力<眷属創造>を持っているにも関わらず、ゴミ眷属しか生み出せなかったように……


 主人がゴミだと、眷属ガチャも「ほとんどゴミしか入っていない状態」になり、引けば引くほど絶望一色に染められる。



 ゆえに性悪が多い地獄世界でこの神力はハズレ扱いされており、保有者は「実質"神力ゼロ"の神」としてバカにされ、イジメの対象になるか……


 闇神のように他の神力をメインで使い、<眷属創造>は「最初から持っていなかった」ことにして、記憶から抹消するのが常となっている。



 それにも関わらず、<エース>の目の前にいる<キアイ>からは、性悪成分が1ミリも検出されない。


 つまりそれは、「製造元であるメグミの性格も善良である」ことを示しており、その信頼性は「極めて高い」と言えた。



「(主人がクリーンな事を証明するのに、これ以上ない証拠なのは確かだ! <キアイ>そっくりだと、脳筋バカ過ぎて話が通じないリスクもあるが……)」


 諸々のリスクはさておき、地獄世界でよく見られる「失敗作の眷属」と違い、<キアイ>は「好かれるタイプ」なので、その主人のメグミも"良い奴"かも。


 そんな評価が本人達の知らぬところでおこなわれ、「脳筋バカ」の冤罪こそかけられたものの、メグミは「信用に足る」と判断された。






 一方、<エース>が結論を出すのを待っている<キアイ>も、彼自身が独断で話を進められるほど些細な事案ではないため……


 主人であるメグミに、スマホで「気合いMaxの報告メール」を送り、ついでに<エース>の顔を映した赤外線動画も添付した。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ご主人様、この動画に映っている厳つい神様をご覧ください!


先程遭遇し、間合いをとり合っていた相手である、中級神の<エース>様です!


彼と話した内容を録音しておいたので、その内容をご確認のうえ、今後の動き方について、私にご指示くださると助かります!



byキアイ


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 そして急ぎの事案ゆえ、メグミに確実に気付いてもらえるよう、緊急時のみ使うルールとなっている電話をガンガン鳴らし……


 <恵のダンジョン>内で着信音を響かせて、強引に「返信の優先度」を上げる。



 そんな<キアイ>の暑苦しいアピールは、彼の予想の5倍くらい強烈な感じで、メグミに届いており……


 <エース>が「善良な男」と推察したメグミをもってして、「今すぐ、奴のスマホを壊してやりたい」と言わしめた。



 だが……一瞬"ブラック"に取り憑かれても、メグミは基本的に眷属に甘く、メールを見て<キアイ>がここまでやった理由も理解したので……


 大きくため息を吐き、<キアイ>と……彼の動向を注視していそうな<エース>に向けて、「<エース>が好みそうな返信メッセージ」をつくり始める。



 下書きのタイピング中も、<キアイ>からの返信催促音が鳴り響いており、業務妨害極まりないが、感情のまま電話に出て怒鳴ったりしない。


 もしその声を<エース>に聞かれたら、「取引の不安材料」扱いされる可能性もあるし……何より、メグミは"親バカ"だからだ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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