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786話 無自覚な根性野郎


〜メグミside〜




 ようやくエロ沼に沈んだダメージが抜け始め、ベッドから起き上がれるようになったところで、"次の波"が襲来した。


 <ボッチ>が提案してくれた、「<コマンダー>の拠点を他派閥にもつくって、中級神達から引っ越し代を巻きあげよう」作戦。


 その実現に向けて、カルマを酷使し闇神領域外へ出た眷属達が、僕にメール攻撃を仕掛けてきたのだ。



「(いや、まぁ本人達に"攻撃の意思"はないというか……。各方向に散った10体それぞれが、こまめに<報・連・相>したら惨事になっただけだけど)」


 これに近い現象は魔王界の配信ビジネスでもよく起きており、注目度の高い下僕魔王が配信をしていると、コメント欄に誹謗中傷の書き込みがあふれ……


 全てを追ってリアクションするのも難しくなり、最終的に"読み飛ばし"が出た結果、キレた視聴者魔王にシバかれるという、理不尽の極みが常態化していた。



 僕は立場上「主人」にあたるので、返信せずとも眷属達にシバかれる事はないけど、何もない空間を一人寂しく探索してくれている彼等を、無視などできない。


 ゆえに覚悟を決めて鎮静剤・頭痛薬・胃薬を流しこみ、「面倒見のいい上司モード」に切り替えて、来たメール全てに優しく返信している。






「(スマホは鳴りっぱなしで熱暴走しているから、とてもじゃないけど触れないんで、パソコンから……だけどね。なんか、タイピングの速度が上がったなぁ)」


 セレクト自販機で買った、「猿でも出来るタイピング講座」というブルーレイ動画を見て、空き時間に練習していたため、以前から最低限の基礎はあった。


 だが<農民>同盟の先輩方や眷属達とのやり取りが増え、日常業務でパソコンを乱用するようになった結果、タイピング技術が劇的に向上したのだ。



 代償として何度か手首が腫れあがったが、僕は元々「回復魔法が得意な魔法師」なので、その程度の症状は魔法一発で抑えられる。


 タイピング技術が上がり素早く返信できるようになった事で、得られたのは「返信の返信」がよりスピーディーに来る……


 という「過労チケット」だったが、技術力が向上して悪いことなんてほぼないし、心の中にある"このモヤモヤ"はきっと"気のせい"だろう。






 僕が、可能な限りリアルタイムで「報・連・相メール」に応じる理由は、他にもある。


 98%の些事に混ざって、2%くらい「シャレにならない情報」も含まれているので、無視すると惨劇に繋がる可能性があるからだ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ご主人様に報告いたします。


つい先ほど<害意コンタクトレンズ>に反応があり、注意深く確認したところ、虚無空間に設置型トラップが仕掛けられていることが分かりました。


トラップの位置と向きから考えて、闇神派閥の支配領域を守るためのブービートラップかと。


ヘタに触れると作動してしまい、私が戦闘不能になってご迷惑をおかけする可能性もあるので、遠くから赤外線カメラで撮影したデータだけ送ります。



byタスク


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「いや、普通にヤバイやつじゃん! 急ぎメールを転送して、コレの存在を知らない他の子達が、トラップに引っかからないようにしないと!」


 幸いにも、<害意コンタクトレンズ>をつけていれば見抜ける代物みたいだし、事前情報さえあれば彼等も踏み抜きはしないだろう。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜害意コンタクトレンズ〜


制作者が害意をもって作ったモノに限り、その害意の程度を表す色が浮き出るように見え、どの程度危険かパッと見で分かるコンタクトレンズ。


水属性を帯びたレンズなので、水魔法用に調節したマナを流しこんでやると、レンズの作用を強化することができ……


強力なレンズにしておけば、知的生物がつくった「害意あるモノ」はほぼ全て見分けられる。


しかし、非知的生物による害意に対しては無力。


また通常の景色に加わり「悪意の色」も重なって見えるため、視界の違和感が大きく、慣れないと景色酔いしてしまう。


そして取り外しに数秒ほど時間がかかるので、急に戦闘に突入したときなど、不利な視界のなか戦うカタチになるかもしれない、リスクもある。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






 スティーブが<水の職人>ギフトを使って、レアアイテムをつくる際に生まれた、「副産物のハズレアイテム」だけど……


 虚無空間は真っ暗で「視界もクソもない環境」なので、このコンタクトをつけていても色が重なり景色酔いする事はなく、メリットのみを享受できる。



 アイテム生成ガチャを回す度に、ハズレでコンタクトレンズを量産してしまい、スティーブが抜け殻状態になっていた事もあったが……


 今回の件で「状況によっては使える」と分かったし、この成功事例を聞けば、スティーブも喜んでまたバリバリ励んでくれるようになるだろう。



<<<<<−−− ピロリロリーン♪ −−−>>>>>


「(成果物の情報が共有された結果、眷属達からのお礼メッセージetc.でさらに僕の負担が増えたんだけど。こればかりは仕方ないよね)」


 配下に大変な仕事をさせておいて、自分はのほほんとエチエチな日々をおくる……みたいな、クソ主人生活よりはずっとマシだ!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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自分から仕事を増やす社畜の鑑
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