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782話 人間よりも人間くさい神々




 さて……闇神は苦し紛れに「一度城に帰って誤魔化す」策を打った訳だが、果たして彼の想定どおりにいくのだろうか?


 結論、良くも悪くもそうはならなかった。



 まず中級神達は、闇神が思っているほどバカではない。


 地位・財産・命……全てを失う危機に晒されて、怯えで縮こまり思考力も低下しているものの、皆が皆「闇神の施策に気づかない」という事はなく……


 地方組の中級神は、闇神が外周部の結界に手を加え、弱い防壁機能と通信妨害を付けたのに気づいた。



 なぜなら彼等は、"怯え"が強かったからこそ、「<シュッセ>狩り」終了直後の闇神を深く観察しており……


 "監視の目がある"と気付かれたことを察して、「何かしらの対策を打ってくるだろう」と判断し、それを見極めようとキャパの全てを"調査"へ振ったから。



 もし闇神が脳筋タイプであり、「バレちまったものは仕方ない。力技でカタをつけよう」と考えて、狩りを続行していたら……


 即逃亡せずリソースを調査へ振った彼等の行動は、マイナスになったかもしれないが、闇神がそこまで脳筋派じゃない事は周知の事実。



 また情勢に関わらず……闇神は長時間の戦闘後、感情がたかぶって性欲魔神となり、女を抱き特殊性癖を満たさないと、落ち着けないため……


 「無意識のうちに"そうなる選択肢"を選ぶ」癖があり、それを理解している者達は、「一旦居城に帰って欲を満たす」ことも想定していたからだ。






 だからと言って、その中級神達が闇神の思惑を完全に読み切り、即時逃亡を決断したかというと、そうでもない。


 なぜかというと、闇神は普段から疑り深く、結界に逃亡防止機能を持たせるのは日常茶飯事であり、通信妨害や情報操作もよくおこなっていたから。



 そういう性格の上司が、部下の中でも信用性に欠ける<シュッセ>を粛正した時点で、疑いブーストを発動し……


 支配領域を包みこむ結界を強化したところで、「またいつものヤツだ」となるだけなのである。



 <シュッセ>以外に粛正された中級神もいるのだが、彼等も彼等で「難アリ人材」だったため……


 中級神全員粛正の意図はなく、「このタイミングで削っておく方がいい」と判断されただけ……という、可能性も考えられるのだ。



 これが「ガチガチの逃亡防止結界&徹底した通信妨害」なら、闇神の殺意を正確に察して、逃亡の覚悟を決める中級神も現れただろう。


 しかし闇神はあくまでも、中級神が時間をかければ破れなくもない程度の結界しか張っておらず……


 通信妨害もまた、5Gでサクサクできたのが3Gになる程度のもので、不便極まりないけど完全にシャットアウトされた訳ではない。



 結果として、結界の強化に気づいた中級神達は一瞬ピリッとしたものの、「少なくとも、闇神が性欲を満たし終えるまでは安全」と判断した。


 そして気付いた情報を他の中級神達へ共有する事もなく、淡々と自分の逃亡準備を進めて、通信妨害を受けつつ外部との交渉を続けたのだ。



 もし緊急性が高くて確信を持てる情報なら、彼等も仲のいい神々には知らせただろう。


 しかし「いつもの事」でしかない些事を、危険につながる確証もないのに、この忙しいタイミングで発信するのは……


 相手からウザがられるうえ感謝されない、「期待値マイナスの行動」と判断したのである。






 むしろ、このタイミングで起こった通信妨害に反応したのは、彼等の亡命を受け入れる前提で交渉していた、他派閥の上級神達だった。


 そりゃあそうだ。


 彼等は、疑り深い性格の闇神がしょっちゅう結界を強化しているなんて知らないし、中級神と違い"一歩引いて"事態を見ているから。



『マズイな。引き抜く前に、気取られて妨害されたか』


『ちょっと交渉に時間をかけ過ぎたわね。もう少し緩い条件で、受け入れを許可してあげるべきだったわ』



 他派閥の上級神達も、闇神程ではないにしろ搾取能力が高いからこそ、ここまで出世したわけで……


 闇神派閥に属する中級神達から、「亡命の受け入れ」を求められた際、闇神以外のダーク系上級神全員で談合して、受け入れ条件を"激渋"で統一した。



 ここで彼等が"引き抜き合戦"をおこない、亡命してきた中級神に多くの権限を与えると、調子に乗る可能性が高いうえ……


 せっかく相手が不利な状況で頭を下げてきたのに、イマイチ搾取し切れず、結果的に「競合した上級神全員が損してしまう」からだ。



 それなら裏で談合して亡命の受け入れ条件を揃え、他の選択肢がない状況に追いこんで、闇神派閥から逃げてくる中級神達を徹底的に搾取した方が……


 簡単に利益を得られて、闇神派閥のメンバー以外、皆得をする。



 だが搾取第一優先で受け入れ条件を渋くし過ぎたため、中級神達との交渉が難航し、未だ正式契約には至っていなかった。


 闇神派閥の中級神にだって、これまでエリートコースを歩んできたプライドがあり、「露骨に搾取される未来」を受け入れることなど出来なかったのである。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
進むも退くも地獄かぁ… そして予想以上に連帯感のない中級神達… メグミ達が同じ立場ならむしろ即決で逃げてる場面だよな、うん。隙があるとわかってるならなおの事。
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