781話 英雄じゃないけど色を好む
仲間と部下にハメられてエロ沼に沈められ、夢の世界へ旅立っている間に、命懸けの潜入調査がおこなわれていた事を知り……
ショックを受けたものの、やたら強化されたメンタル耐性スキルと親バカフィルターが役に立ち、ほぼ全てを受け入れ復活することができたメグミ。
だが……同じ「眷属を生み出した者」でも、中級神<シュッセ>を狩るのに時間を費やし、その隙を突かれて城に乗りこまれた挙句……
追いかけっこで悪目立ちし、奇襲をかけてスピーディーに狩る予定だった中級神達に、「<シュッセ>狩り」の件がバレてしまった闇神<スティグマ>。
彼は、リソースバーストで逃げまくったものの力尽きた<シュッセ>を捕らえて、生きたままフッ化水素酸漬けにして惨殺し……
魂からも徹底的にリソースを剥ぎ、<シュッセ>の資産を根こそぎ奪い取った。
しかしリソースバーストでエネルギーのほぼ全てを吐き出し、カラッカラに干からびて力尽きた<シュッセ>の手持ち資産など、たかが知れている。
<シュッセ>が逃亡時に吐き出したリソースを、後ろで回収しながら追いかけて、彼が力尽きるのを待っていたとはいえ……
上級神である闇神にとって、得られた利益は"スズメの涙"程度のものであり、その代償として失ったものはあまりにも大きかった。
「(チッ! 落ち着いて周囲を探ると、この視線……中級神共に気取られたな。しかも、殆どの中級神に拡散されてやがる!)」
誰にも気取られぬよう、薄く探知網を広げて支配領域全体を調べた闇神は、中級神達の視線が自分へ向いていることに気づく。
そしてその視線が"怯え"と"憎悪"を帯びたものであり、このまま中級神狩りを続けた場合、一斉に「自分だけでも!」と四方八方へ逃げるところまで察せた。
「(予定では、事が露見したと同時に支配領域を包む結界を強化して、中級神共が外へ出られないようにし、結界を壊される前に狩りを済ませるはずだった)」
だが……想定よりはるかに早く中級神達にバレてしまったので、このまま策を続行すると、半数近くの中級神を逃し派閥崩壊&没落は確定的となる。
「(正攻法で上手くいかぬなら、多少の回り道はやむを得ん。一旦城に引きあげて"休んだフリ"をし、中級神共の勘違いを誘発するのだ!)」
もしこのまま闇神が中級神狩りを続けたら、次の中級神に被害が及んだ時点で、ターゲット達は「自分も例外なく狩られる」ことに気づき死ぬ気で逃げる。
だが嫌われ者だった<シュッセ>だけを狩り、他の中級神には手を出さずそのまま城に引きあげたら……
恐怖で極限状態にある中級神達は、自分の心の安寧を守るためにも、「ただ有害な部下を殺処分しただけ。自分達は助かるかも」と思いこむ可能性が高い。
そして実際には命の危機が迫っているのに、ナワバリ惜しさに自分の管理区域から逃げず、そのうち油断して闇神を監視する事すらなくなるのだ。
「(中には、私が城に引きこもり休んでいるうちに、"チャンス"と判断して逃亡を試みるクソ神もいるだろうが……。ハァ〜、どこまでも厄介な連中だな)」
思うところは多々あるものの、「この機を逃すまい!」と自発的に他派閥の支配領域へ飛ばれると、其奴のリソースも他派閥に奪われてしまうため……
闇神はさり気なく、自分の支配領域を包む結界に"脱出防止"の加工をほどこして、中級神達の逃亡を阻止した。
この処置に関しては、露骨にやって中級神達に気付かれると、「やっぱり闇神は全粛清を企んでいる!」とバレてしまうので……
「中級神が時間をかければ破れなくもない程度」の結界にとどめて、全粛清ではなく「動揺による逃亡防止」くらいに受け取られるよう、調整済み。
それと同時に、さり気なく通信妨害結界も張って他派閥との連絡を妨げ、彼等の派閥移動を物理的に塞ぐ。
中級神達がいくら「危険! 逃げよう」と思っても、受け入れ先との話がまとまらなければ、ナワバリを捨てての逃亡などできないし……
妨害を受けながら話をまとめている間に時が過ぎ、闇神が居城でコンディションを整えて狩りを再開するまでの、時間稼ぎになるからだ。
「(なにより眠い! 基本的に私クラスの上級神は、"睡眠"という"下等生物特有のムダ行為"をおこなう必要などない。神界のトップ・オブ・トップだからな)」
だが……いくら闇神のスペックが高くても、何日も追いかけっこで疲弊させられ……加えて、これまでの疲れも溜まっているのであれば、話は別だ。
睡眠をとった方が効率よく心身を回復できるし、心なしか頭もスッキリするので、普段は眠っている彼の睡眠欲が目を覚まし自己主張を始める。
「(それに種付け要員共も、子を産み終えて暇を持て余していることだろう。また新たな仕事を与えねば!)」
マトモな神経の持ち主なら、「そんなに疲れているなら早く寝ろ」と突っ込む状況だが……現在の闇神は、「本能剥き出しのサル」みたいなものだ。
いくら勃○不全に悩んでいようと、これだけ昂った状態で、自身の欲を抑えて優等生になれる筈もなく、脳内をピンクに染めてギンギラギンの城に帰還した。
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






