表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
775/965

775話 闇神城のヒミツ




 闇神に囚われた女神達の飼育場を離れた<ボッチ>は、式神に周囲の警戒を任せて自分は気配を消すのに徹し、足音を殺して前へ進む。


 赤外線カメラは常に回しており、撮影データもこまめにメールで送っているので、彼が見た場所全て「<コマンダー>の転移拠点」として登録可能だ。



「(中央にある一際大きな建物が、闇神の生活空間だな。確固たる証拠があるわけじゃないけど、自己顕示欲がギンギラギンに出た造りだから、一目で分かる)」


 <ボッチ>の読みどおり、闇神はリソースを注ぎ込んだ中央の天守閣に住んでおり、その外壁は黄金に光っていた。



 一応、闇神は「金と相性がいい能力」を持っているため、「ソレを強化する」という名目を掲げているが……


 実際のところ、モロ「自己顕示欲を満たすため」の代物であり、ギンギラギンの壁と黒光りする屋根瓦が、凡人とは違う彼の特異性を示している。



「(あの屋根瓦、ゴキブリの背中と同じ"黒ツヤ"だな。報告レポートには、"ゴキブリ瓦"と記しておこう)」


 そう……普通の価値観を持っていたら、「あんなギンギラギンの成金城」など恥ずかしくて住めないのだ!



 本人を前にして"ゴキブリ瓦"などという勇者はいなかったが、過去に闇神城を見たことがある者は皆、内心<ボッチ>と似たような感想を抱いており……


 闇神に監視されない地点まで離れた途端、悪口に花を咲かせ、方々に「あの城は(センスが)ヤバイ」と言い回った。



 それが伝言ゲームするうちに「なんかヤバイ」に変わり、再度闇神の元へ届いたときには、「(厳かで)ヤバイ」と都合よく解釈できたもんだから……


 闇神のセンスは更に悪化して、年を追うごとに城も派手になっていったという、カオスな過去がある。






 しかし……センスの無さはともかく、さすがに上級神の居城本丸。


 防衛体制はガッチガチであり、<ボッチ>はおろか式神も多重結界に阻まれて、中へ入ることはできなかった。



「(とりあえず、本丸の一歩手前までは撮影できた。無理に先へ進んで、敵に気付かれ警戒されるくらいなら、ここで止めた方が賢い)」


 すでに充分すぎるくらい作戦は上手くいき、もし闇神と戦う事になっても、彼の生活空間まで100mもない場所へ、<コマンダー>で転移できるのだ。



 ここで更に無茶をして身元がバレ、カルマの存在にたどり着かれて警戒されたり、事前にプチッと潰されてしまうリスクを踏まえると……


 もう一歩踏み込んで"より内側"を攻めるのは、「ただの蛮勇」と言えるだろう。



 そう<ボッチ>は考えたが、アスタリアの判断は違った。


 彼女は、ほとんどリスクを取らずリターンだけ得る手段を思いつき、「最後にもう少しだけ頑張れ」とメールで指示を届ける。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ボッチちゃん、上空を撮影して!


現時点の成果でも充分だけど、天守閣の壁とか屋根瓦に転移拠点をつくれたら、大儲けでしょ♪


闇神の奴、たぶん見栄えを気にしたんだと思うけど……城の外側と違って、今回は「姿を隠す類の結界」を張っていないから、そのまま撮影できる!


ズーム機能を使って、ボッチちゃんの位置から見える「闇神城の姿」を念入りに撮影し、<ヒッキー>とカルマにより多くの選択肢を与えるの。



byアスタリア


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「(さすがベテラン魔王! 年の功はダテじゃない)」


 アスタリアに汲み取られたら"即ゲンコツ"な爆弾発言を、脳内で発した<ボッチ>は……


 彼女の命令にしたがって、闇神城や上空を丁寧に撮影し、そのデータをメールで送信。






 と同時に……アスタリアから、「中級神達の様子に変化アリ。闇神が獲物を狩り終えたみたい」とメッセージが届き、即"引きあげ"の指示が出る。


「(<ヒッキー>のデータ処理が済んで、カルマ様が新たな拠点を開拓するまで、ココで悠長に待っているのは危険だな。さっきの拠点に戻ろう)」



 指示メールを見て、即座に「飼育場まで戻って撤退」の判断をくだした<ボッチ>は、気配を消し足音を殺したままソロソロと退却し始める。


 その様子を探知スキルで捉えた者はいたが、アスタリアが彼にかけた「何重もの雑魚デバフ」によって、<ボッチ>はゴキブリやネズミとしか思えない状態。



 当然、そんなものを"敵"認定する物好きはおらず……


 「報告すると殲滅を命じられて、自分がキモい駆除業務をやらされるから」という理由で、全員からスルーされた。


 誰だって、大して慕ってもいない主人のために、「ゴキブリやネズミの駆除」なんかやりたくないのである。



 自分の住処に入ってきたら徹底的に潰すが、掃除サボリがバレない範囲で闇神の居城に侵入し、中でガサゴソやる分にはご自由に……


 という、闇神の部下らしい「割り切りムーブ」だ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
仕込みは完了。あとは時期か。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ